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<BACK NUMBER>「ちょこっと健康診断…模試」+憲法「生存権」

みなさん、こんにちは。
行政書士試験科の高木美雪です。

みなさんのお住まいの地域も、梅雨入りでしょうか。
ここ桜丘では、足元に滝の現れる日が増えました(この滝は、丘から渋谷川に一直線笑)。
恵みの…恵みの雨のはず…と信じ、今日も滝に抗います。

先日の「ゆる飯で整う」と称したコラム、「これぞ、ほしかった情報!冷蔵庫にコピー貼って実践しています!」等々、想像以上の反応をいただき感激しております。
お疲れの出る頃ですものね。
これからも、みなさんの心と体をゆるっと整える健康ネタ、お届けします。

健康といえば、社内では健康診断の結果ネタがささやかれる季節。
川○講師ったら、ランチ前に「魔法の白い粉」を飲んで、糖質をなかったことにしていたよね…。健診センターのお説教部屋回避策か…。
平○講師は、「毎日、±0.5キロの範囲でウエイト調整、で、これまた毎日、アルくんと1万歩歩いていますから。」…さすが。Mr.パーフェクト!
井○講師は、スマホのデータを開きながら、「見てや~!毎日の摂取カロリーを記録して、体脂肪率もひとケタキープ!」と、誇らしげ。見るからに健康優良児。
そして、我が科の健康問題児、藤○講師においては、もはや健康診断をこの世から抹消。
毎日毎日高カロリー食レポTwitterを綴り…「脂を食べるって、人生最高のお楽しみだよね!」…論外。

受講生のみなさんからは、模試のご報告と嘆きをいただく季節です。
「散々たる結果、受かる気がしません。」「ちゃんと講義を受けてきたのに、いざとなると解けません。」「やる気が萎えます…涙」…痛いほど、わかります、わかります。
そして、心からこうお伝えしています。
「この時期の模試は、『ちょこっと健康診断』程度に思っちゃいましょう。怖くて逃げ回り後悔した私からすると、健康診断をちゃんと受けて、現実と向き合っているだけで素晴らしい!まずは、解けるようになったところを認めてあげましょうね。そして、課題を早期発見できて、これからの大きなアドバンテージになります、絶対!」

健康診断に対する向き合い方は、人それぞれ。可処分時間にもよるでしょう。
1つ言えることは、結果を真摯に受け止めた経験は、必ずやみなさんの人生の糧になるということ。
講師陣も、みなさんを見習って、これからも精進してまいります。

さて、ちょこっと健康診断、チリツモ作戦に突入!
今日のお題は、こちら。
Q.憲法25条1項は、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営み得るように国政を運営すべきことを国の責務として宣言したにとどまらず、直接個々の国民に対して具体的権利を賦与したものである。

さて、判例の趣旨に照らし、この記述は〇か×か、どちらでしょうか?
制限時間は15秒!

…はい15秒!

正解は、×!

判例は、憲法25条1項を、「すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営み得るように国政を運営すべきことを国の責務として宣言したにとどまり、直接個々の国民に対して具体的権利を賦与したものではない。具体的権利としては、憲法の規定の趣旨を実現するために制定された生活保護法によつて、はじめて与えられているというべきである。」としています(朝日訴訟 最大判昭42.5.24)。
学説からは、はっきり断定はできないとされつつも、抽象的権利説に立つものと評価されています。

憲法第25条を見てみましょう。
憲法 第25条 
1項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

生存権の法的性格については、学説が対立しています。
この点、生存権を憲法上の人権とは考えず、国に政治的・道義的義務を課したに過ぎないとする考え方があります。
しかし、この考え方は、25条1項に規定された「権利」の意味が希薄となり妥当ではない、と批判されています。
そこで、「権利」と規定されていることを重視し、生存権を憲法上の権利とし、国に対して生存権を実現すべきという法的義務を課していると考えるようになりました。
ただし、生存権の内容は抽象的で不明確です。
よって、生存権は抽象的な権利にとどまり、それを具体化する法律が制定されてはじめて裁判規範性を有する具体的な権利となる、と考えられています。

判例をざっくりほぐすと、裁判所は経済のプロではないので、何をもって健康的で文化的な最低限度の生活というのかもわからない。
だから、時の政府に判断をゆだねた方がよい、としているのです。
生存権は、裁判で給付判決を求める根拠となるほどのタフな権利とはいえないよ、と。
なお、国民にとってよっぽどひどい法律を作ったら、そのときは裁判所も口を出すけれどね、と、ちくりと添えています。

この調子で、ちょこっと健康診断していきましょう。
では、また~!