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実録! カンピロバクター食中毒の10日間。鍼灸師視点から「こうすればよかった」と感じたいくつかのこと

2021年12月30日から2022年1月10日にかけて、カンピロバクターによる感染性胃腸炎を起こしました。もしかしたら誰かのお役に立つかもしれませんので、ここに詳細を記録しておきます。

まずは症状の変化を時系列で

12月30日 
日中、なんとなく寒気。
食欲がなく夕食が食べられない。
熱めのお風呂に入るが汗が出ない。なにかおかしい。
20時~ 38度の発熱 しんどくて朝方まで眠れない。
→発熱だけで他の症状なし。コロナ? インフル? と心配になる

12月31日
朝、37度に下がる。
→ああよかった。なんだったのかな? 1年の疲れでも出たのかな?
日中、おせち料理作りと簡単な掃除。
19時 年越しそばを食べる。
20時 ゾクゾクする寒気 39度4分
23時 カロナール服用 → 38度までしか下がらない
→やばい! お正月真っ最中だというのに。やはりコロナ? インフル?
 検査必要? 病院どうする?


1月1日
カロナール服用後38度前半→服用4時間後39度台→カロナール服用をループする。
1時 泥状便 この時点では普通の下痢 2時間おき
10時 完全な水様便 腹圧をかけなくても漏れてしまう オムツ必要
ここからの下痢は水+黒緑の海苔状便
→この下痢は普通ではない。これは感染性胃腸炎で決まり。ええと、29日に生牡蠣を食べたっけ。潜伏期間24~48時間か。ノロで決定だな。
13時 吐き気&嘔吐はじまる
このあと、発熱、嘔吐、下痢の3重苦。
→ノロであれば48時間で治まるはず。治療薬があるわけではないので、とにかく耐えろ、と自分に言い聞かせる。

1月2日
1時 強い腹痛 ここからは、発熱、嘔吐、下痢、腹痛の4重苦
唯一の救いは、熱の上限が38度前半、カロナール服用後は37度台になり、カロナールの間隔が6~8時間明けられるようになったこと。

1月3日
8時 発熱37度ちょうど。
→ああ、やっと48時間の長い闘いが終わった。やれやれ。
下痢、嘔吐、腹痛ともにピークの半分以下。

1月4日、5日
順調な回復。熱は平熱、下痢の間隔は2時間おき。重湯を口にしたり、身体を起こしてPCにむかったり、簡単な家事ができるようになった。

1月6日
8時 ガタガタと震えるような寒気。発熱39度6分
→この時の不安・恐怖は言葉にできないほど。なにがおきたのかがわからない時ほど怖いものはない。
カロナールを服用したが38.8度までしか下がらず。
悩んだ末に救急車をお願いした。
※救急車に関しては、1月1日、2日ともに検討し、7119番でも相談済。

救急病院
血液、尿検査、点滴2L+アセトアミノフェン&吐き気止め
血液+便の培養検査(結果は3日後)

医師の診たてはノロウイルス。
からだが弱っていたので再発熱したのでしょう、とのこと。
血液検査の結果はほぼ正常値。
CRPも1.04でこの程度の数値なら細菌感染ではなくウイルス感染、3日以内には改善するはずとの説明を受ける。
アセトアミノフェンの点滴で、熱も下がり、嘔吐も落ち着いていたので、入院せず帰宅。

帰宅後、夕方~また39度発熱。ここからまた、39度後半の発熱→カロナール服用後38度前半→約4時間後39度後半→カロナール服用をループ
最高体温は40.4度

最初の48時間(1月1~2日)にくらべ下痢が減っていたのが救い。
血液検査がほぼ正常だったという安心感もあった。

1月7~8日
相変わらずカロナールループ。
ただ、ほんのすこしづつ熱の上限が下がり、カロナール服用後の熱も37度台がみえてきた。
→しかし長い。こんなに熱が下がらないならノロじゃないのかな。週明け入院かなあ。

1月9日
熱は37度~38度をうろうろ。この日は1日カロナールの服用なし。
→一歩一歩回復に向かってる!

