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ウルフガイシリーズの大ファンだった友人

 高校時代、平井和正さんの大ファンの友人がいた。ウルフガイシリーズをすすめられた。いわゆる純文学を信奉していた、というより、食わず嫌いで、そのジャンルの小説しか読んでこなかった私は、SF作家の小説は読む気がしなかった(と書いてきて、星新一さんは愛読していたことに気がついた。いま思えば、ジャンルの問題ではなく、バイオレンスっぽい雰囲気が好みじゃなかったのだろう。代表作「幻魔大戦」は、石森章太郎さんの漫画で読んでいた。アニメ「エイトマン」は観ていたが、その原作を書いていたことは知らなかった)
 ウルフガイシリーズをすすめていた男は、SF作家になりたい、と熱く語っていた。クラスメイトのグループ回覧ノートのようなものに実際にショートショートを書いていて、私も読んだ。失礼ながら、おもしろいとは思えなかった。かれは「SFマガジン」を毎号買って読むような、SFファンである。コアすぎて、私のような(一般の)読者にはわからないのだろう、と思った。

 高校を卒業して以来、私はかれに会っていない。獣医大にいった、と風の便りに聞いた。
 2015年。平井和正さんが亡くなった。かれのことを思い出した。
 つい最近、書店で、復刊した「ウルフガイ」の文庫本を見つけた。懐かしい友人に会った気がした。

 かれには会っていない。また、かれがSF作家になったという話も聞かない。


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