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2020年3月の記事一覧
【甲】星がひとつほしいとの祈り/原田マハ
何を書こうにも、書き出しが一切思いつかない。
どうやっても陳腐な表現にしかならなくて困り果てている。ただの感想文なので別にかっこつける必要はないんだけど。
本を読んだ、というよりも映画を見たような感覚だからかもしれない。
ひとつひとつの情景や人物像がありありと思い浮かぶような文章だった。これは作者である原田マハさん自身の豊富な経験と、解説の言葉を借りるなら、「すべてをいちどに身体に取り込み自分の言
【甲】僕のなかの壊れていない部分/白石一文
長かったような短かったような。半分くらいを夜中に一気読みしたこともあって、釈然としない奇妙な読後感が残った。
昔の男が住む京都で、美しい恋人はどんな反応をするのだろうか。悪意のサプライズ旅行を企画した29歳出版社勤務の「僕」は、関係を持つ三人の女性の誰とも深く繋がろうとはしない。理屈っぽく嫌味な言動、驚異の記憶力の奥にあるのは、絶望か渇望か。切実な言葉たちが読者の胸を貫いてロングセラーとなった傑