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とはいうものの、堂々とそれを言って、世間(妻)が、すんなりと納得するような偉大なクリエーターは、そうたくさんはいないと思うけれど

〇月〇日

 安野モヨコ「還暦不行届」を読む。前作「監督不行届」が面白かったので、今回も購入。そもそも安野モヨコさんの漫画は大好きで、たいてい読んでいるのではないだろうか。今回は、エッセイ漫画ではなく、大半を文章が占めている(一部漫画もある)
 面白さは変わらない。家の中でも、モヨコさんは夫のことを「カントク」と呼んでいるのだとか、「カントク」は、掃除するときも昔のアニソンをかけているのだ、とかそんなことで小さく笑う。「カントク」は、モヨコさんのことを「立派なオタ嫁になったよ」と喜ぶ。
「え? どこが」と驚くモヨコさんに「だってファイヤーマンの主題歌ソラで歌えるし、ミラーマンのイントロだけでセリフ言えるようになったじゃん」
 「カントク」の姿勢はよくわかる。そういう細かいことにこだわるのが、オタクなのだ。
 帯のコピー「わしを大人扱いするな!」
 モヨコさんが「コートくらい自分で着なよ」と言ったところ、「わしを大人扱いするな!」と返されたと言う。あ。なるほど。「わしを大人扱いするな!」=「わしを世間の常識で測るな!」ということではないだろうか。クリエイターはみんなそう思っているのかも。
 とはいうものの、堂々とそれを言って、世間(特に妻)が、すんなりと納得するような偉大なクリエーターは、そうたくさんはいないと思うけれど(たいていは自分の年齢を考えろ! で終わってしまう)
 ちなみに、庵野秀明さんのアニメや映画もたいてい観ている。好きな作品、そうじゃない作品があるけれど。

〇月〇日

 少年ナイフを知っているだろうか? 
 ネットがない時代、世界で一番有名な日本のバンドと言われた。実際にアメリカのカレッジチャートに曲が入っていた。当時の日本の音楽雑誌で見たことがある。ニルヴァーナの前座で全英ツアーを行ったこともある。それくらいアメリカでは認知されていたのである。
 それでも日本では知られていない。それは現在でもそうだろう。
 パンクバンドである。パンクの演奏に合わせて、

 ペダルを踏みしめ汗を流せば
 地図にないサイクリングロード
 誰も知らないサイクリングロード
 Run run run de run.
 Ride,riding on a bicycle.

 のような歌をうたう(「サイクリングは楽し」)。お花畑系脱力パンクである。
 八十年代、存在は知っていたが、私は熱心なファンではなかった。いまでも同じだ。でもCDをラックから取り出して、時折聴いてみたくなる。
 「山のアッちゃん」(1984年)。セカンドアルバムのタイトルだ。
 メンバーに、山野敦子という人がいる。だからかなと思う。アルバムのタイトルの由来は。
 「山のアッちゃん」=やまのあっちゃん=山野敦子(やまのあっこ)
 ちなみに、このアルバムには、「山のアッちゃん」という曲はない。

 少年ナイフ。そんなバンドだ。

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