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江戸っ娘の着物日和 vol.12: 日本の着物文化に思うこと

せっかく3連休が続くシルバーウィークですが、今年はお天気があまりよくなく残念ですね・・・
江戸っ娘も今年は引きこもりです。
着物を着てお出かけもできないので、この機に日本の着物文化について思うところを徒然なるままに書いてみようと思います。

自分で着るにしろ、着つけてもらうにしろ、夏祭りや花火大会に浴衣を着たがる人が多いのを見るに着物自体が嫌いな人は少ないと思っています。
でも、着物ってハードルが高い。。。
それにはいくつか理由があると思っています。
例えば・・・
    1.着方がわからない・めんどくさそう
    2.着物って高い・呉服屋さんって高いもの売りつけ  
      られそう
    3.どこで買えるかわからない・どう買ったらいいかわからない
などなどあると思います。
この辺について個人的な考察を書いてみようと思います。

1.着方がわからない・めんどくさそう

ここでまず皆さんに問いかけたいのは、正しい着方って本当にあるんでしょうか?

皆さんもご存じの通り、もともと日本人全員が着ていた日常服が着物です。ということは、今の私たちが部屋着としてスウェットを着たり、ワンピースやスーツでお洒落したりするのと同じような感覚でその日ごとにシチュエーションに合わせた着方をしていたはずです。

では、なぜこんな堅苦しくなってしまったのか。
一つには祖父母や親の世代が着物を着なくなって着方を教わる機会がなくなってしまい、そこに商機を見出した着付け教室の存在が挙げられると思います。
例えば、女性は「着物を着るときは体形が寸胴になるように補正をしましょう」と教わります。補正とは、腰の細くなっているところにタオルなどを巻いて体のデコボコのラインをなくすことです。
確かに補正をすると着物を着た後の体のラインがまっすぐになるのでキレイに見えます。
でも、日常的にこんなこと昔の日本人はしてたでしょうか?
個人的には、そんなしちめんどくさいことやってないと思います。だってスウェット着て家で過ごすのに体形やメイク、髪形なんて気にしないですよね。
それと同じだと思います。
もちろん基本を知ることは大事なのですが、一方でこのように「正しさ」が先行してしまい、着る楽しみが奪われてしまったのではないかと思っています。

また、私もそうでしたが着始めた時に怖いのが「着物警察」。
正しく着物を着られていないと街中で突然注意されたり、怒られたり、人によってはいきなり着方を直されたりして着物で出かけるのが怖くなってしまう方もいると聞きます。
もちろん、中には右前で死に装束になってしまっている方やいきなり粋に着こなそうとした結果、大幅に着崩れてしまっている方などもいますので、次回からご本人が困らないようにアドバイスする分には構わないと思います。
でも、多少帯が曲がっていようと帯と着物の組み合わせが自分の好みと合わなかろうとわざわざ言うほどのことではないのでは、と個人的に思っています。
きっちり来たい方はきっちり着ればいいし、洋服と同じようにいろんな組み合わせを試してみるのもいいと思います。
江戸っ娘がいつもチェックしている着物グループでは帯の代わりに太めのベルトを巻いたり、着物の下にスカートをはいてレース着物っぽく着たりして、着物を着ること自体を楽しんでいる方が多く、とても勉強になっています。

そして、最後に着る手順や小物の多さなどもありますが、これらは減らして手を抜くこともできますので、何はともあれお太鼓、ではなく、その方が求める着方を柔軟に教えられる環境も必要だと思っています。

2.着物って高い・呉服屋さんって高いもの売りつけられそう

これは祖父母・親世代が着なくなったこと、また戦中・戦後に食糧難で代々着ていた着物が質などに入れられてしまったことなどもあるでしょう。
本来、着物とは代々受け継いで着られるものです。
振袖などは祖母や母親から受け継いで着た方もいることでしょう。
よく時代劇などでは当て布でつぎはぎして着ていたりしますが、着物のライフサイクルとは、反物として作られ、着物に仕立て上げられ、着物として着られなくなったら布のサイズに応じて風呂敷や手ぬぐいなど身の回りのものに転用して使っていく、そういうものでした。
着物として着られるけど、自分の好みでない場合には染め替えや絵付けなどをして趣向を変えることもできます。

