弁理士 伊藤 大地

弁理士。伊藤・甲本国際商標特許事務所(itokomoto.com)の共同代表。 商標法…

弁理士 伊藤 大地

弁理士。伊藤・甲本国際商標特許事務所(itokomoto.com)の共同代表。 商標法・著作権法・意匠法・不正競争防止法が専門。 2021年度日本弁理士会著作権委員会委員長。 月刊「デジタルカメラマガジン」にて「写真を楽しむための著作権Q&A」を監修中。 元自治体職員。

最近の記事

氏名・芸名・グループ名のブランド保護について(アーティスト・クリエイター・スポーツ選手・音楽グループなど。法改正情報含む)

アーティストやクリエイター、スポーツ選手など、個人の名前がブランドとして機能することは、世の中的には少なくありません。また、音楽グループなどの団体名は、会社ではないにしても、一つの組織として周りからは認知され、ブランド価値を持つようになるものもあったりします。 日本では、氏名をブランドとして用いた場合の法的保護について長年議論が進められてきましたが、このほど(2023年3月10日)、自らの氏名を含む商標について、登録を認める方向とすることが閣議決定されました。 経済産業省

    • 区史(自治体史)に関する著作権トラブルについて考える

      はじめに2023年2月、東京・世田谷区の区史(自治体史)の編纂を巡り、著作権トラブルが発生しました。東京新聞で「世田谷区史の著作権は誰のモノ? 区と執筆者が対立している理由とは」との記事が公開されています(2023年3月8日現在)。今回は、この事件を題材に、著作権について考えてみたいと思います。 区史(自治体史)は著作物か?この事件で検討すべきポイントはいくつかありますが、まず素朴な疑問として、自治体の歴史を記述した「区史(自治体史)」は著作権で保護される対象なのか?という

      • 身近なものから知的財産を考える⑵裏側

        前回の投稿から随分と時間が空いてしまいました。 前回は消費者の目線で買い物をする場面をイメージしてみましたが、今回は商品を提供する側の目線で見てみたいと思います。一例として、新しい商品を作るという例を考えてみます。 なお今回は、具体的な「知的財産」の種類が出てきます。へーこんなのがあるんだ、程度で軽い気持ちで読んで頂ければと思います。 ⑴ 企画・製造の段階新商品を作ろうという場合を想定してみたいと思います。検討すべき事項は、具体的な商品によって変わってきますが、ざっくり

        • 身近なものから知的財産を考える⑴表側

          皆さんは、知的財産と聞いて、何を思いつくでしょうか。知的財産が実際の社会でどのような場面で登場するものか、身近なところから考えてみたいと思います。 ⑴ 日常の買い物(お店選び編)普段、スーパーやコンビニで飲食料品を購入するとき、どのようなことを気にするでしょうか。いつもの店でしか買わない方もいれば、その日の気分で行く店を変える方もいるかと思います。これらのどちらにも共通するのは、何かしらの「目印」を辿ってお店に足を運んでいるということです。何を当たり前のことを、と思われるか

        氏名・芸名・グループ名のブランド保護について(アーティスト・クリエイター・スポーツ選手・音楽グループなど。法改正情報含む)

          僕と知的財産

          僕は、知的財産と15年くらい前に出会いました。紆余曲折あり、現在は弁理士として知的財産業界に身を置いています。業界にいるとよく聞くのが、「知的財産は難解」という話です。知的財産はいくつもの法律によって複雑に規定されていて、しかも法律の条文を開いてみると、長々と書かれていて、知的財産の初心者からすると、一度読んだだけでは、いったい何を定めているのかさっぱり分からないようになっています。 僕自身、初めて知的財産に触れたのは大学での授業でですが、多分に漏れず、さっぱり分からなかっ