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SaaSビジネスを始めるということ - Scalebaseのこれまでの振返り

SaaSビジネス Advent Calendar 2019、8日目はアルプ代表の伊藤(@itokin)が担当いたします。昨日のSmartly.io 坂本くん(SaaSの営業が、アドネットワークの営業と勝手が違いすぎて全然上手くいかなかった話)からバトンを受け継ぎがんばります。

お前は誰なのか?

まず、簡単に。アルプという会社は、サブスクリプションビジネスの効率化・収益最大化プラットフォーム"Scalebase"を開発・提供しています。2018年8月に創業し、仲間を集め、様々な企業とのヒアリング・フィードバックを重ね2019年10月にようやくリリースしたばかりの事業になります。
その前は、僕自身は、ピクシブという会社で色々やっておりました。そして、自分が代表を務めていた時にサブスクリプションビジネス(pixiv有料会員:toCサブスクリプション)の裏側の管理基盤・決済基盤の複雑怪奇さと開発難易度に苦労した経験から、この事業を考え、今に至っております。

何の話をするのか?

まだScalebaseはリリースしたばかりで、立ち上がっても何もないステージで語るのも憚られるのですが、創業後1.5年の中でどういう風に事業を始めてきたのか、「どう作るか?」「どう売るか?」の構成で振り返りも兼ねてまとめてみようと思います。起業に限らず事業開発においても多少は有益になったら幸いです。(坂本くんリクエストのハードシングスの裏側についてはオフラインで対応します。笑)

どうやって作るか?

顧客と一緒に解像度を上げる:ヒアリングによるユースケース充足」
作りはじめは、解決する課題領域が(大まかにでも)定まって、自分たちの中でもユースケースを定義し開発を進めていくのが通例かと思います。

ここから解像度を更に上げていく作業については、Scalebaseの場合非常に時間をかけました。ざっと見返してもこれまで100社以上のSaaS、サブスクリプション事業者とは会ってオペレーションや今後の成長課題についてヒアリングしたり、プロダクトの方向性のフィードバックをもらってきました。なんなら今でも同じサイクルでやってる気がします。プロダクトのユースケースをひたすら充足させながら、どう汎用性をもって解決できるのかを都度考えています。

むしろあまり社内だけで考えることがかなり少ないかもしれません。例えば、(弊社の場合、公認会計士の方、企業内でビジネスプロセス構築を業務とされている方、大規模システム導入を主導されている方など)外部のドメインエキスパートにも頼りに頼り、業務委託でアドバイザーとして定期的にユースケースの確認をサポートしてもらうなど、「すぐ聞く」「やってる人と議論しながら作るのが一番早い」を徹底しています。

創業初期の営業では、事例や実績を求められても回答に苦しむ部分が多いです。Scalebaseの場合、ど想定しているユースケースの汎用性と蓋然性がどこまで高いかは、ヒアリング実績も踏まえて伝えることでそのハードルを乗り越えられるケースが結構ありました。独りよがりではないかの一つの証左にはなると思います。

「80%のユースケースを最もシンプルなUIで実現する」
一方、あらゆるユースケースを満たすプロダクトはないわけですし、確実に複雑性が増していきます。どうバランスを取るのか、2018.11月のSaaSTokyoでFORCAS佐久間さんが語られていたことがすごく残っています。それは、

「80%のユースケースを最もシンプルなUIで実現する」
「メジャーユースケースにフォーカス」
「マイナーユースケースは複雑でもOK」

ということ。これはまさに金言でScalebaseの開発でも絶えず意識していくキーワードとなりました。

「作るチームを創る」
何をどう作るのか、だけではもちろん何も進みません。開発チームの立上げも大きな論点です。ここは創業メンバーにエンジニアがいたこと、ユースケース理解・解像度の高いPOが初期にいたことが大きく助かって、何とかチームは順調に拡大して今に至ります。足りていませんが。
一方、デザイナーについては1人目の採用は本当に大変でした。いかに初期からそれぞれのロールの人を巻き込むかが、強い採用の土台を作ると痛感しました。
たまにいただくそういう事業立上げの相談にも、絶対に関係するロールを、なんなら共同創業で始められるくらいがいいと強く伝えています。

※本当はここで様々なロールがあるチーム内でどうドメイン・プロダクト・顧客理解度を揃えていくのか、VoCの活用方法なども話していきたいのですが、これはまたいつか。

どう売っていくか?

