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トマト缶のなにか

信じられないほど残業をした。静かな空間に残留した社員が、オフィスの端っこでピザ屋の話をしている。聞こえてきてしまったが最後、空腹に耐えられなくなったので、仕事が残っていたが退勤した。
ヘトヘトで気力も体力も残っていないが、「おいしいご飯が食べたい。お腹がすいた。」その思いだけで、今日は傑作を生み出すことができたのだ。

材料(3人前)

ホールトマト缶   1缶
水         1缶分
冷凍ほうれん草   ひとつかみ
しめじ       冷蔵庫に余っていた分
冷凍チキンナゲット 食べたい分

コンソメ      ふたかけ
ナツメグ(粉)     ひとふり
クローブ(粉)               ひとふり

スパイス以外を全部鍋に入れる。
水は沸かした状態で缶に注ぎ、缶の内側を濯ぎながら鍋に移し替えた。
すでに温かい鍋を火にかけ、凍ったままのほうれん草(小松菜だったかもしれない)とチキンナゲットを融かしてゆく。

ティファールのつるつるした鍋を使っているので、焦げ付く心配はない。鍋はそのまま火にかけて、朝ほったらかしにされた食器やら1日連れ添った弁当箱やらを洗う。というか、食洗機のかごに並べる。

食洗機を迎えてからもうすぐ一年が経とうとしており、彼とのコンビネーションはバッチリだ。どうやらわたしは、この、食器をうまく並べる作業が得意らしい。
食洗機は大層ワガママなヤツで、食器の重ね方、並べ方が気に入らない時は汚れを洗ってくれない。しかも、運転が終わるまで教えてくれない。なんなら、彼は最後まで押し黙っている。察する努力が必要である。
パズルが大好きなわたしは、食洗機くんが察して欲しがっている水の通り道をちゃーんと把握しているので、食器をうまく並べることができるのだ。上手くやれていると思う。

ふんふんとシンクを空にしたところで、ぐつぐつと煮えている鍋の火を消してスパイスを振る。「気分で入れたら上手くいった」の例が今日だ。もちろん失敗する日もある。
ナツメグは香味が強いので、入れすぎると本当にだいなしになってしまう。そういう緊張感も含めて、良いスパイスだ。

パンをトースターに案内して、ほかほかに日焼けしてもらえば「朝食みたいな夕食」の完成。

ふわふわかり、の食パン。
トマトがすっぱくて、ナゲットのジャンキーさがちょうどよいスープ。

天才かもしれない!

たぶん、スパイスを入れたのが今日の勝因。
数時間前までピザを食べたい、ピザを食べたいと喚いていた、脳内にいる9歳のわたしちゃんも黙ってスープをすすっていただろう。おいしい夕食だった。

大体の分量はメモできたし、きっとまた作れるだろう......か......?

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