1月10日
朝、平熱36,5度
→やった! 今度こそ生還だよね?

1月11日
病院から電話あり。培養の結果、カンピロバクター感染だったことが判明。
熱は平熱で下痢もおさまっていることを話し、このまま自然経過に任せることに。
ギランバレー症候群という後遺症の可能性があることを説明される。

1月12日
ウンチさんに形がもどってきた
→これで完治

思考・感情の変化

発熱から始まったので、最初はコロナやインフルの可能性を考えた。
もしコロナだったら周りに迷惑がかかるという意味での不安。

腹圧をかけていないのに便が漏れるという人生初の体験。
これはまちがいなくお腹の病気で、コロナやインフルではないと確信し、ちょっと安心。

便の異常。まるで水道栓をひねるようにトイレに座っただけでシャーと。
大変なことが起きているんだと焦った。

ノロなら48時間耐えれば必ず終わるはず、という確信があったので、1月1~2日はなんとか耐えられた。

不安・恐怖のピークは1月6日の朝の39度。
あれは救急車をお願いして正解だった。

血液検査のデータを見て安心。
なにか身体の中で大変なことが起きていて、CRP(炎症反応)が爆上がりしたり、白血球がおかしなことになってるのでは? と心配していたから。

医師も安心したようで「家に帰れますよ」と明るい表情だった。

そのわりに1月7、8日は高熱治まらず、最高40.4度まで上がる。
またまた強い不安。

10日の朝の平熱には感動して涙が出た。

カンピロバクター感染だとわかって、なるほどこれは症状がひどいはずだわと納得した。

「こうしておけばよかった」と思うこと

発熱から始まる感染症には「麻黄湯」(12月30日)
家に「麻黄湯」を常備していたというのにすっかりそのことを忘れていた。
ゾクゾクしたら「麻黄湯」
発熱から始まる感染症には「麻黄湯」
この時点で「麻黄湯」を飲んでいれば、最初から39度まで熱が上がってトータルでは軽く済んでいた気がする。

熱が下がっても油断するな(12月31日朝)
朝、熱が下がっていたし、おせち材料を買っていたのもあって、おせちをつくったり、掃除をしたりしてしまった。
今考えると、感染者の作ったおせちなんて怖すぎる(笑)
それを食べた夫と息子はピンピンしていて二人の身体の丈夫さには感謝。

下痢嘔吐のピーク時は絶飲にすべし
下痢嘔吐がひどい時は、水をほんの一口飲んだだけでもそれが刺激になってよけいに下痢嘔吐がひどくなってしまう。
わたしはそのことを知っていたというのに、「脱水」への恐れから一口飲んでは吐き、一口飲んでは下しをやってしまっていた。
バカだなあ。

救急車を呼ぶか否か、ここは迷った(1月1日~2日)
もう一度同じことになったら、高熱、下痢、嘔吐、腹痛の4重苦の時点で救急車をお願いし入院するだろう。
迷ったが耐えた理由は4つ。
①お正月だから申し訳ない、医療体制も手薄だろうし。
②病院嫌い。入院なんてできる限りしたくない。
③オムツをしていないと便が漏れてしまうのが恥ずかしい。臭いし。
④治療薬があるわけじゃない。ノロなら48時間で決着がつくはず。

一番の反省点は「五苓散」を常備していなかったこと
なぜ「五苓散」を常備していなかったんだろう?
せめてせめて薬局が開いた1月4日に買ってきてもらえばよかったのに。
たまたま家にナウゼリン(吐き気止め)があったのでナウゼリンを飲んでしまったが、ここで「五苓散」を飲んでいればどれほど楽だったか。
「五苓散」は水分の調整もしてくれるすぐれもの。安いし、多くの薬局にも売っている。
水分がとれるようになった1月3日以降、もし「五苓散」を服用していれば、後半の発熱は防げたかもしれない。

