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妄想彼女

 地主恵亮「妄想彼女」という本がある。 
 彼女がいないのに、まるで彼女がいるかのように写真を撮影するテクニックを教える本である。
 彼女がいるかのように写真を撮るテクニックを磨く時間とエネルギーがあるのなら、リアル彼女を作ることにその情熱をそそいだほうがずっといいのでは、と思うひとがいるかもしれないが、じつは、話は、そう簡単ではない。
 なぜなら、いないものはいないのだから。努力したって、いないものは、いない。 
 努力は必ず報われる。わけではないのが恋愛である。 
 彼女がいないのに、彼女がいるふりをする、カメラ撮影のテクニックを教える本。 
 バカみたいな本だが、バカみたいな自分さえ気にしなければ、「撮り終わった後には、達成感と虚無感を同時に感じられるはずです」とエピローグに書いてある。

 私は、妄想をベースにして、小説を書いている。
 妄想は、人間にもともと備わっている性癖のようなものではないかと、それこそ妄想するのだ。

 なお、この作品は、2015年ドラマ化された。


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