「どのターゲットにまずリーチするか?」
SMBなのか?エンタープライズなのか?どういう業界にまず特化するのか?という論点かなと思いますが、正直最初は全然考えられていませんでした。狙う価格帯や市場性を考えたら大手エンタープライズにいきたいとはいうものの、How?で止まっていた感じです。

ただ、SaaSがど真ん中ターゲットの一つであることは間違いなかったので、ヒアリング・提案においても、上場されてるSaaSベンチャーや大手のSaaS企業とはかなり意識をして密な連携を図ってはいました。そのおかげで非常に高い解像度で、多くのSaaS企業に臨めるようになったのは本当にありがたい限りでした。

ちなみに、SMB / エンタープライズについては、なんか、ベンチャーが想定しているエンタープライズと、真にエンタープライズセールスをやってるところとは、だいぶ定義が違う気がして話がちょっと噛み合いません笑

日本のSaaSはエンタープライズにいくべき、という言論が今は大きくなっていて、そこへのリーチやサクセスの手法が今後すごくポイントになりそうです。
Scalebaseも投資家のLP陣中心に、色んな伝手でエンタープライズの方々ともお会いし始めていて、そういう非連続な縁はベンチャーにはむちゃくちゃ効くなと思っています。ここは来年以後にもっとしっかり語っていきたいですね。

「いくらで売るか?」
初期のプライシングはめっちゃ難しいです。難しすぎる。値段はあとで変えていけばいいというのはScalebaseで提供しやすい価値の一つなのでまさにそうなのですが、料金モデル(基本料金と従量部分、等)とそのリストプライスと、始め方(有償トライアル、フリーレント、ディスカウント、等)と、要素がすでに複雑です。

初期はむしろロゴを獲得したいというのもありますし、何より多くの方に使ってもらって、プロダクトのフィードバックを強化していきたいということを考えるとタダでも今すぐ使ってくれという想いが出るのも事実です。
ただ、僕がこれまでいろんなケース踏まえた、色んな人に聴きまくりながらたどりついた原理原則は、例えばこんな具合でした(※FORCAS佐久間さん、田口さんからの影響が非常に大きいです笑)。この辺りはまた語っていきたいです。
- 無料では利用側のコミットが引き出せないのでトライアルとしても有償
- トライアルも3ヶ月だと、結果的なサクセスにならないケースが多いので6ヶ月をミニマムにする
- プライシングは経営の意思なので、安易に値下げはしない
- 一方、フリーレントや有償トライアルなど、その金額に至るまでの別の時間軸を用意したり、請求を変える(あとでもらえるならいいとする)

「どう営業していくか?」

アドベントカレンダー前日のこの記事を読むのが早いかもしれません。笑
正直まさにここはうまくいったりいかなかったりを繰り返しています。ただ、一つ言えるのは「機能売りではうまくいかない/限界がある」ということ。Scalebaseはあれもこれもできますよというのは、記事中にもあるように、それだけでは本当に意味がないんですよね。プロダクトベースだと機能ありきになりがちなのもありますし、商談も機能で議論し出すと議論がシンプルで易きに流れがちだと思います。

論点は実は違うのですが、Salesforceの営業の方とも先日話して面白かったのは、競合プロダクトが機能売りで提案していたケースは逆に負けること全く無いと。後発の方が機能売りを強く意識して負けがちは、確かにあるあるかもしれないです。
そんな課題を考えて唸っていたいた時にこの記事が出て来てギョエっとなったものでした。SaaSビジネスアドベントカレンダーと坂本くんに感謝しても仕切れない想いです。

