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セクシュアリティのカミングアウトと私

こんにちは。
こんばんは。
おはよう、そしておやすみなさい。

It's me Ichikawaのオープンデースタッフのシーナです。

シーナの性自認は、アジェンダー。

アジェンダーというのは、ジェンダーを持たない、ジェンダーが中立、ジェンダーという概念そのものを否定する人たちのことを言います。
私はジェンダーを持たないスタイルから、アジェンダーをよく使います。
男扱いや女扱いではなく、シーナ扱いしてほしいな、というのが正直な気持ちです。

さらに私の恋愛志向はデミパンロマンティック、性的志向はアセクシャルです。

恋愛志向というのは、恋愛感情を向ける対象を表す言葉です。
デミロマンティックは、親しい人物に恋愛感情を抱く恋愛志向。
パンロマンティックは、相手の性別を問わずに恋愛感情を抱く恋愛志向。
これらを合体させたのが、デミパンロマンティック。
要するに、性別を問わず親しい間柄の人に恋愛感情を抱く、ということです。

そして性的指向とは、どのような相手に性的な欲求を抱くのかを表す言葉。
アセクシャルは、他者に性的な欲求をいだきにくい人たちの総称です。

要約すると、僕は親しくなったあらゆる人に恋愛感情を抱くけれど、性的欲求は抱かない、というセクシャリティということです。

このように自覚をするようになったのは、つい2~3年前のことでした。
仕事でセクシュアル・マイノリティの方と接するようになり、自分はセクシャリティのことをなんにも知らないんだな! と強い衝撃を受けました。
そして色々と調べている内に、このような理解に落ち着きました。

最初はもちろん戸惑いました。
私は自分のことを女性ジェンダーであると疑ったことがないまま生きてきたので、どうしていいかわからなかった。
でも、周りの友人がそうした私の変化に対して、「あ、やっと気づいたんだ?」と笑ってくれたとき、世界がひらけたような気がしました。

以来、私は自分のセクシャリティについて、特別隠してはいません。
隠してないというだけで、全員に詳らかにしているかと言えば、そんなことはありません。
カミングアウトをして不要な顰蹙を買うのも面倒でしたし、何より自分が攻撃されるかもしれないネタをみすみす提供するのは心許ありませんから。

ところで、30代前半の見た目が女性ジェンダーの私は、未婚であることを格好のネタにされます。
親戚も、祖父母も、両親すらも、私が未婚であることを恥じるような素振りを見せ始めました。

それでも、私はちっとも恥ずかしくありませんでした。
だって、結婚は相手がいて初めて成立するものです。
いもしない相手と結婚するのは誰だって不可能でしょう?

だから、誰に何を言われても、「ご縁があったらね」と返すことにしていたのです。

ところが、ある日のことでした。
父親がやけに神妙な顔で、私に言ったのです。

「孫の顔がみたいから、結婚してくれ」と。

アセクシャルの私にとっては、かなり酷な言葉でした。

孫の顔が見たい。
それはすなわち、私に性行為をしろと、そう言っているに等しいと感じたからです。

繰り返しになりますが、私は他者に性的欲求をいだきにくい性的志向を持っています。
性嫌悪も少なくなく、性行為そのものへの恐怖と不安を思うと、絶対に肉体関係など持ちたくないと思います。

けれど、父はそれを望んでいるのです。
それも、男性との性交渉を。

想像しただけでぞっとしました。
二度とその言葉を耳にしないためには、どうしたらいいのか、懸命に考えました。

そして、私は父にカミングアウトをしました。

「私はどうしても性行為をしたくない。だから、あなたに孫は見せてあげられない」

それは私のセクシャリティのほんの一部で、全てではありません。
今この記事を読んでくださっている方には、じっくりと説明することができました。
けれど、この出来事が起こったのはほんの一瞬のことで、時間も、心構えも足りませんでした。

、父は「頭がおかしい」「気が狂っている」「お前は普通じゃない」と、吐き捨てるように言いました。

悲しいかな、私はあなたが授かった子どもです。
もし頭に何らかの欠陥があり、気が触れていると言うのなら、あなたの育て方が間違ったのではないでしょうか。

そう言いたいのをぐっとこらえ、私は部屋を後にしました。
それ以上、話すことはありませんでした。

そんなことがあった以後でも、稀に孫の話が出ることはあります。
そんなとき、私は決まって、なるだけ剽軽を装って「石女でごめんね」と言うようにしています。
父は変わらず「お前はおかしい」と返してきます。

きっと、父には私のセクシャリティのことなど、理解はできないでしょう。
アジェンダーであることを知れば失神してしまうかもしれませんし、デミパンロマンティックだと告げれば卒倒してしまうやもしれません。

けれど、ふとした瞬間に思うのです。
父は頭の固い人だけれど、けして愚かな人ではないのだと。
理解できない物事にも、歩み寄る努力ができる人なのだと。

その証拠に、父は私に「結婚をしろ」とは、二度と口にしておりません。

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