◦black sheep◦
化学染料でも、もちろん草木染めでも、これだけ黒く染めることはできない。
原毛屋さんがそう仰っていた真っ黒なフリース。
静岡から届きました。
色、見た目からは想像できないやわらかさ。
ときどき白い毛も混ざっていたり、毛先は茶色かったりしますが、皮膚に近いところは真っ黒。
土・泥のみが付いているだけで、草が混じっていないフリース。
長年、羊と関わってこられた牧場さんのものというだけあって、とても綺麗なフリースです。
(金賞を受賞した、お墨付きのフリース)
先日届いた白のフリースと同様、
こちらも少しずつ洗っていきます。
少し遡って、この黒いフリースと出会った経緯を記しておきます。
昨年のEDANEさんでの展示後、打上げの日に “来年は黒のウールを使おう!” と決まり、それから探すも、黒い羊毛がない。
黒は非常に珍しく、原毛屋さんに問い合わせてようやくめぐり逢い、予約したのが昨年12月。
半年以上待って、ようやく届きました。
今までニットに使う羊毛は、洗いにかけられ、繊維を梳かした状態のもの(スライバー)を購入していましたが、黒は貴重だからか、洗毛が済んでいない刈り取った状態のものしか販売されていませんでした。
フリースを洗うということ、そこからすると大変なことになると思って今まで手を付けていなかったのですが、本音ではすごくやりたかったこと。
黒いフリースを予約してからは、文献探したり、ネットで調べたり、原毛屋さんに行って話を聞いたり。
洗うこと、羊のこと、繊維の性質、様々な情報をインプットし、黒いフリースに照準を合わせて動いてきました。
(本音ではものすごくやってみたいことなので、猛烈にインプットしたのです。)
予約後も紆余曲折あって、
先月には、もうダメかもしれないし予約キャンセルしようと心に迷いが出たり、
あるエピソードを聞いて涙が止まらなくなったり。
この羊は私が成長するために、いろんなことを運んでくれました。
この羊から学んだことは多々あります。
素材は有限で無限ではないこと。
個体差や、年によっても毛の質は変わってくるので、唯一無二で、またと同じものには巡り会えないということ。
そして、
特に、この黒いフリースに関しては、
私がニットに形を変え、それをたくさんの人の手に渡し、その人々の元で長く生き続けるということが大事。
私は経由地点であり、身につける方への橋渡しのような役割なんだと思いました。
当たり前だ、大げさなぁ
と、笑われるかもしれませんが、心の底から腑に落ちたのです。
これからモノづくりする上で、基本的な、そしてとても大切なことを教えてもらいました。
今年のEDANEさんでの展示。
すでに何度も打ち合わせを重ねて、わくわくするようなデザインが出てきています。
またお知らせいたしますが、どうぞお楽しみに。
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いとみち
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