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色彩検定UC級の取得と、お絵描きについて

こんにちは、イツキです。

水彩画や、イラストレーション美術を嗜む方の中には、「画力向上のためお絵描きの練習をするだけではなくて、知識も習得したい。絵や色に関連する資格にチャレンジしてみたい…!」と考える方も多いと思います。
そこで色彩検定の各級と、お絵描きとの関係について、少しずつ情報提供していけたらと思います。今回はUC級についてご紹介をいたします。


まず、色彩検定は、UC級、3級、2級、1級の順に難易度が高くなります。
最も難易度が低いのが、UC級です。
難易度は低いのですが、色彩検定各級の中でも、実用性が1番高いと感じています。

「UC級」とは、ユニバーサルデザインを取り扱う級です。
ユニバーサルデザインという語句の意味がピンとこない方も多いことと思いますので、ご説明しますね。

色彩検定UC級とは?

色の見え方は人によって違いがあります。色覚特性により、「特定の色の組み合わせが判別しにくい」人が、日本では全体で300万人以上存在するといわれています。
UC級は、「色覚の多様性について正しい知識を持ち、配慮をすることができる」ことを目指し設置された級です。
色彩設計をしたり、色によるコミュニケーションを行ったり、多種多様な人と交流する機会がある方には、必要なスキルと言えます。

色彩検定UC級はこんな人におすすめ

ということで、色を用いたコミュニケーションを行う方や、色覚特性を持つ人と関わる機会が多い方は、是非取得したいスキルです。業種でいえばデザイン・広告関連・官公庁・医療関係者、職種でいえば総務・宣伝・人事・営業・製品開発と、用途の振れ幅は多岐に渡ります。

色覚多様性の最も身近な例は、高齢化に伴う見え方の変化です。50代、60代になると視力や眼病などによる見え方の変化だけでなく、色相や明るさの感じ方も変わるようです。身近な人の色覚変化に配慮していくためにも身に付けたい知識です。

色彩検定UC級の難易度

難易度は、偏差値38と、あまたの資格試験の中でも、かなり簡単な部類に属します。
といってもどのくらい簡単であるか、何か例えが無いと分かりづらいですね。雑感では、テキストを暗記するつもりで丁寧に5回精通読すれば合格でき、さらに5回読めば満点が狙えるかなと思います。10回しっかりと読めば安心です。これらから、期間が一か月あれば十分だと考えてます。検定申し込みと同時に公式テキストを買い、しっかり読みましょう。
ちなみに私は満点合格し、成績優秀者表彰の賞状が届きました。UC級を取得するまでに3,2級を取得していたこともあり、すでに知っていることも含まれていました。そうでなくても、一番実用性がある級です。ということはつまり、ある程度「一般常識的な概念を取り扱っている」ということです。見たことも聞いたこともないような突拍子のない話題・テーマは、恐らくないはずです(これが1級になると、専門性が高すぎて聞いたこともないテーマが現れるうえ、何のために学ぶのか目的を見失いそうになるようなニッチな内容が頻出します)。
光学の説明が多少科学的ですから、文系アート畑の方の中には苦手感を感じる方もいらっしゃるかも知れません。ただし、やってできないことはありません。あきらめずにテキストを読み込みましょう。

回答はマークシートによる選択制です。問題の最後にのみ、筆記を要するケース課題が出題され、指定されたデザインのどの色をどう直せば見やすくなるかを問われます。これが全体の中に於いて、難しいといえば難しいのですが、公式テキストにたくさんヒントがあるので、ちゃんと読めば答えが書いています。「こういう場合はこのように色調を変えると見えやすい」といった記述を理解しセオリーに則れば難なく解けます。テキストにも載っていないような独自理論を求められるようなことはないので、心配は無用です。

お絵描きする作家は、取得したほうがいい?

まず、デザイナーには、必須の知識かと思います。チラシやパッケージなど、色彩を情報伝達手段として用いる表現に於いては、色覚特性に十分配慮しないと、必要な情報を一部の人に届けることができない可能性があるからです。デザイナーとして、何らかのチラシ作成をするとしましょう。その中に、例えば「食品アレルギー情報」や「緊急避難情報」など周知すべき重点内容を掲載するとします。重点内容が一部の人に識別できない色彩で記載されていると、コミュニケーションツールとしての役割を果たせないどころか、利用者に不利益を生じさせることとなり、リスクマネジメントの観点からも非常に望ましくありません。
私自身もデザイナーにジョブを発注する立場でしたが、色覚特性をもつ方にも重要事項が伝わるかを確認するように依頼していました。
資格取得そのものは非常に簡単ですが、知識を活かして見やすいビジュアルを作ることは、とっても難しいです。識別性のある色彩の選択と、デザインイメージの具現化力の双方を兼ねる技術を要するからです。昨今ダイバーシティが叫ばれる世の中ですので、色覚特性への配慮は以前よりも格段に求められています。デザイナーに求められるスキルも高まっています。
(余談ですが、将来的に、AIが色覚特性に対応した自動色彩設計をする仕組みができそうですね…)

そして、結論として。
ユニバーサルデザインの知識ががアーティストに必要か?という議題に対して、皆さんは答えが欲しいことと思いますが、一概には言えません。作家のスタンスによって異なるためです。
芸術=自由な自己表現であると定義した場合、芸術は「不特定多数に必ず届けるべき必須情報」を含有していないもの、と考えているためです。アーティストが色彩を用いる主な目的は、表現や美しさのためであると思います。ご自身の作品がそうであれば、UC級の資格は不要でしょう。
ただ、作品によっては、その色そのものを通して伝えたいイメージがあるはずです。一部の色覚特性の人には、作家の目に見えるようには映らないことを知っておくことは、大変有用です。作品は、受け手の多様な受容感性を前提に、多彩に解釈され咀嚼されるものだと思います。その意味では、自分の作品がどんなふうに感じられて捉えられたか、学びを通して理解することは意味があると思います。

また、アーティストは自分自身で作品のプロモーションやらパブリックリレーションを行なう事が多く、色彩を通したコミュニケーションの機会が多い職種であると思います。そして作家とデザイナーは職種として近いことから、作家からデザイナーにキャリアチェンジする可能性も多いと考えられます。このような可能性があるのであれば、また、プロとして独立する未来があり得そうであれば、先んじて取得したほうがいいでしょう。
いずれにせよ、取得を迷っているのであれば、早めが望ましいです。今後の作家人生の中で、得た知識を活かせる機会が増えるためです。

費用は、受験料6000円+テキスト料2310円=8310円、期間は一か月。

みなさん自身のキャリアイメージと必要性を考え、よりよい選択ができるようにお祈り申し上げます。

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