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そぐわない計画【短編小説】

会社の受付嬢は今やロボットや受付システムに代わっていく。
「次の契約更新は難しいかもしれないですよねぇ~。」と私より4歳下のアミちゃんは言う。
私にとって敵はロボットや受付システムだけではない。女の若さもだ。
「一番いいのはこの会社の社員の方とお食事に行ってぇ、お付き合いすることなんですけどねぇ~。」
受付嬢がいるこの会社も大手と言われる。アミちゃんが何かを狙って動いているのも知っている。そういう子は若くても契約更新できていない。

ある日、ロボットがやってきた。
受付されたお客様をエレベーターまで案内する係だ。まだそれだけの仕事だが、私たちにとって代わる気満々だ。「ドウゾコチラエヘ」だけの品物でないことは文系出身の私にもわかる。これはピンチだ。

アミちゃん云々言っていられない。契約更新3連続中ベテラン受付嬢は、信頼を元手にそぐわない計画を練る。

相手はお客様。ベテラン故にイケル方とそうでない方の違いは感じられる。薬指のチェックは計画前からしていた。これは女の本能だと思う。
この計画は焦らないこと。アミちゃんが別のお客様対応をしているときに先手を打つ。
「字、お綺麗ですね。」「お名前、なんとお読みするのですか。」
その人に踏み込む言葉を投げて、返ってくるのが好意的であれば次回のネタを用意する。
最後の決め手は、相手に私を選んで受付まで真っ直ぐ歩いてきてくれること。私が別のお客様対応をしているときは、エントランスで待っていてくれること。
計画通りの彼の笑顔は可愛い。

私は今、次の派遣先を探している。
彼は笑顔で別れ際にこう言った。「僕の計画通りだよ。」

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