ただ、着物を着ない生活になったことにより、代々受け継ぐことがなくなってしまったため、新品で購入するものになってしまいました。
そうなると基本的には同じものは二つとない職人仕事なので高くついてしまう。
確かに製造工程を聞くと染めるのも織るのも非常に手間がかかっているので高いお値段が付くのは江戸っ娘も納得しますが、一方でどこかの御曹司やお嬢様でない限り生活費もありますし、年代によっては住宅ローンや子育て費用もあるでしょう。
簡単に着物にだけお金をかけられません。

もちろん、着物にも「たんす屋」を始めたリサイクル品を扱うお店もありますが、着物人口が減ってしまった今、店舗数も限られ、着物に詳しい人でない限りはこのようなお店の知識もないと思います。
また日頃から着物に慣れていないと粗悪品をつかまされはしないかという心配もあると思います。
そうすると必然的に最初に足を運ぶのは呉服屋さんになります。
ただやはり皆さまの想像している通り古い業界です。
営業員さんのお話を聞くと各社生き残りをかけて若い人への営業活動に力を入れていますが、反物の値段、お仕立ての値段、長持ち加工の値段等をまとめるといい値段になりますし、複数の店員さんに囲まれると不慣れな人はどうしたらいいかわからなくなってしまうと思います。
個人的意見としては、こんな若い人を怖がらせる売り方をしていては、いくら若い人への営業に力を入れても本末転倒でしょう。
商売ですから売るのも大事ですが、まずは売ることよりも敷居を下げていくことの方が大事だと思っています。
呼び水として既製品や小物のセールなどもありますが、これだけでは弱いように思います。

個人的には着物のユニクロやサブスクリプションをしてくれるともっと若い人にとっても身近になると思い、いつも行くような呉服屋さんには提案しているのですが、反物は一品物が多いので、後のお手入れなどの手間がかかりすぎるのでしょう。
着慣れてない人がラーメンやカレーなどのシミをつけてしまうと取れなくなってしまう心配というのもわからなくはありません。
ただ一方で、着物を着慣れている人でも、ちょうどいい帯がないなど一時的な利用の需要はあると思うので、ぜひ実現してほしいと思っています。

3.どこで買えるかわからない・どう買ったらいいかわからない

そもそも日常の行動範囲に呉服屋さんがなく、呉服屋さん自体どこにあるの?という方もいらっしゃるでしょう。
もしくは、もともとデパートは呉服屋さんだったところが多いですから、デパートの高層階にしかないと思っているかもいるかもしれません。
興味を持ってキョロキョロ見て歩いていると意外と地元の呉服屋さんが目に止まることもありますが、やはりこれも着物人口が減っている影響でしょう。

近頃はオンラインショップでも購入できますが、光の加減で色味が違ったりすることもありますし、呉服屋さんで選んだ反物でもいざ鏡の前で体に当ててみると自分の肌の色味と合わないこともありますので、自分に似合うものがわかるようになるまでは実物を見て購入した方が良いと思います。
またリユース品の場合はサイズが合わないこともありますので、その点も要注意です。

反物で購入する場合は呉服屋さんで寸法を測って仕立ててくれ、一つなじみのところを作っておくとサイズを記録しておいてくれるので便利です。
反物だけを譲り受けたのでお仕立てだけお願いしたい場合も持ち込めば、大体のところは対応してもらえます。
ただし、サイズは㎝表記ではなく、x尺x寸という日本の寸法ですので注意が必要です。

支払いに関しては既製品やセール品であれば、現金購入も可能ですが、奮発する場合にはカード払いや割賦での購入も可能です。
ただし、支払い回数が多くなれば必然的に金利も高くなります。少しでも節約するためには支払い回数を少なくする必要がありますが、前項でも書きました通り、そうそう簡単に工面できるとも限りません。さらにボーナス払いや来年まで待つというオプションが呉服屋さんでは提示されることもありますが、購入者側としては「ダメなものはダメなので、そこまで必死で売り込まないでほしい」と悩まされる点でもあります。


以上、今日は着物好きの江戸っ娘でもモヤモヤッとしている日本の着物文化について書いてみました。
これらをまとめると業界としての変革はもちろん、マーケティングに関しても課題がありそうですね。
これからも皆さまには着物の楽しみを伝えていければと思います。

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