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北谷馨の質問知恵袋 「完全親子会社間の吸収合併」に関する質問

今回は、「完全親子会社間の吸収合併」に関する質問です。

まず前提として、
吸収型再編において、存続会社等の資本金の額は、
「合併等の対価として株式が交付されれば、資本金の額が増加する場合がある。」
ということ押さえてください。細かい計算方法までは不要なので、まずこのルールを押さえましょう。
逆に言えば、「対価として株式が交付されなければ、資本金の額は増加しない。」ということです。

それを踏まえて、

完全親会社である存続会社をA会社・完全子会社である消滅会社をB会社とする吸収合併

について考えます。

合併対価は、「存続会社」→「消滅会社の株主」に交付するものです。A会社が、B会社の株主に合併対価を交付することになります。
しかし、「A会社がB会社の完全親会社」ということは、「B会社の株主はA会社だけ」ということです。そうすると、「存続会社」であるA会社が、「消滅会社の株主」であるA会社に対して対価を交付するということになってしまいますが、そのような無意味なことはできないので、「合併対価は交付できない(対価は0)」ということになります。

冒頭で確認したとおり、吸収合併によって存続会社の資本金の額が増加するのは、「合併対価として株式を交付する場合」ですが、今回はそもそも合併対価を交付しないので、資本金の額が増加するということもありえないのです。

なお、「対価が0」ということは、「存続会社が交付する対価が、存続会社の純資産額の5分の1以下である場合」に該当するので、存続会社において簡易手続が問題になるという点も合わせて押さえておきましょう。
また、存続会社は消滅会社の「特別支配会社」になるので、支配されている側の消滅会社においては略式手続が問題になります。

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