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限りある時間の使い方

昨日読み終えた本がなかなか面白かったので紹介したい。

「限りある時間の使い方」という本だ。Amazonでベストセラーになっているという理由と少し仰々しい帯に惹かれて購入した。

はじめは時間を効率に使うためのメソッドやノウハウなんかが書いてある本なのかなと思っていたが実際は違った。
どちらかというとそういうタイムパフォーマンスを優先するようなものを批判して時間の本質やそのためにどう生きるかといったようなもっと深い内容の本だった。

序章の部分で「長い目でみれば、僕たちはみんな死んでいる」という衝撃的な文章から始まるのが印象的だった。
私たちは80歳まで生きるとしてもたったの4000週間。それだけ人生は短い。でもその人生の短さを自覚するところから始まる。

でも、「時間がない」ことを自覚した上で現代人はあまりにも忙しく生きすぎている。だから人は小手先のタイムマネジメント術やライフハックなんかに魅力を感じて流れてしまう。
でも本質は「時間を思い通りにコントロールしようとすればするほど、時間のコントロールが効かなくなる」という真実。
そんな生産性の罠に屈しないための方法がこの本には書かれているというのだ。

第一章では現実を直視し、なぜいつも時間に追われるのかを検証する。そして効率化ツールがいかに無意味で逆効果にすらなるということが書かれている。
まずは「時間がある」という前提を疑い、あえて自分の可能性を狭めることによって自由を手にいれることができるというのだ。そしてその阻害となる本当の敵は自分の内側にあるということを自覚するべきだという。

第二章では時間と戦って勝つという幻想を手放すことが薦められている。
人生には「今」しか存在しないと自覚し、失われた余暇を取り戻すこと。そして「忙しさへの依存」を手放すということ。
そのために「ちっぽけな自分」という存在を受け入れることが必要だと説かれている。

最後は「僕たちに希望は必要ない」とエピローグで語られる。
自分の力を取り戻すためには、誰かがなんとかしてくれるという望みを捨てなくてはならない。希望を捨てた時こそ自分の力で歩み出すことができるからだ。
自分の限界を認めるということは希望を捨てること。絶望感を手に入れて現実と向き合う時に残るのがもっと生き生きとした自分だというのだ。


ある種、禅の考え方に似ているというように思う。
手放せば楽になるし、限られた短い時間に縛られることもなく生きることができる。
忙しい日常に追われる中でつい忘れがちになる感覚ではあるが、それは意識していたいことである。


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