見出し画像

過去問を解いただけで満足するなよ❕❕

令和5年度(2023年度)司法書士試験筆記試験合格者の谷口遼馬さんに、ご自身のとった勉強方法のうち、過去問の解き方を語っていただきました。

令和5年度司法書士試験筆記試験合格の谷口遼馬と申します。合格という結果をもぎ取り、ひと段落ついた今だからこそ思うことをお話しさせていただきます。
来年以降の試験に向け勉強している方へ、ほんの少しでも力になれれば幸いです。

 
私は、令和元年の債権法改正の対応が必要な年から勉強を始め、4回目の受験で合格をしました。なので、一発合格!であったり、短期合格!のような方法は何もわかりません。
今から色々と偉そうに話しますが、違うやり方で受かる人は受かります。基本的に私の学力は平均してちょうど真ん中くらいの凡人だと思っていますので、俺様は天才だっ!!という方はページを閉じてください。

結論から述べます。

過去問を解いて満足するなよ!!

ということを伝えるため、私の失敗談から聞いてください。

私は4回の受験の内、1年目と2年目は基準点をどちらも下回りました。その時の勉強法は、

①テキストをとりあえず全部読み込む
②過去問を解く
③過去問の答えをそのまま覚える

この通りでした。この勉強法の何がだめで残念な結果になったのでしょうか。
 
思うに、①と③です。①については後述します。③についてですが、これが一番だめです。過去問の答えをそのまま覚えるというのは、問題を解く→解説見る→完璧に理解した(ような気になる)という流れのことです。
「いやいやいや、そんなのするわけないじゃん」と思った貴方、本当ですか?
何名かの受験生にあってきましたが、受験回数が多くなる方ほど、これをやっています。というよりも、それを過去問をそのまま覚えていると自覚していないことが多いです。

過去問というのはあくまで過去問であって、まったく同じ問題がそのまま出るというのはあまり想定できません。しかも、③は勉強した気になっているだけであって、なにも理解していないことが大半です。また、それと同じ知識だが、角度を変えた問題という問題に出会うと、また別のものとして覚えようとします。
こうすると、とにかく覚える量が多くなり、いざ問題を解くときに引き出しが多すぎてどの引き出しを出せばいいのかわからない、またはそもそも引き出しになっていない、ということになります。だから模試や本試験の問題を解くのに時間が掛かりすぎたり、この問題見たことがある気がするけどわからないとなるのです。

大事なのは、その内容と結論に導く理由(要件、事実、当てはめとも言います)です。私はこれを知らず、数年の迷走の原因になったと思っています。
そもそも、制度趣旨だの言われても、だから何さ、と思いないがら勉強をした結果です。悪いことは言いません。③だけは辞めましょう。時間の無駄です。そんな時間があるのであれば、信長の野望スイカゲームをやりましょう。楽しいですよ。

私は4回目の受験で合格したわけですが、3回目の受験も実はそこそこできていました。択一基準点のプラス7問とっていましたが、合格点より1.5点足りず、合格できませんでした。
2年目までを考えると、大きな進歩です。ここで成長できた理由は、

①テキストの読み方を工夫した
②過去問を解く
③過去問で間違えたところをテキストに戻り、自分で説明できるようにする

これらをし始めたことだと考えています。大事なことは、合格できなかったということは、何かの工夫が足りなかったということです。今までのやり方を変えるというのは、すごく難しいことです。意識を少し変えてみるだけで、劇的に結果を変えられます。

上にあげた①~③について、私の勉強法について具体的にお話しします。
まず、これはよく言われることですが、資格試験の勉強は、過去問に始まり過去問で終わる、これがまず大事です。ただ、これは私の迷走期でもやっていました。
私がだめだったのは、正しく解説を読み、テキストにしっかりと戻らなかったことです。すべての問題についてテキストに戻り、とりあえず読み込み、その全てを理解しようとしていました。

しかし、これは非常に大事なことですが、皆さまが学習されているのは、司法書士試験に合格するための学習です。これは、学問的な研究とは異なるものです。司法書士試験の試験内容は非常に膨大であって、その全てを理解しようするのは不可能です。それは、人生を早めにFIREして東大の入試を毎年(半分記念で)受けるような方が、趣味で司法書士試験を受けるときにすることです。もしこれを読んでいる方がそうであるならば、ぜひ極めて見てください。
別に全部が全部、理由が言え、根拠条文がわかり、そのようになる必要はないわけです。過去問そのまま出題されたら暗記した答えを書くだけですし、知っている判例が出たらそのまま答えればいいのです。そうではなく、わからない肢や二択に絞ったが答えが出ない、そんなときに理由が言えることに意味が出てきます。

つまり、自分が間違った問題の該当箇所についてテキストへ戻り、その文章をなるべく抽象化しておさえ、同じ知識を広範囲に使える知識として覚えるとしておさえよう、ということです。

具体例として、「取締役会を設置している株式会社が株主総会で解散決議をして解散をし、清算人就任の登記をする際に、定款の添付が必要か」という問題があったとします。
択一の点数が伸びなかった時期は、この問題の解説を見て、「取締役会設置会社が株主総会決議で解散し清算人の就任の登記をするときは、定款添付が必要である。」と覚えようとしていました。

この覚え方をしていた場合、例えば公開模試において、「取締役会を設置していない株式会社が存続期間満了により解散し、清算人就任の登記をする際に、定款の添付が必要か」という問題が出題されたら答えられません。非取締役会設置会社については解説に書いていないからです。

解説を読むときは、なるべく抽象化して論点をおさえるべきです。この例において正しい解説の読み方は、「株式会社が解散し、清算人の就任の登記をするときは、清算人会の設置の有無を確認するために、定款を添付する。」になると思います。
このおさえ方をすれば、その会社が取締役会を設置していない会社や存続期間満了で解散するときであっても、定款の添付が必要だと答えることができます。なぜなら、清算人会の設置というのは、株式会社であればどの形態であっても、どんな解散の事由であってもできるからです。

このやり方は、択一の解答速度が段違いに上がります。私は択一35問は35分以内には終わります。ちょっとした自慢です。

と、長々と偉そうに語りましたが、この勉強法が絶対に正しいというわけではありません。自分なりの勉強法を見つけ、効率の良い方法を探すのも試験勉強だと思います。つまり、過去問を解いただけで満足するなよ、と伝えたかったわけです。
この文章を読んだ方に、少しでも何かの役に立てればそれで満足です。
 
以上、良き試験勉強LIFEを!! 

「テキストを読み込みましょう」を文字通りに解釈するなよ!!!

答練を受けただけで満足するなよ!!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?