まとめ:究極は顧客と未来への想像力

SaaSは、顧客のためのプロダクトですから、顧客との関係なしには何の進化もないというのが、作り方にしても売り方にしても特徴だと思います(というか全ビジネスがそうなっていくと思います)。
作る前、売る時、売った後、形は違えど絶えず向かい合うは顧客であり、またそこからのフィーバックループを継続すること。ようやくそのスタートラインに立てたのかなという気持ちで今振り返っています。

そして、顧客との対話とはいえ、顧客がサクセスするまでは、ただただ時間やコスト払ってもらい続けるだけです。それに値する課題を実感させれたりその先のソリューション・プロダクトのイメージを共有できてることも重要です。課題・ペインの深さに共感・興味がないと、まず時間やコストを使ってもらえません。その徹底と言語化の大切さを身を持って学んだ1年半でした。

更に未来の言語化もすごく効きました。自分たちの解決する課題の領域が将来どういう世界になっていくのか、そのときに自分たちがどこにいるのか?どういう未来において必要なのか?
未来はきっとこうなるからこの事業・プロダクトの存在意義はあると固く信じられることが、説得力あるセールスを作るだけでなく、事業・プロダクトを諦めない理由と必然性を生みます。

Scalebaseは、ビジネスモデルの進化にソフトウェア・ツールの進化が追いついていないという現状から始まっています。しかし、未来はサブスクリプション始めカスタマーセントリックなビジネスモデルが支配するのは間違い無いし、時間軸を含めた販売管理や契約管理の仕組みが確実にビジネスのインフラとしてマストになる、その未来を信じてやっています。

初期だからこそ、こうした言語化を重ねていくことで信じる理由が強くなれたことは、数々の苦労を乗り越える上で、また信頼関係を色んな人と構築していく上で非常に有益でした!というわけで、以上!

これまで非常に参考になったもの

最後に。これまで大きく参考になった情報の一部をまとめておきます。SaaSビジネスは海外や日本の先行事例がどんどんシェア・発信されていて、めちゃめちゃありがたいし、最高!

SaaSスタートアップ創業者向けガイド
まず、SaaSビジネスの立上げ方について、これ以上の網羅性はないと思います。著者も翻訳者も最強レベルなのですが、これを1章ずつでもチームで輪読するのは非常にいいと思います。こういう考え方・思考法が大事なんだねとなんとなくでもみんなが理解していることと、それを踏まえて現実の事象や国内の具体的な事例を咀嚼できたらすごい良さそう(すいません、実践できてない)

あとはVCの方々のブログも非常に有益です
DNX Ventures(※投資ニュースの間にはさまれるSaaS部が有益)
https://note.com/dnx_vc
BEENEXT / SAAS ALL STAR FUND 前田ヒロさん
https://hiromaeda.com/
Salesforce Ventures 湊さん
https://medium.com/@masayukiminato
https://note.com/minato1014

おまけ
僕が1年くらい前に書き起こしただけのメモですが、結構よくまとまっていますw

最後に:問い合わせ&採用募集!

皆さんと話したいです
Scalebaseはもうご存知の通り、SaaS事業者様がど真ん中ターゲットです。是非まだお話をお伺いでない皆様、と是非お話させてください。私に直接でも、こちらの問い合わせでも構いません、何卒🙇‍♂️

皆さんと働きたいです
また、アルプでは、セールス、セールスエンジニア、デザイナー、カスタマーサクセス、エンジニア、人事・採用、全ポジションを強く求めています。是非日本最高峰のBtoBソフトウェアを一緒に創っていきましょう!こちらからも是非🙇‍♂️

最後の最後に:明日のご案内

以上大変長くなってしまいました!明日は、Repro佐々木さんによる「海外進出のあれこれ」です!引き続きよろしくお願いいたします!

機会をくださった小松さん、ありがとうございました〜!


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モルガンスタンレー、ボストンコンサルティンググループを経て、2013年よりピクシブに入社、その後代表取締役社長兼CEOに就任。2018年8月にアルプ株式会社を創業。サブスクリプションビジネスの売上最大化・管理SaaS"Scalebase"を開発中。

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