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子供は大人を簡単に越えていく

 今回の道徳授業のテーマは平等。学習指導要領の言葉では「公正、公平、社会正義」という部類になります。今回は、事前の予習で子供たちの感想に多く出された「平等」という言葉を使って授業を展開しました。ちなみに小学4年生が対象です。キッシュ@令和道徳のススメ さんの記事を参考に授業しました。


 さて、タイトルにもある「平等ってどういうこと?」と問われたらどのようにお答えになるでしょうか。小学校道徳(中学校でも同じですが)で扱う事柄は、私たちが普段あまり意識することなく、言い換えれば「当たり前」と思っていることが多く取り上げられます。今回の「公正、公平、社会正義」に関しても、誰もが納得いくように答えられるかというと自信がない人もいるのではないでしょうか。実際に私も自信はありません。しかし、だからこそ考える価値があると思うのです。


 子供たちは私の考えをいつも越えていきます。いくら私が事前に教材を研究し考えを深めていたとしても、子供たちにはかないません。本当に子供たちの純粋なまなざしは、いつも私に大きな刺激をあたえてくれます。


 今回も、「平等ってどういうこと?」の問いに対し、実に様々な視点で考えを広げ深めていってくれました。例えば「プレゼントやお年玉をお兄ちゃんは多くもらうけど私はお兄ちゃんより少ない。これは別に不平等って分けではない。」という意見がありました。この意見に対し、大人は(少なくても私は)普段、年上なのだから多くもらって当たり前と言いがちです。しかし、子供たちの考えはこうです。


「年上の人だって、最初から年上じゃないし、私だっていつか年上になるのだから不平等ではない。」


どうですか。子供たちは、私たちが思っている以上のことを考えていると思いませんか。他のどの意見も「なるほど!」と思うものばかりです。誰かの発言に対して次の発言をつなぎ、全体としての考えを深めていくことができるのです。ものすごいポテンシャルです。


 私の役目は、子供たちのこの多様な見方・考え方を受け入れ、より思考しやすいようにつなげ、これまでになかった価値観を創造するきっかけをあたえることです。ここで創造した価値観は5年生になったら変わるかもしれません。それは当然のことです。しかし、多様なものの見方・考え方は一生ものです。それをうまく活用し生活に生かすことができれば、どんな壁が立ちはだかっても乗り越えることができるでしょう。


 子供たちは無意識な哲学者です。簡単に大人を越えていきます。ただ大人に比べ語彙力や表現力が未熟なため、言いたいことがうまく言葉にできないときがあります。そんな時、大人は「どういうこと?」「もう少し詳しく教えて」と、子供の真意を辛抱強く引き出したいものです。大人が考えていた事とは全く違うことを子供は考えているときがあるからです。大人が子供の真意に気付いたとき、きっと子供もその真意の価値に気付くことでしょう。

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