コピー分析#2

題材:熟れてる幸せ


1.選定理由


これは私がよくお世話になっているスーパーさんのキウイ売り場で見かけたコピーです。
作成者は不明ですが、おそらく営業職さんの手作りかメーカーさんの既存POPだと思います。
このPOPを目にした時、「なんて生活者視点に立った広告文だ!!」と感嘆の声を上げそうになりました。
せっかくなので、写真を添付したいと思います。
読みやすいよう工夫が施されたボディコピーにも注目です。

今回はこちらのコピーを独自の視点で分析していきたいと思います。

2.ターゲット予想

フルーツは好きだが、熟れるまで待つのが面倒だと感じている消費者。
また、同じ理由でフルーツを買わなくなってしまった消費者。

3.コンセプト予想

「もう、待たなくていい」
「『今』が旬のフルーツ」
「すぐおいしい」
「待ちきれないあなたに」

いくつか考えてみましたが、もっと良い表現はいくらでもありそうですね。
正解はわかりませんが、「フルーツが熟すのを待たずして食べられる」というメリットを伝えようとしていることは間違いないかと思います。

4.考察

「熟れてる幸せ」

短く、端的で、超ドシンプル。
熟れているほうがすぐに食べられるから幸せなのは当たり前ではないか。
そう考えると一見何の変哲もないコピーに見えます。

しかし、このコピーが無かった場合、消費者は売り場のキウイが食べごろかどうか判断できるでしょうか。
手に取ればわかる方は多いかもしれません。
そう、手に取れば。
しかし、このコピーの存在によって、売り場のキウイはすべて食べごろだということが一目でわかるようになっているのです!

さらに、このコピーの優れた点は、熟したフレッシュキウイを食べたい方以外にも効果を発揮するという点です。
その理由は、フルーツの使い道はそのまま食べるだけではないという点にあります。
例えば、ジャムを作りたい人であれば熟れているフルーツを買うでしょう。
お供え用で買うのであれば、日持ちする熟れていないフルーツを買うでしょう。
つまり、「熟れてる幸せ」の一言は、消費者が自分の使用目的に適しているかどうかを一瞬で判断できる、とてもとても優しいコピーなのです。

当然だと思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、フルーツはそのまま食べるという発想しかない私にとっては大きな発見でした。

また、ボディコピーにも感動しました。
大前提として、広告は読まれません。
そのため、広告は一瞬で見た人に情報を伝える、もしくはインパクトのある見た目で目を引き付けるといった工夫が必要になります。
その点、このボディコピーは全文を読まずとも、赤文字さえ読んでしまえばメッセージが伝わるようになっています。
また、「日本産」という言葉が使用されているのも消費者からすると安心して購入できるポイントですね。

まとめ

さて、今回はとあるスーパーのPOPに書かれていたコピーをテーマに取り上げました。

コピーと言えば、TVCMやポスターといった媒体をイメージしがちですが、視野を広げてみると、意外と身の回りにはたくさんのコピーが存在していることに気づかされました。
いやはや、非常に勉強になります。

私がコピーライター養成講座に通っていたころ、1回目の講義で講師から言われた言葉があります。
それは、「コピーとは、新たなストーリーを作る言葉だ」というものです。
ここでいうストーリーは、発見や発想とも言い換えられると思います。
また、「誰かのために生まれた言葉を、「コピー」と呼ぶ。」という宣伝会議さんのコピーがあるように、私に新たな発見を与え、消費者のためを想ったこのコピーは、広く知られることはないかもしれませんが、間違いなく優秀なコピーだと思います。

少し話が脱線しますが、私が転職活動をしていた際、とある制作会社さんの選考でコピーを書く機会がありました。
私はそこそこいいコピーが書けたのではないかと思いましたが、フィードバックの際、「もっと消費者の視点になって考えたほうが良い」と一蹴されました。
そこそこ書けたと思っていた私のコピーは、すべて企業目線になっていたのです。
未経験ではあるものの、半年間も講座に通ったにもかかわらず、私は一体何を学んだのだと恥ずかしい気持ちでいっぱいでした。

そのため、今回取り上げたコピーには、私に足りないものを教えていただきました。
作成者様、ありがとうございます。

今回も素敵なコピーに出会うことができました。
日々ステップアップできるよう、今後はより広くアンテナを張っていきたいですね。


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