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おそらく最も平和な豆まき

今日は節分。娘にとって初豆まき。  
 
保育園でも豆まきをしたそうなので、娘自身「豆まき=鬼に向かって豆を投げる」というのは理解していたと思う。  
 
私はといえば、スーパーで無料の鬼のお面が並んだときから密かに楽しみにしていた。 
鬼のお面をつけた私に、娘が「おにはぁ〜!そとぉ〜!」とけらけら笑いながら豆をぶつけ、「いててて〜!」とか言って、そんな娘の豆まき姿を動画に収める自分を想像しながら。  
  
 
 
「おうちに帰ったら豆まきしようね」 
 
「うん!」  
 
そう言いながら保育園から帰宅して、さっそく娘に豆を盛った木製の小皿を渡した。 
 
私は例の鬼のお面を装着。  
 
したのだけど。 
 
いざ装着するとお面が小さすぎて。 
 
というか私の顔がでかすぎて。 
 
アベノマスク現象が起きた。
 
 

 
オニノマスク。  
 
しかし視界最悪、呼吸しにくいという悪条件の中、我ながらしっかり鬼になりきることができたと思う。「ぐわー!鬼だぞーー!!」ってな具合に。もちろんいつでも撮影できるようスマホの準備もOK!さぁ娘よ!今こそ豆を!この鬼めに豆をぶつけるのだ!!!!ってな勢いで。 
 
そしてそんなオニノマスクを身につけた母を目の前に、皿の中から一粒だけ豆を取った娘は、てくてくてくと私のところまで近づいてきて、10cmくらいだろうか、そこまで距離を詰めて、非常にひかえめに、おそるおそる、上目遣いで、 
 
 
 
ていっ  
 
 
 
と豆を投げた。    
 
攻撃力0の豆は、私の身体にかすかに当たって、コロコロコロ〜と床に落ち、  
 
娘はその豆を、よいしょ、と拾うのだった。   
 
あ、もう一回それを投げるパターンか、再利用だね。  
 
と思って身構えていると、  
 
今度はその豆を私に差し出し、 
 
「たべものほしいの?はい、どうぞ」 
 
と言うのだった。  
 
「あ、ありがとう」  
 
私は、差し出されたその小さな手に、思わずお礼を言って、オニノマスクの隙間からその豆をポリポリ食べた。   
 
その後、気を取り直して「鬼だぞー!」と再開したけれど、結局、 
 
「鬼だぞー!」 
 
「たべものほしいの?はい、どうぞ」 
 
「ありがとう、ポリポリポリ」 
 
この流れを、皿の中の豆がなくなるまで繰り返した。 
 
そしてすべての豆が無くなると、案の定「もういっかい、まめまきする!!」と言う娘。
 
「ええ、もう一回?」 
 
「うん、もっかい、まめをあげたいの」 
  
  
 
……趣旨変わっとるがな。 
 
私のお腹は豆で膨れてきていたので、「じゃ、3粒だけね」と言って、最後の3粒を同じように楽しんだ。 
 
かくして娘の初豆まきは本来のそれとは違う、静かで平和なかんじに仕上がったのだけど、 
 
超至近距離から「ていっ」する姿も、 
「たべものほしいの?はい、どうぞ」と豆を一粒差し出す姿も、 
 
しっかりスマホに収めることができた。  
   
来年はどんな豆まきになるかな。 
 


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