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色彩検定2級の取得と、お絵描きについて

こんにちは、イツキです。
この記事では、お絵描きを愉しむ方に向けて、「色彩検定2級」の取得方法と、学びが「お絵描き」にどう役立つかをご紹介したいと思います。

「資格をお絵描きに活かすことができるか」については、過去の記事でも触れていますので、是非参考になさってください。

ー過去の記事ー
色彩検定1級取得と、資格への考え方について
色彩検定3級編
色彩検定UC級編


色彩検定2級を取得した理由と、学びの内容

色彩検定を受けようと思った理由は、主に下記の2点です。(詳しくは「色彩検定3級編」にも書いたので是非ご覧ください。)

①職歴を強化するため
②お絵描き・色に関するスキルを伸ばすため

このうち、①「職歴を強化するため」について、色彩検定2級の観点から、もう少し詳しくお話ししてみたいと思います。

色彩検定3級を無事に取得したのはいいけれど、私には少し心配なことがありました。

それは…

ー色彩検定の難易度偏差値ー
 色彩検定UC級 38
 色彩検定3級 40
 色彩検定2級 45
 色彩検定1級 54

上記の通り、偏差値的には、「3級」は「簡単」な域に属することです。
難易度がどうあれ、頑張って取得した資格は価値があり、お絵描きの糧にもなっています。色彩への感受性も高まったと実感しています。

ただしイラストを職業にすることを前提に「職歴を強化する」という観点から考えた場合、「肩書」として使うにはもう少し難易度の高いものが欲しいと感じました。

次に、「②お絵描き・色に関するスキルを伸ばすため」の観点から言えば、2級はお絵描きに役立つ様々な知識が含まれると思います。内容に「色彩調和」と「配色イメージ」の内容を含み、どちらも実践的です。ちなみに「配色イメージ」が登場するのは2級までですので、配色知識の学びを集中的に狙いたい場合は2級まででOKかと思います。2級では、デザインをする人であれば「ビジュアルデザイン」の基本を学ぶこともできます。ファッションやインテリア、景観色彩も副次的な知識として備えていて損はないものであり、人物の衣服や背景の配色の参考になるかと思います(実用として役立ててもいいと思います)。光学の知識は理系っぽさがあり、苦手感がある方も居るかも知れませんが、展示や照明などを用いる可能性がある場合は知っておいて損はないでしょう。「慣用色名」はたくさんの色名と由来をひたすら暗記する必要がありますが、私のようにもともと色材や顔料オタクにとっては脳トレと知識のご褒美になりました。

結論:色彩検定2級は、各級の中で最も実用的

結論としては
 ①知識の活用性があること
 ②努力すれば手が届く難易度

これらのことから、色彩検定各級の中で最もオススメできる級かなと思います。

2級名物「配色イメージ」に美的センスは不要

2級の名物科目はやっぱり「配色イメージ」ではないかと思います。尚、1級の実技試験でも、条件をもとに配色を行います。そのためには、この2級の知識を完璧に習得しておく必要があります。キモとなる知識だと思います。
ちなみに色彩検定で学ぶ配色は論理一辺倒ですので、再現に「美的センス」は必要ありません。「論理的に調和する色彩のパターン」を「知識として習得することができる」ため理解すれば万人が再現することができます。自己流の感覚で配色してうまくいかない、自分にはセンスがないのでは、と行き詰まりを感じている方には、心強い武器になると思います。
とはいえお絵描き界隈を見渡すに、2級で述べていることをセンスで会得している人も多数見受けられます。役立つかどうかは個人の現時点のスキルに依るところが多いかと思います。ただセンスで会得していたとしても、知識で体系的に学び直すことは有効だと思います。

1級はあまりにもマニアックな理系的知識が多く、「これを学んでも、いったいどう役立てるのか…」という虚無感との闘いが発生するため、万人にお勧めはできません。お絵描きに実践的に役立つ知識としては2級が中心になってくるかなと思います。
受検を目指す皆さん、応援しています!

色彩検定2級の勉強方法について

さて、ここからは勉強方法についてのアドバイスです。
ご参考まで、色彩検定2級の偏差値は45であり、資格試験類の中では難易度がやや低め~普通となっています。決して難しい級ではありませんので、多少勉強に苦手感がある方でも、取得したいと思ったなら受験してみてはと思います。
(世の中一般的には、3級と2級を同日一度に受験する方も多いようです)
この記事の投稿から受検まで2週間ほどですが、試験まで真剣に取り組めば合格点に達する可能性は十分あると思います!
頑張っていただきたいです!

公式テキストと配色カードで挑みました!

