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01(ゼロイチ)~東日本大震災を経て~#7

■縁

災害ボランティアセンターは瓦礫の撤去や家屋の片付けボランティアのみ受け入れている訳ではない。物資や炊き出しボランティアの受け入れも行っている。

物資は色んなものがあったが、ただその物資の多くは送られてくるものが多かった。送られてきた物資は、災害ボランティアセンターのスタッフが各避難所に連絡し、必要なものだけスタッフが持参して届けることが多かった。

また、災害ボランティアセンターに連絡もなく送られてくるものもあって、どのように配布したら良いのか分からないものもあった。着古した大量の男性用の下着が連絡もなく送られてきたときには、どうしていいのか分からなかった…。

物資の支援は近年、熊本の震災でも問題になっていたが、災害が起きた直後と1週間後では必要な物資は変わってくる。結果として、物資が行き場を失い問題になってしまうので、物資を送る際はいつ送るのか、何を送れば良いのか現地と連絡をとって行った方が良い。連絡したら負担になると思うのではなく、連絡しないと迷惑になることもあるということを知っておいてほしい。

次に炊き出しだ。炊き出しの問い合わせは「〇週間後の〇日に○○を○○○食分持って行くので支援できる避難所はありませんか」という感じの問い合わせが多い。

しかし、大概の炊き出しボランティアは災害ボランティアセンターを通さずに避難所に直接行くことが多かった。それは悪いことではないが、直接行くことが出来る避難所は分かりやすい学校などの大きな施設になることが殆どだ。そのため、10~20名程度避難している小規模な避難所や、在宅避難者が多くいる地区などには滅多に炊き出しボランティアが来ない状況があった。

ある日、「炊き出しに行きたいのですが、150食くらい○○が作れます!」という問い合わせがきた。私は150食あるなら、大きな避難所で一度に作るのではなく、同じ避難所に一カ月置きに20食ずつ7~8ヵ月ご支援をしてくれないかお願いした。

復興までの道のりは長い、いつ終わるのかも分からない、時間が経てば自分たちのことは忘れられ「風化」してしまうのではないかと思っている市民が多かった。そんな中、例えばボランティアを7日しかできない人がいたとする。7日連続で複数の依頼者のボランティアをして終わるのではなく、毎月1日だけ同じ依頼者の元を7カ月訪れることをお願いした。継続してボランティアが来るのを楽しみにする市民もいたからだ。「いつも来るボランティアさんがまた来るって言ってたから次に来るまでに畑を作って漬物でも食べさせてあげたいんだ」と依頼者が言っていた。

その炊き出しボランティアの方は、「そういうことでしたら是非!」と同じ避難所で毎月のように炊き出しをしてくれた。

10年経った今でもその避難所にいた人たちと、炊き出しボランティアの交流は続いている。

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