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譲渡担保のキホン
みなさん、こんにちは。伊藤塾司法書士試験科講師の高橋智宏です。今回は、譲渡担保の基本をお伝えします。
【1】 意 義
譲渡担保とは、債権の担保として、債務者又は第三者(物上保証人)に属する所有権を債権者に移転させることをいいます。
〔基本事例〕 BがAから100万円の借入れをするに当たって、Bが所有している150万円の甲自動車について、Aのために譲渡担保権を設定した場合、BからAに100万円が弁済されるまで、甲自動車の所有権はAの手元に移転することになります。
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【2】 法律構成
譲渡担保は、所有権を譲渡して担保にする形式を取るため、目的物の所有権は債権者に移転することになり〔所有権的構成〕(大判大9.9.25)、債権者は設定者に対して目的物を担保目的以外には利用しないという義務を負います。
〔事例〕 Aが返済期日の前であるにもかかわらず、甲自動車をCに売却してしまった場合であっても、所有権はAの手元にあった以上、Cは甲自動車の所有権を有効に取得することができます。
【3】 清算の方法
譲渡担保を実行する場合、譲渡担保権者は、目的物の価額と被担保債権の差額を清算する義務を負いますが、その方法として、処分清算型と帰属清算型があります。
(1)処分清算型
処分清算型とは、譲渡担保権者が、目的物を処分して得られた金額と被担保債権額の差額を清算金として設定者に交付する清算方法をいいます。
〔事例〕 返済期日まで弁済がなかった場合に、Aが甲自動車をCに150万円で売却したときは、そこから100万円の優先弁済を受け、残りの50万円を清算金としてBに支払います。
(2)帰属清算型
帰属清算型とは、譲渡担保権者が、目的物を適正に評価し、その評価額と被担保債権の差額を清算金として設定者に交付する清算方法をいいます。
〔事例〕 返済期日まで弁済がなかった場合に、Aが甲自動車を自己の所有物とし、評価額を150万円としたときは、50万円を清算金としてBに支払います。
【4】 受戻権
譲渡担保権の設定者である債務者は、被担保債権の弁済期を経過した後であっても、譲渡担保権者が担保権の実行を完了させるまでの間は、債務の全額を弁済して、目的物を取り戻すことができます〔受戻権〕(最判昭62.2.12)。
【5】 集合動産譲渡担保
譲渡担保権は、構成部分が変動する集合物(e.g.甲倉庫に保管されている商品)を目的として設定できます〔集合動産譲渡担保〕(最判昭62.11.10)。
集合動産譲渡担保権の設定者が、通常の営業の範囲内で集合物の中の動産を売却した場合には、買主である第三者は、その動産について、確定的に(譲渡担保権の負担のない)所有権を取得することができます(最判平18.7.20)。
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