勉強に必要な時間

「効率よく合格を目指す」ということであれば、最短であれば一か月半程度、2級編公式テキストに取り組むと良いかと思います。2,3か月学ぶ時間があるのであれば、理解度を高め身に付けることができそうです。

尚、過去問題の雰囲気は公式サイトの例題が非常に参考になります。最近は色彩検定の公式X(Twitter)でも過去問題が配信されています。無料で得られる情報は必ずチェックしましょう。

私は時間も無ければお金も無かったので、とにかくコスパのよい合格を目指していました。何しろ4つの級を取得しようと思うと、受験は年2回ですので、2年はかかります。落ちると再受験は半年~1年先になり、時間が空くとそのまま諦めてしまうことになりかねません。受けると決めたら、隙間時間にもテキストを見直し、必ず勝ちをもぎ取る気持ちで行き、連勝していきましょう!
ちなみに2級は1か月半テキストのみで学習し、スコアは193点/200点でした。

副教材について

◆過去問題集
難易度がそれほど高くないので、過去問題集を買う必要性までは感じませんが、出題傾向が分かると敵の出方が分かり当日安心できるので、お金と時間に余裕があれば購入してみてもいいでしょう。
問題集の利点は「理解が曖昧なところを確認できる」ことです。問題集を用いない場合は確認ができないので、自分の知力でテキストを正確に理解する必要があります。テキストを読むときに「ただ覚える」だけでなく、意味内容をしっかり理解するように努めると良いと思います。

◆通信教育講座
公式または他の教育団体から販売されている通信教育講座もありますね。
個人的には、テキストをしっかり読むだけでもいいかも…もちろんお金に余裕があれば購入してもいいのでは…という印象です。通信教育講座は講座によっては過去問題や添削が付いており、当然理解度を高め合格率を上げることに繋がると思います。

◆配色カード
公式サイトから購入できる配色カードは、実際に学んだ配色知識を手元で試してみるために購入をお勧めします。お絵描きの際の配色シミュレーションにも活用できるんじゃないかなと思います。
少なくとも1級を目指すのであれば、実技試験の練習のために絶対に必要な教材となります。

これからの時代のアートと、色彩検定について

さて…ここまで色彩検定2級について、様々な説明をしてきました。
最後に多くの方が感じられる疑問について、私の所感を述べたいと思います。それは「アートがデジタル化している」現在、色彩検定で得られる知識が旧態依然としているのではないか、ということです。

正直これからの時代、このようなアナログ配色カードを用いた色彩の知識がどれほど実践できるのか定かではありません。デジタル絵であれば、「、チャットGPT-4o!このイラストを赤を頂点としたスプリットコンプリメンタリー配色で塗って♪」と言えば秒で塗れる世界が到来し、作画ソフトには配色を成功させるための「カラーパレット」が搭載されています。物質であっても、現実の色彩に近い色彩シミュレーションをディスプレイで行うことができます。知的生産の一部を機械にゆだねることは、すでに可能ではあるのです。

前提として、AIが素晴らしい絵を苦労なく無限算出できることと、私たちが内面の表現として一枚の絵に対し思考と手間と愛情をかけて仕上げることを、生成効率からのみの視点で比較するのはナンセンスでしょう。ただ現実的に、絵の低コスト量産が求められるシチュエーションはあり、IT化が極端に遅れている日本以外の各国ではイラストレーターが職を失いつつあるのが現実です。皆さんご存知のように、あらゆる分野で同じことが起こっています。

そのような中で、色彩理論についての学びがアナログで意味がないことに思える方もいらっしゃるのではないでしょうか。むしろ、そういった本質的な疑問を抱かず盲目的に資格を集める方が危険です。
ただしこれには正解がありません。

AIやソフトウェアが提供する枠組みの中でアートを生み出すのか、それとも自分の脳を使って1から試行錯誤し創造しそのプロセスさえも楽しもうとするのか。そのバランスに正解はありませんし、個人の信念にもよるところです。
個人的には、どんどんAIを活用したらいいと思います。実際にAIに依存するかはさておいてです。日本人はそもそも民族的にセロトニンが低く保守的な傾向があるうえに、失われた30年を経て新奇歓迎のチャレンジ精神が損なわれてしまいました。徹底的な守りに入ったのです。現在は極端なIT後進国だからこそ、新しい技術には積極的にチャレンジしていただきたいし、周りの顔色を窺うことなく新しいものを生み出してもらいたいなと思います。それでありながら、AIに頼ることなく地頭で色彩を考えることができる力も身に付けて欲しいと思います。「AI」「アナログ」、どちらが正しいと決める必要はありません。うまい具合に、あなたの都合に合うように、両方を組み合わせて活用してもらえたらと思います。正解はありません。

技術を便利に使いながら自力を高める、そのためには、まず「学ぶこと」…いままでの自分の視野を広げること、チャレンジすることが大切だと思います。
色彩検定2級で、みんな大っ嫌いな科目?(笑)である「光学」が出現し、分光反射率曲線だの分光視感効率曲線だのを学びます。
知ることを無駄と思わず、視野が広がる機会だと見て、様々な物事に興味を抱いてみてください。


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