水分摂取は常温ではなく体温で
枕もとにペットボトルの水とイオン飲料をおいてこまめに飲んでいたが、今考えるとこの時期の室温の水分は冷たすぎ、胃腸の負担になっていた。
途中でそのことに気がついて、サーモスの水筒に熱湯を入れてふーふーしながら飲むことで水分摂取が進んだ。
もっと早く気がつけばよかった。

正露丸は腸の動きを止めないなんて知らなかった
感染性胃腸炎の下痢は止めてはいけない。
そもそも発熱や下痢は、身体の中からウイルスや細菌を出し切るために身体がやってくれていること。
それはそうなのだけど、あまりにも下痢が頻回で水分がどんどん失われていくのが怖く、なにか手立てはないかと検索したところ……。

あの有名な正露丸は、木クレオソートと生薬でできていて、腸の動きを止めないので食中毒の時でも飲んでいいらしい。
知らなかった! 
あの独特なにおいから胃腸に悪そうだと勝手に思っていた。
すぐに夫に買ってきてもらい服用。
飲むと言っても1回分4錠を一気に飲んだわけではなく、まずは1錠のんで様子をみて、1時間後にまた1錠というふうに、身体の様子を確かめながら慎重に。結局3日間で飲んだのは4錠だけだったけれど、下痢の回数が格段に減ったのは正露丸さまさまだと思う。
もっと早く知っていればもっと楽だっただろうに。

夫に言われた目の覚める一言

「鍼灸師だろ? 自分でなんとかできないの?」
夫にこう言われてハッとしました。
大昔、まだ日本に西洋医がいなかったとき、下水も整備されていなかっただろうから感染性の胃腸炎はもっと多かったはず。たくさんの命が失われた中で、それを診ていたのは漢方医です。
わたしは中医学を学んだ鍼灸師です。漢方と中医学はちょっと違うのだけど、それでも自分の証を診たてて漢方薬を選ぶことくらいはできます。
治療薬がない感染性胃腸炎には、西洋薬より漢方薬の方が効果的です。
点滴は病院でないとできませんが、それ以外に自分でできることがたくさんあるということをすっかり忘れていました。
「五苓散」すら思いつかなかったなんて!
知識というお宝の持ち腐れでした。
ここ数年、ほんとに健康で熱を出したこともなかったので、すっかり健康ボケをしていたなあと思い知るいい機会になりました。

感染性胃腸炎で、今しんどい人方へ

検索からこの記事を見つけられ、今まさに感染性胃腸炎で苦しんでいる方へ

感染性胃腸炎はいつか終わりますので安心してください。
高齢者や子ども、基礎疾患がある、一人暮らしで不安などのかたは、我慢しないて救急車をお願いしましょう。病院に行って点滴してもらうだけでも安心できます。

若くて健康で自力で治したい方は、薬局に行って「五苓散」を買ってきて、お湯にとかして一口一口舐めるように飲んでみましょう。

早く治りたいからと無理に食事はとらないでください。
わたしは10日間ほとんど何も食べていませんが、水分さえ取れていれば問題ないですからね。
お腹が空いたというサインが来てから、一口一口よく噛んで食べてくださいね。

からだはつねに暖めましょう。
貼るカイロをお腹と背中に貼るといいですよ。やけどには気をつけてくださいね。

イオン飲料もいいですが、暖かい飲み物がいいですよ。
わたしは塩と鰹節と梅干しをお湯に溶いて飲むのが好きです。
甘い飲み物はほっとカルピスをおすすめします。
頑張ってくださいね。

最後に

からだが回復に向かう時の喜びは感動の連続です。
水がごくごく飲めた、ヤクルトが飲めた、重湯がたべられた、眠れた、うんちが漏れない、お小水が出る。
ひとつひとつの変化にガッツポーズをとりながら身体への感謝の気持ちがあふれてきました。
新年そうそう数年分の厄払いができましたし、東洋医学の専門家として喝を入れられた気もします。
最後まで読んでくださりありがとうございました。


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