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知識習得におけるコストパフォーマンス

みなさん、こんにちは。伊藤塾司法書士試験科講師の髙橋智宏です。今回は、年明けの実戦力養成期以降で重要になる「知識習得におけるコストパフォーマンス」の発想についてお話ししていきます。

【1】実戦力養成期における学習スタンス

下記の記事でもお伝えしている通り、年明け以降の実戦力養成期の学習スタンスとしては「基本的に制度趣旨踏まえた理解を試みるが、理屈が困難なところは早く切り上げて結論をそのまま暗記する」のがオススメです。

【2】「理解」の切り上げ方

「理解」を切り上げるというのは意外と難しいもので、どうしても腑に落ちるまで考え込んだり、調べ物をしてしまったりするものです。実際、理屈や細部が理解しづらい知識に直面したときに、20-30分手を止めてしまったという方は多いのではないでしょうか。

そこで、「理解」の切り上げ方として持っておきたい発想が「知識習得におけるコストパフォーマンス」です。

【3】知識習得におけるコストパフォーマンス

すなわち、「立ち止まって知識を理解する時間を掛けること」がその知識を記憶するに当たり、コストとして見合っているかどうかを考えることが重要です。

これは、私が普段、講義の組立てを考える際に常に意識していることでもあります。例えば、理屈まで踏まえて話せば5-10分程度で説明できる見込みの論点があったとして、むしろ単純暗記として覚えた方が早そうな場合には、「ここは結論だけ押さえた方が早いです」とコメントして、簡単な説明で済ますこともあります。

【4】「結論だけ押さえた方が早い」知識の例

(プラクティカルコース教材抜粋)

例えば、上記の論点につき、講義では「ここは結論だけ押さえた方が早いです」とコメントするだけにしています。一応理屈の説明は下記の通りとなりますが、別に本試験で理屈自体が問われるわけではないので、読んでもイマイチピンとこないという方は、結論だけ押さえてしまえば全く問題ありません。

極度額増額による根抵当権変更の登記における利害関係人の承諾を証する情報は、「登記原因に関する第三者の許可等を証する情報」に該当するため、提供不要とも思えるが、極度額の変更の登記は常に付記登記で実行されるものであり、主登記を付記登記に変更する登記は許されないため、仮登記の申請段階で、利害関係を有する第三者の承諾を証する情報の提供が必要となる。

【5】最後に

司法書士試験は「いかに記憶するか」の勝負であり、「(制度趣旨を踏まえて)理解すること」はその手段にすぎません。

理屈や細部を理解するのに時間が掛かりそうな知識に直面した際には、その知識は直前期に回してしまい、短期記憶として勝負するのも有効な手段です。一つひとつの論点に固執せず、コストパフォーマンスを考えながら、テンポよく進めていきましょう!

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