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《シャンプー解説【前編】》ドラッグストアのシャンプーの話と、誤解しないで欲しいヘアケアの概念

操作イトウです。
日常的に、お客様から「ドラッグストアでオススメのシャンプーはどれですか?」と聞かれることがあります。美容師なら、みんな一度は聞かれたことがあるんじゃないかな?

この解答として美容師は、シャンプーについての知識がある方ほど、「ドラッグストアには、オススメは無い」といった話をするはずです。

ですが、この「ドラッグストアには、オススメは無い」は理由が多くて、結構話が長くなっちゃう。
時間に余裕がない美容師さんは、ついつい端折って話するからか、短時間でお客様に理解してもらうのが、ちょっと難しいのです。

なので今回は、「ちゃんと伝わってほしい、シャンプーの話」をかなり噛み砕いて、3話に分けてお話したいと思います。

※文中、「ドラッグストアで売っているシャンプー」について、文字数が多いので「市販」と表現することがあります。

誤解しないで欲しい、「ヘアケア」の概念

一般の方でも「シャンプー選びが大事なんだ」と考える理由は、ヘアケアの意識があるからだと思います。
シャンプーのCMで、サラサラ・ツヤツヤの髪の毛を見れば、それがシャンプーの影響なんだ、と考えるはずです。
ですが、このヘアケアの概念については、誤解されていることも多いです。

■「髪に栄養が行ってないのね」は間違い

例えば、傷んだ毛先を見て「髪に栄養が行ってないのね」と嘆いている場面がありますが、これは考え方としては間違っています。

「髪に栄養が行ってないのね」の考え方は、髪の中に血管のような管があって、毛根から栄養がつたってくるようなイメージだと思います。
だから栄養が渡った根元〜中間に反して、届かなかった毛先が傷んでしまっている、と考えている。

ですが実際のところ、髪の毛は、負った傷がターンオーバーして回復することはありません。

よくある、このシーン

■髪の毛には“自然治癒力”が無い。髪の毛はロケットえんぴつのように伸びる

理由は、髪の毛には“自然治癒力”が無いからです。

髪の毛は、お肌のように古くなった部分がターンオーバーすることはありません。
例えば、髪の毛に良いワカメをたくさん食べても、その栄養が行き渡って毛先が良くなることはありません。

そして、髪の毛は根元から生えています。

一番健康な状態である“根元の毛”は、ロケットえんぴつの様に次第に“毛先”になるため、何年もかけて徐々に“毛先”になる段階で、外からの刺激を受け続けてダメージを負っていきます。

一番健康な根元の毛が、そのまま毛先にまで伸びれば、ダメージのない髪の毛になります。
そのためヘアケアは、「いかに髪を保護して生活を送れるか」が大事な概念なのです。

ドラッグストアでのシャンプー選びは、そもそも難しい

そもそも、ドラッグストアでシャンプーやヘアケア用品を探すとなると、どれを選んでいいのか、とても難しいですよね。
色々ポップが立っていたり、パッケージの裏側の小さい説明書きが書いてあるけど、フワッとした表現で「で、私にはどれがいいの?」となりがちです。

結局、買って使ってみないと試せないし、実際それが自分に合っているのかどうかも、よくわからないのではないでしょうか。
また買ったら買ったで、「使い切らなきゃもったいない」精神が働いて、中々次を試す機会が来なかったり、「またコレでいいか」と、次を試すこと自体が億劫になってしまうものです。

市販のシャンプーは、「安さ」が大前提。その理由は…

例えば、美容室やロフトに売っているサロン専売品のシャンプーの相場は、250mlのボトルで1500〜3500円(税別)ぐらいです。
対して、市販のヘアケア用品には1000円以上する物は、ほとんどありません。

これは、ドラッグストアでは「安くないと手に取ってもらえないから」です。

ドラッグストアの棚にたくさん陳列されたシャンプーは、常に他者競合。シビアな競争から選び取ってもらうためには、他社より魅力的な商品でなくてはいけません。

「使い心地」は買ってみないと分からないため、市販を店頭で選び取るのに最重要なのは「値段」と「パッケージ」です。

あらゆる商品を、取捨選択している

①手に取れる「値段」が最重要

消費者にとっては、高額になる程「手軽さ」が無くなってしまい、「試してみよう」と手を伸ばせなくなります。
購買意欲をそそらない商品は、「試す」機会も無いまま負けてしまう。そのため「値段」は必須条件なのです。

そして、安く売るためには、安く製品を作る必要があります。
そのため、サロン専売品のような「高級な成分」を用いることはできず、「使い心地」の差別化を図るのには限界があります。

鎬を削っている、陳列棚

②選び取る「パッケージ」が最重要

店頭では、派手でキャッチーな「パッケージ」によるアピール合戦が繰り広げられています。

製品名が表面にドンっと載っていて、ターゲットに用途が伝わりやすいようにしています。
「成分」による「使い心地」が分かるように『〇〇成分配合』と表記したり、プラスになる表現が惜しみなくアピールされています。

また、CMの効果も絶大。旬の女優さんが花を添え、イメージアップを狙うのは、企業努力の賜物です。

「あ、これCMでやってたやつだ」

「オーガニック」「ボタニカル」を選べばいいかも?

昨今のオーガニック志向の高まりから、「オーガニック」「ボタニカル」がいいんじゃないか?と考えて、市販を試した方も多いと思います。

ですが「オーガニック成分」は栽培、抽出するのに手間がかかるため、ひとつひとつが高価です。
沢山配合すると、もちろん値段が上がってしまいます。市販でも商品化されているけど、取り入れるには市販の「手軽さ」を超えてしまうはず…。

◎「オーガニック成分配合」はウソ?

残念ながら、日本には「オーガニック」や「ボタニカル」と名乗る為のコスメ類の規定がありません。
規定がないということは、、オーガニックっぽい成分を少し入れただけでも「オーガニック〇〇」と唄えてしまう。

そのため、市販には内容の99%以上が科学成分なのに、ちょびっとだけオーガニック成分を配合して「オーガニック成分配合」と表記をしている、実質オーガニックではない製品が横行しています。

日本なら一滴でも、オーガニック

◎「オーガニック」「ボタニカル」の正しい見極め方

海外(主にヨーロッパ)には、オーガニックにまつわる協会などがあります。
日本のメーカーも、オーガニックの成分を配合した商品に対して、協会からの認証を得ることが主流になっています。

認証を得ると必ずマークが表記されるので、選ぶ際には大きなポイントになります。

規定されたオーガニック成分を配合すること、またオーガニック成分の配合比率を守ることなど、それぞれの協会が設定した水準を満たしていないとマークはつきません。

ドラッグストアなどで売っている安価なものは疑わしいので、必ず認証マークをチェックすることをオススメします。

認証マークの一覧が載っています↓

シャンプーについては、話したいことだらけ

書き始めたら膨大な量になってしまったので、3分割しています。
これでも美容師にとっては「基本の知識」なのです。
次回もお楽しみに。


ではまた。

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