見出し画像

酒販免許にまつわるFAQをご紹介!

FAQ使用上の注意点

注意点としては、この質問に限らずどの質問に対しても同じことですが、このブログでお知らせしていることは「絶対ではない」ということです。
免許の性質上、提出された申請をどのように処理するかは各税務署長の裁量に委ねる部分があり、寄せられた質問の限られた情報の中で一般的なご案内はできても、絶対確実な回答をすることは到底できないというのは当然のことです。
ですから、免許を取ろうという意思が確実になりましたら、必ず管轄の税務署に事前相談をすることを忘れないでください。


質問内容​

私達は設立4年目の株式会社です。
経験の部分でネックがあると考えています。
これまでに酒類以外の業態でも小売や在庫管理の経験はほとんどありません。
管理者講習は受けるつもりでおりますが、この状態でも申請許可がおりる可能性はありますか?
税務署からは”総合的に判断するので何があればいいとはいえない”と言われてしまい、現状では難しいのではないかと思いながらどうするべきか判断がつきかねています。

Answer

要件については、質問者さんご自身でチェックしているようですね。経験がネックになっていると自己診断されています。
経験要件については、あくまでも一般論ですが、実際に酒販とか酒造の経験がなくても、個人事業主ならばその代表者が、法人ならばその役員が酒類販売管理研修を受講することで、経験があるものと見てもらえることが多いというのは事実です。

また、平成 29 年6月からは酒類小売業者(小売を行う製造業者及び卸売業者を含みます。)は、酒類の小売販売場ごとに、酒類販売管理研修を過去3年以内 に受けた者の中から酒類販売管理者を選任しなければならなくなっています。
しかし、酒類販売管理研修を受講さえすれば何でもそれでOKかというと、必ずしもそういうわけでもないのですね。

経営の基礎が薄弱であると認められる場合

「経営の基礎が薄弱であると認められる場合」とは、申請者等において、事業経営のために必要な資金の欠乏、経済的信用の薄弱、製品又は販売設備の不十分、経営能力の貧困等、経営の物的、人的、資金的要素に相当な欠陥が認められ、酒類製造者の販売代金の回収に困難を来すおそれがある場合をいう。

具体的には

・破産者で復権を得ていない場合
・国税又は地方税を滞納している場合
・申請前1年以内に銀行取引停止処分を受けている場合
・最終事業年度における確定した決算に基づく貸借対照表の繰越損失が資本等の額を上回っている場合又は最終事業年度以前3事業年度のすべての事業年度において資本等の額の20%を超える額の欠損を生じている場合
・酒税に関係のある法律に違反し、通告処分を受け、履行していない場合又は告発されている場合
・申請販売場の申請場所への設置が、建築基準法、都市計画法、農地法、流通業務市街地の整備に関する法律その他の法令又は地方自治体の条例の規定に違反しており、当該店舗の除却又は移転を命じられている場合
・申請酒類小売販売場において酒類の適正な販売 管理体制が構築されないことが明らかであると見込まれる場合
これらのような場合に該当すると、申請は通らない又は通りにくいことになります。

経歴及び経営能力等

「経歴及び経営能力等」として、「経験その他から判断し、適正に酒類の小売業を経営するに十分な知識及び能力を有する個人または法人」であることが求められています。

では、その「経験その他から判断し、適正に酒類の小売業を経営するに十分な知識及び能力」とは何なのかという部分を、次のように例示しているわけです(一般酒類小売業免許の場合)。

◉酒類の製造業若しくは販売業(薬用酒だけの販売業を除く。)の業務に直接従事した期間が引き続き3年以上である者、調味食品等の販売業を3年以上継続して経営している者又はこれらの業務に従事した期間が相互に通算して3年以上である者
◉酒類業団体の役職員として相当期間継続して勤務した者又は酒類の製造業若しくは販売業の経営者として直接業務に従事した者等で酒類に関する事業及び酒類業界の実情に十分精通していると認められる者

