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怖がりにゃんこ、初めてのお引っ越し【当日編】


【準備編】はこちら↓


ビビリなにゃんこを連れて、初めてのお引っ越し。
念には念を入れて、しっかりと準備をした。

しかし心配性な下僕は不安であまり眠れず。
猫以上にナーバスで寝不足な下僕、果たして無事に引っ越しを終えられるのか…。


眠い目を必死にこじ開けながら、最終準備に取り掛かる。
この引っ越しで相棒と化したウタマロクリーナーを傍に置いて、キャットタワーで丸くなる猫に目を向けた。

この後は夫が猫を連れて新居で待機する予定だ。
いよいよ、猫がこの家を離れる。
病院に行く時もなかなかキャリーケースに入ってくれないが、今日はどうだろうか…

不安に感じながらも猫のそばにそっとキャリーケースを置いてみると、「えっ」と言いたそうな表情でこちらを見上げてくる。

わたしは、猫のこの不安そうな顔に弱い。
ああ、ごめんね、嫌ですよね、本当にすいません…そう言いながらキャリーに猫を誘導する。

案の定かなり嫌がられて手こずったものの、何とか中に入ってくれた。
しかし、いつもと何だか様子が違う。

めちゃくちゃ怒っているではないか。

病院に行く時は不安気にか細く鳴くのに、今日は般若みたいな顔をして唸っている。
本気だ。怒っている。猫、激怒。こんな顔、見たことがない。

あまりに怒っていて心配だったので、当初は夫と猫だけが新居に向かう予定だったが、急遽わたしも同行。
車に乗り込むと、猫の怒りは落ち着いたものの、今度はか細く鳴き始めた。

旧居から新居までは車で5分程だが、その間キャリーケース越しにも伝わるくらい震えていた。

新居到着後、まずは折りたたみペットサークルを設置。
1ヶ月間ずっと旧居に出していたので、しっかり猫の匂いは付いているはず。

サークルの中にご飯、おやつ、お水、トイレを設置。
猫砂は直前まで使っていたものをそのまま持ってきた。
後は、サークルの上から猫の匂いが付いているであろう、わたしの掛け布団カバーをふわりと掛けて、完了。

キャリーケースの中の猫を覗き込むと、不安そうな瞳と目が合った。
入口を開けると、ゆーっくり猫が出てきた。
そして案の定、恐怖でキャリーの中でお漏らしをしてしまっていた。

ああ、そうだよね、怖いよなぁ、いきなりキャリーに閉じ込められたかと思えば、知らない場所に連れてこられて…

ぷるぷると震える猫のお尻を拭きながら、「やっぱり引っ越しなんてするべきじゃなかったかな」と弱気になってしまった。

いたたまれない


いや、でも、もう後戻りはできない。
とにかく猫がこれ以上不安にならないよう、下僕として必死に頑張るしかない。

まるで地球のピンチに立ち向かう戦闘員だ。
それくらい猫への愛は重い。猫を守れるのは、人間しか居ないのだ。

ひとまず猫は夫に任せて、わたしは旧居へ戻り引っ越し業者を待つ事に。

とても親切な業者さんが、凄まじいスピードで荷物を運んでいく。
1時間もしない内に、部屋はもぬけの殻。

最後はきっと、この部屋に住んだ事を想い出してちょっぴり寂しくなったりするんだろうなぁ…と思ったが、もうそんな事よりも猫が心配でたまらなかった。

管理会社との退去立ち合いも無事終わり、新居へと急ぐ。

引っ越し業務さんの運び入れは既に終わっていて、特にトラブルや猫の脱走も無く、無事終了。
猫の居る部屋は扉を開けないでください、というお願いも快く聞いてくれて、猫の安全も守られた。

そっと猫が居る部屋を覗くと、サークルの中でちょこん、と座る猫と目が合った。
よほど不安だったのか、わたしの存在にも警戒している。

とりあえずリビングに猫のご飯、お水、トイレを設置。
サークルのファスナーを開けて、猫が出てきてくれるのを待った。

意外とすんなり出てきてくれたものの、かなりへっぴり腰。
見ているこちらが何だか辛くなる程に…

とにかく心配でたまらない下僕ズ

必要以上には構わず、危なくないよう近くでそっと見守ることに。
小一時間くらいはビビったままだったものの、しばらくするとご飯を食べたり、お水を飲んでくれた。

食欲がなくなってしまったらどうしようかと思ったが、何とか大丈夫そうだ。
さらにしばらくすると、おトイレもしてくれたのだ。

ああ、よかった。
食欲もあるし排泄もばっちり。

まだ物音や大量の段ボールに警戒しているものの、少しづつ行動範囲を広げて歩き回っている。猫の怯える瞳を見たときはつい弱気になってしまったが、慣れるまで時間をかけて、きちんと観察していれば大丈夫そうだ。

そして夜はキャットタワーに登り、すやすやと眠っていた。
朝方には部屋中を走り回り、わたしの顔を踏み潰すくらいに元気に。

よかったーーーーーーーーー!

思っていた以上にすんなり警戒心は薄れた様で、猫の適応力の速さに改めて感服した。
でも、しっかり準備をしていて良かったし、万が一何かがあってからでは遅いので、多少過保護になって良かったと思っている。

翌日は若干ご飯を食べる量が少ないかなと思ったものの、3日目以降は引っ越し前と同じくらい食べられるようになった。
引っ越し後4〜5日はずっと家に居れるようスケジュールを組んでいたので、猫の観察も出来たし、お互い(主に下僕)不安も感じずに済んだ。

そして現在、引っ越して約4週間の我が家はすっかり猫のものと化している。


ちなみに…旧居の退去費は0円。
壁紙に猫の引っ掻き傷等あったが、入居時に払っていたクリーニング代(退去時、原則返金のないもの)で賄うことが出来た。

実はこの退去費に関しても、多大な費用がかかるんじゃないかとビビっていたので、ほっと胸を撫で下ろした。

こうして、我が家の引っ越しは無事に終わったのだった。

前よりも広いお部屋で楽しそうに遊びまわる猫を見ると、とても嬉しくなる。
もしまた引っ越しをするならば、猫のために1から家を設計したいなあ、なんてビッグドリームも見ている。

きっとその時も、下僕は必死に準備を行うのだろう。
疲れるけど、全く苦ではない。

猫の安心しきった可愛いお顔を見られるのなら、下僕、どんなことだってやります。



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