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8月6日、広島の平和祈念式典に参加しました。

毎年この場所に綴っているのですが、私にとってのライフワークのひとつが「平和学習」です。

私の通っていた小学校では「平和学習」に力を入れており、道徳や生活の時間に「戦争」について多くを学びました。
先の大戦はもちろんのこと、いまもなお世界中で起きている戦争や紛争のことも勉強したのを覚えています。

今年は色々なタイミングがうまく重なり、息子と親友とともに、8月6日の広島へ旅行することができました。
その時の気持ちを残しておきたく、ここに筆をとります。

平和記念祭典に参列

撮影:親友

前日から広島入りし、8月6日の早朝から令和5年度の『平和祈念式典(広島市原爆死没者慰霊』に参列しました。

用意されていた一般席に座る予定でしたが、すでに多くの方々が会場におられ、後ろのほうで立ち見をすることになりました。

驚いたのが、国内外から多くの方々が参列していたのはもちろん、広島市民の方々が多く「ボランティア」として参加していたことです。
午前8時の時点ですでに猛暑でしたが、冷たいおしぼりや冷水をサービスしてくれる場所があったことにも驚きました。

さらに荷物検査、身体検査などもあって、厳重にセキュリティ管理がされていたことも知りませんでした。
会場運営には広島市の職員の方々(と思われる)がおられ、平和祈念式典そのものが多くの広島市民の手によって支えられていることを知りました。

テレビ中継を見ているだけでは気がつかなかったことです。

式典では多くの方々が平和を祈るためのスピーチをしていましたが、特に私の心を打ったのは、広島市民の子どもたちのスピーチでした。

そのまっすぐに澄んだ声を聞き、社会を支える大人として、これからの未来を守り抜いていかないとな……と身の引き締まる思いでした。

ひとつ残念だったのが、子どもたちのスピーチ中にもかかわらず、一部の報道陣の方々が外国人の方々にインタビューをしていたことです。
インタビューを報道することは彼らの仕事なので、仕方がないのかもしれませんが……これからの未来を生きる子供たちの声に耳をかたむけてほしかったです。


『被爆体験伝承講話』を聴く

撮影:親友

式典終了後、平和資料館の見学をしました。

資料館のなかで『被爆体験伝承講話』が行われていることを知った私たちは、講話を聴いてみることにしました。

後日調べてみたところ、広島市では『被爆体験伝承者養成事業』という事業を行っているそうです。

被爆された当事者の方々がご高齢になるにしたがい、被爆体験をお話される方が少なくなってきているという問題があります。

そこで、自らの被爆体験等を伝える「被爆体験証言者」の被爆体験や平和への思いを引き継ぎ、それを伝える「被爆体験伝承者」を養成する事業だそうです(広島市HPより)。

私たちが拝聴したのは、被爆体験伝承者8期生の中塚 慧さんによる「清水弘士さんの被爆体験伝承講話」でした。

第三者から聴く「被爆体験」は、被爆者の方の思いを丁寧に汲みながらも、感傷的になりすぎることはなく、その悲惨さと情報を私たちに伝えてくれたように感じました。

終戦から月日が流れていくなかで、このように「伝承」されていくのは素晴らしい試みだと思います。恥ずかしながら、今回初めてこの事業のことを知ったので、もっと広まってほしいです。

涙が勝手に溢れて来た平和資料館

会場の外まで多くの人が。

平和資料館の展示を見たのは、おそらく5~6年ぶりだったと思います。

ネットでは「トラウマになる」「ここまで見せなくてもいいのでは」など、展示内容について否定的な意見もあるようですが、現実にこのようなことが起きたことを噛みしめるためには仕方のないことではないでしょうか。

何度訪れても勝手に涙が溢れてきます。
かわいそう、とか、悲惨、とかそのような言葉では言い表せない感情です。

もっと奥底から揺さぶられる感じというか……被爆した人々の写真をみたとき、原爆によって「人間としての尊厳をすべて奪われてしまった」姿がみえたような気がしました。

原爆によって亡くなった、ご遺体の写真も展示されていました。
ニュースや新聞などでも、ご遺体の写真を見ることはほぼないと思います。衝撃的でした。

展示を見終えてロビーに出ると、どんな人もみんな一様に口を閉ざし、自分自身と対話している様子だったのが印象的でした。

確かに、展示を見るのはものすごくしんどいことでしたが、この悲惨さをきちんと展示してくれたことで、「平和」と「戦争が引き起こしてしまったこと」の重みを真正面から受け止められるのだと思います。


息子と親友とともにこの日を迎えたこと


資料館の地下室と息子

わずか1歳8か月の息子を、平和式典に連れて行っても意味があるのだろうか?
猛暑の広島を、朝早くから連れ回すのは親のエゴではないか?

など、息子とともに広島に行くことには、葛藤がありました。
でも、結果的に息子を連れて行ったことはよかったと思っています。

もちろんこの日のことは彼の記憶には残らないけれど、いつか大きくなった時、また一緒に広島に行けるかもしれない。
その時に、写真を見せたり、今回の思い出を話してあげたりできるのではないでしょうか。

小さな息子が走り回っているのをみて、たくさんの方が声をかけてくれました。
短い時間ですが、その方々とお話できたのも嬉しかったです。

そして、もっとも勇気をもらえたのは、平和式典には国内外や立場を問わず、多くの人が参加しているのを目にしたことです。

普段、平和と反戦について考えていても、日常でそのような会話をすることはめったにありません。
だから、周囲の人たちが平和と反戦についてどのように考えているのか、知る機会がないのです。

だけど、少なくとも記念式典に集まっていた多くの人々は、世界平和や反戦になんらかの気持ちを抱いて会場に集まっているんだ、と肌で感じられたのは大きな収穫でした。

何かと希望が失われていく時代ですが……一縷の希望を持って生きていけるような気がしたのです。



今日は78回目の終戦記念日です。

広島、長崎に原子爆弾が投下され、日本が世界唯一の「戦争による被ばく国」であること。
そして、現時点ではまだ「世界唯一」であることが、これからの悲劇を起こさないために大切なことではないでしょうか。

過去の戦争について考えることは、未来への平和や希望について考えることと同じことだと思っています。







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