◉申請者が上記のような経歴があるという前提で、酒類に関する知識や記帳能力等、酒類の小売業を経営するに十分な知識・能力あって、 充分独立して営業できると認定されたら、経験要件を満たしているという取扱いをしてもいい。

これはあくまでも経験や経歴についてのみの記述なのですが、酒類の小売業をするためには最低限このくらいの経験・経歴のある人(法人)でないと、、としているわけです。

もちろん、これ以外にも要件はいっぱいあるのですが、今回は経験や経歴についての質問ですから、他の要件については割愛します。

そこで、質問者さんの記述の中に次のようなものがありました。

” これまでに酒類以外の業態でも小売や在庫管理の経験はほとんどありません。”

事業としては法人を設立して4年目、おそらく小売業以外の事業形態なのでしょう。しかも4年目ということは丸3年経過したということです。
これまでにどのような事業をどのように行ってきているのか、法人の財務の状況はどうなっているのか、欠損は出ていないのか、小売業以外の仕事で4年目というのは、客観的に見て相当な期間にわたって営業が安定して継続できているかどうかは微妙な長さと言えるかもしれません。

そんな中で、小売業免許を付与することが適正であると考えるかどうかは、これまでの財務関係書類や事業目論見などを実際に見て総合的に検討しなければ、結論を出すことは難しいでしょう。

ですから、
「税務署からは総合的に判断するので何があればいいとはいえない」というのはごく妥当な回答だろうと思います。

責任ある免許者であるからこそ、詳細がわからない状況で「大丈夫ですよ」とか「無理ですよ」などという安易な回答はできないのは当然のこと。

申請者は現段階では申請が拒否されているわけでもなんでもありません。もしどうしても免許を取りたいのであれば、各種要件はクリアされているのか確認しなくてはいけませんね。あなたがどういう事業をしたいのかが重要です。

「誰が」 「誰から」商品を仕入れて「誰に」対して「どのように」商品が流れ、代金は「誰から」「誰に」対して「どういう風に」流れていくのか。
また、どういう販売方法を考えているのか、どれくらいの売り上げが見込めるのか、それに対して仕入れ資金が確保されているのか、販売場はどこ?設備は揃うのか?仕入先のめどは立っているのか?その他にも、事業を行うためには必ず考えておかなければならない様々な項目を検討し、それらの書類を持って税務署に相談に行ってください。

税務署は「仮定の話」に対しては基本的には回答してくれませんし、答えてくれたとしても一般論としてしか回答してくれません。そもそも仮定の話に対して責任ある回答ができるはずがないからです。
初めて自分で申請手続きをするのであれば、地道に相談・打ち合わせを重ねていく以外に他ないだろう、というのが私の考えです。

まとめ

申請するためには、又は免許が付与されるためには色々な要件があって、それらを一つ一つクリアしていく必要があるということは理解してもらえたと思います。

今までいろいろと書いてきましたが、今回の質問の肝である、「経験はないけど申請できるか?」という部分に限定してお答えすると、原則として酒類販売管理研修を受ければ経験なしでも経験要件をクリアできる可能性が高いと思っていいと思います。これまでに行なってきた会社の経営経験が認められれば、ということも重要な要素ではありますが。

*いずれにしても、申請の前には必ず税務署の事前相談を受けることが最終的には早道になると思います。


酒販免許のことで何かご質問があれば、メッセージをお送りくださいね。

・お酒の販売免許を取ろうかどうか迷ってる
・免許って難しいの?
・どんな場合に免許がいるの?
そんなことからでも大丈夫です。お問い合わせのハードルはめちゃくちゃ低くしておきます。
直接なんでもお問い合わせください。

noteでは「クリエイターに直接メッセージを送る」方法があるそうなので、こちらをご利用ください。
note公式infoの次のページにメッセージの送り方が解説されていますので、ご参考まで。

メッセージの送り方

では、またっ!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?