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最後の最後の記述式~もったいない答案よ、さようなら~ 不動産登記法

伊藤塾の2022年合格目標全国公開模擬試験の採点を行った、伊藤塾スタッフのTさんとKさんが、これはもったいないなと思ったポイントを語っていきます。本試験でもったいない失点を防ぐ参考にご一読下さい。2022年合格目標全国公開模擬試験をまだ解いていない方は、ネタバレになりますので、ご注意下さい。

1 登記の目的欄について

T「今回は不動産登記法について、話したいと思います。まずは、登記の目的について気づいたことはありますか?」

K「1回目2回目共に、所有権、抵当権、根抵当権に関する登記という頻出の登記について出題されたにもかかわらず、かなり記載にバラつきがありました。」

T「確かに、記述式ではほぼこの分野に出題が集中しているので、記載にバラつきがあるというのは意外でした。採点をしていると、雛形をしっかり押さえるということの重要性を、再確認できます。」

K「もったいないということで言えば、1番根抵当権を2番根抵当権としたりするような、順位番号の間違いが、もったいなかったです。」

T「私も結構な頻度で見かけました。どの土地のどの担保権が問題になっているのかしっかりと把握できていないか、答案にする際の書き間違いか。いずれにせよ、山村講師の言うように、答案構成をしっかりしておくことで防げるかなと思います。」

K「第2回で根抵当権の登記名義人(株式会社)の本店移転による名変登記が出題されたのですが、「〇番根抵当権登記名義人住所変更」とすべきところ、「〇番根抵当権登記名義人本店移転」としている答案もいくつか見かけました。」

T「蛭町講師の言う、「登記の目的は、どの権利について、何が生じたのかを公示する登記事項であり、登記事項全体のタイトルに相当する。」という説明を思い出しました。この場合、「〇番根抵当権登記名義人」に「住所変更」があったことのみを示せば足りるというイメージを押さえておきましょう。登記原因が本店移転である旨は、登記原因欄に書くことになります。」

K「同様のものとして、第1回で根抵当権の一部譲渡による一部移転登記が出題された際に、登記の目的を「〇番根抵当権一部移転」ではなく、「〇番根抵当権一部譲渡」としていたものが挙げられそうです。」

T「分割譲渡と混同したものと思いますので、比較して押さえておいて欲しいですね。その他、第2回で抵当権の被担保債権の一部譲渡による抵当権一部移転登記が出題されていたのですが、ここも「〇番抵当権一部移転」ではなく、「〇番抵当権一部(金〇万円のうち金〇万円)譲渡」など、抵当権の譲渡等と混同している記載も見られました。特定移転登記である抵当権の被担保債権の一部譲渡による抵当権一部移転登記と、変更登記の一種である抵当権の譲渡等とで登記の目的の記載方法が異なるところですので、注意しておいて欲しいです。移転登記の場合は、基本的に登記の目的はシンプルに記載します。」

2 申請事項等について

T「申請事項等では何か気づいた箇所はありますか?」

K「登記原因日付の間違いはもったいないと思いました。第1回で出題された、抵当権者の合併による抵当権の移転登記において、登記原因日付を令和3年6月1日ではなく、6月8日としているものが多かったです。」

T「登記事項証明書を読み取る際に、合併の原因日付ではなく、登記の日付を読み取ってしまったパターンですね。割とよくある間違いではありますが、確かにもったいないです。答案構成をする際に重点的に確認すべき事項ですね。」

K「第2回では、登記の申請人については住所の記載が不要なものの、債務者の表示等には住所の記載が必要となるような問題文の指示だったのですが、住所の記載がないものが多かったです。」

T「問題文の指示に従っていなかった場合、減点されることはほぼ間違いないので、問題文の指示の読み飛ばしはもったいないポイントは高いですね。」

K「問題文の読み飛ばしという観点から言うと、登記が不要で登記の目的欄に「登記不要」と記載すべきところ、全く何も書かない答案も見かけました。」

T「登記が必要ないことまで分かっていながら、「登記不要」の記載がないということのみでみすみす得点を逃してしまうのは、もったいないです。」

K「少し細かい部分ではありますが、第1回で共有根抵当権において債権の範囲と債務者の変更登記が出ており、その場合変更がなかった根抵当権者についても、変更後の事項として債権の範囲と債務者を記載するということを忘れており、変更があった根抵当権者の債務者と債権の範囲のみを記載している方が多くいました。私が見たほとんどの答案がそうだったような気がします。」

T「ここは意識していないと書けないところではありますので、共有根抵当権の変更登記の場合は全部書くと意識しておいて欲しいところです。」

3 その他

T「その他に、何かもったいないと思った点はありますか。」

K「他の部分が書けているのに、登録免許税の欄が空白の答案が多くありました。今回は変更登記が多く出題されており、1000円と書けばいいだけの欄も多く、もったいないなと思いました。」

T「おそらく、計算に時間がかかるからという理由で、空欄にしているのだと思います。確かに、課税価格×税率の定率課税の場合は時間がかかってしまいますが、変更登記や抹消登記のように定額課税の場合はとりあえず1000円と書けば得点になりますので、埋めておいて損はないと思います。」

T「今回は、不動産登記法のもったいない答案についてお話しました。次回は商業登記法です。」

【つづく】

【最後の記述式~“連想力”で記述式を完成させる!~(山村拓也講師)】
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