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赤ちゃんはいつから自己認識をするか


※この記事は速読の練習用として使えるように、太字部分を読めば1分程度で読めるように書かれています。ぜひやってみてくださいね!


みなさんはくすぐられるのは得意だろうか?

暇人はくすぐられるのは昔から大の苦手である。克服したく、鍛錬したこともあるのだが……

そして、くすぐったいというのは自分で触れても感じないのに、他人に触れられると感じるのはなぜだろうか?

それを確かめた実験の紹介をし、また、それを利用した乳児の自己意識の確認をした実験を紹介しようと思う。



くすぐりの実験

1971年、神経心理学者のウエイスクランツらはその‟他人にくすぐられたらくすぐったいのに、自分でくすぐってもくすぐったくない”という現象に注目し、このような実験をした。(あとでイラストを追加します!)

被験者と実験者の間にバーを置き、被験者側の先に羽をつけ、回転させるといったものだ。

すると、実験者がバーを回すとくすぐったさの刺激の反応が強かったが、被験者が自らバーを回した場合にはくすぐったさの刺激の反応が弱かった。

それがなぜかというと、自分で自分をくすぐる場合にはまず、自分の指が動いているという運動刺激が運動中枢に伝わる。そしてそれが脳の感覚中枢に伝えられて、くすぐったさを感知するニューロン活動が抑制される

つまりはくすぐったさを感じるかどうかは、その刺激がいつ来るかを自分で予測できるかどうか、が重要なのだ。自分でくすぐってもくすぐったくないのは、くすぐったい刺激が来るぞ!と予測ができるので、あらかじめそれを抑制するようにニューロン活動が抑制されるからなのである。



くすぐったさからわかる自己意識の時期

そしてこのくすぐったさの性質を応用して、2003年に早稲田大学の根ケ山光一と山口創が乳児の自己意識の確認の研究を行った。

それまで乳児の自己意識は、たとえば鏡に映った自分の顔を自分と認識できるか否かを観察するといった方法で確かめていた。だが、この方法ではそもそも認知的な判断が必要であり、その判断のために脳の成熟が必要なのである。

研究の内容は、お母さんが赤ちゃんをくすぐる、というものだ。‟自分が他人にくすぐられている”といった感覚があるということは、自分を認識しているということだろう。すると、赤ちゃんにくすぐったいという感覚が芽生えるのは、生後7~8か月であることがわかった。これはそれまで確認されていた自己意識の発達時期よりも、かなり早いものである。


つまりは今まで認識していたより早い段階で赤ちゃんは自分を認識しているということであり、身体に備わる知恵である身体知は、脳で判断する合理的判断よりはるかに先に発達しているということができよう。



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参考文献

「子供の「脳」は肌にある」光文社新書(2004)著 山口創


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