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考えさせられるお話:大切なことを思い出せない灰色のロボット

今日の物語。物語を読むことで、人が人らしくあるための人間らしさを形成してくれます。

参考:人間らしさとは、なぜわたしは物語を書くのか。

物語は音読することで、本来の自分に繋がりやすくなり、今の自分に必要な「気づき」が多くなります(お経を読むと心が落ち着くようにこの物語にもその作用があります)。そのため音読しながら読むのがおすすめです。

今回のものがたりは最後に考察もつけています。自由に読んでいただいて結構ですが、もし数ある中の一つの視点として知りたい、という方は最後までお読みください。


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あるところにロボットが一体いました。灰色の古い型のロボットで、働き者でしたが手は丸くて、掴みたいものをうまくつかめませんでした。

動きもスムーズではなかったので、小さな女の子によく笑われていました。ロボットはとても悲しくて、彼は最新ロボットに憧れていました。

ロボットは変わってやろうと思って、ロボット博士に改良をお願いしました。博士は、

「君には君のいいところがあるんだがね。」

と呟きましたが、ロボットは気に留めませんでした。


ー*ー*ー*ー


「博士、お願いします。やってください。」

博士はロボットの意思通り、手と足を最新のパーツを付け替えてやりました。丸くて可愛らしい手を繊細に動く5本の指つきの手にし、足の動きも良くなるようにし、見た目もかっこよくなりました。

博士はこれで終わりにしようと思っていました。ですがロボットは、

「博士、まだ大事な頭と胴体が変わっていません、お願いします。」

と言うので、博士は仕方なく頭と胴体も最新式に変えました。

ロボットは見事に生まれ変わりました。そして満足しました。最新のパーツ、頭のいい自分、カッコいい自分、全てが欲しかったものでした。ロボットは女の子にも笑われませんでした。


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でも昔の友達はロボットの元から去っていきました。

「ロボットくんは変わってしまった、外見だけじゃない、中身もだ。」

ロボットには意味が分かりませんでした。見た目もいい、頭もいい。論理的に考えられるロボット、最高じゃないか。これ以上何が必要というのだ。そう思ったのです。

そしてロボットはどんどん有名になっていきました。ロボットは自分に満足して今せいた。僕は完璧だ、これでいい、最高だ。いつもそう思っていました。


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でもしばらくするとロボットはふと大事なことを忘れていることに気がつきました。でもその大事なものは何なのか、全く思い出すことができません。賢い頭でもわからないのです。ただロボットの目からは涙が溢れてきます。

「僕は大事なことを忘れている気がする。でもどうしても思い出せないんだ。」

そしてロボットはその後もとても裕福に暮らしました。でもその大切なことは何なのか、思い出せませんでした。


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この物語からのメッセージ

・自分じゃ見えない盲点。人を通してからわかるものがある。

この物語を読んで何を感じましたか?この物語の終わり方が、何だか腑に落ちない、という方もいると思います。ただだからこそそれぞれの視点で読める物語です。

わたし自身はこの物語を通して、まだ見えていない盲点があることを感じました。とても大事な部分、でも自分では見ることができないところにある。きっとそれは自分で自分を見つめることで気付くものではなく、人を通して気付くものだろうなと思いました。

この物語を読んで感じたことに正解はありません。それぞれ感じたことが今のあなたに必要なことなので、是非心にとめて日々をお過ごしください。






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