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IT&マーケティング界隈の動向まとめ(2021年3月分)

Twitterに投稿していたニュースをもとに、2021/3/1~2021/4/8の1ヶ月+αの期間で起こったIT&マーケティング界隈の動向を振り返ります。


①IDaaSの勢い

IDaaSで有名なOktaが、同じく有名なAuth0を7000億円で買収。SaaS活用が物凄い勢いで広がる中で、アカウント管理を共通化つまり効率化できるIDaaSはplatform of platformsとしてポテンシャルが高い。Twitter一部界隈ででは「SAMLは人権」という言葉で揶揄されるほど重要。後発のメタップスクラウドはどう戦うか。


②リアルタイム文字起こしの始まり

オンラインコミュニケーションツールの中で、リアルタイム文字起こしが突如としてフィーチャーされ始めたのが3月だった。Microsoft Teams, Google Chromeの対応に加え、Microsoftの開発するGroup Transcribe、英語禁止令で一躍有名になったロゼッタの開発するVRオフィスなど。また、リアルタイム文字起こしを語りつつ自動翻訳をセットにする傾向もあり、自動翻訳があるがゆえにオンライン対話がリアル対話より効果的となる交叉点が近いと思われる。また、異色な動きとしては難聴者向けとテーマを絞ったScribeも留意したい。


③LINE問題で勃発したデータレジデンシー

データレジデンシーと言えばIT&マーケティング界隈ではSalesforceが昨年12月にリリースしたHyperforceが記憶にありつつも日本ではあまり注目されていなかった印象だが、LINE問題で一気に日本の一大テーマにのし上がった感がある。LINE問題自体はtoCだが、toBにおいてもこの手の議論が過熱すると思われる。


④一躍話題になったNFT

フィンテックが徐々に社会実装されていく中で3月に話題に上がったのがNFT(Non-fungible token)。デジタルアセットの所有権を証明する仕組みで所有権自体の売買を可能にし、強烈なマネタイズポテンシャルが生まれている。かつてクラウドファンディングがマネタイズの可能性を広げたように、NFTもまたマネタイズの可能性を広げて様々なビジネスモデルの母体となっていくと思われる。


⑤郵政×楽天、Z×LINE

3月は非常に大きな提携として、日本郵政と楽天の資本提携、そしてZホールディングス(ソフトバンク)とLINEの経営統合があった。国内屈指のパートナリングであり、ビジネスを考えるうえでは常に考慮したいところ。


⑥SaaSファーストと内製化支援

SaaSが広まっていく背景には「顧客価値と売上に相関が強い」つまり「顧客の成功が自社の成功と一致する」というビジネスモデルに一因がある。

その構造がゆえに、いわゆる受託サービスをメインに行っている会社が、社員が疲弊し続ける状況を打開するために「自社SaaSを作りたい」と動き出す展開が増えているというのは記事を読まなくとも察する展開ではある。

一方で、SaaSは非常に多くのツールを「使い分ける」発想が根付いており、そこにはポテンシャルとリスクが混在する。というのも、SaaSを使いこなすためには複数のSaaSについて高い知識を持ちつつ業務を高度に設計し、必要に応じてネイティブなデータ連携やAPIを介したスクラッチのデータ連携を設計→運用する必要があり、その点において「SaaS活用支援ニーズ」や「内製化支援ニーズ」と表現しうるニーズがポテンシャルとして見えている。これは先月にMicrosoftが内製化支援強化を打ち出した点とも符合する。

一方、このポテンシャルは、一部界隈で謳われる「オールインワンSaaS」がむしろ他SaaSと機能重複があるがゆえに導入しづらいリスクとしても表出しつつあり、純粋な意味で顧客価値と売上を比例させうるサービススキームの改善がSaaSの生き残りに不可欠であろう点を示唆しており、昨今の流行りである「契約ユーザー数ベースの課金」ではなく「従量課金」というトレンドも注視したい。


⑦スタートアップ先駆者からの学び

今月も多くの記事があったため、特に学びの多かった記事をシェアしたい。興味深かったのは、先月に紹介したプレイドのIPOストーリーに続いてグッドパッチもIPOストーリーを激白した点、PMFにおけるピボットの重要性が多く語られている点、またSaaSビジネスに一見スケールしなさそうな要素を組み合わせることにスケール性がありうる点だった。また、スタタイが有力メディアとして急浮上している。


⑧資金調達ニュース

IT&マーケティング界隈という視点で見たとき、今月は興味深い資金調達が非常に多かった印象。特に注目しているのは、中小企業の多いであろうクラフトビール業界に特化したバーティカルSaaSであるBest Beer Japan、「ノーコードによるプロトタイピングからの資金調達からのスクラッチ開発着手」を描いたUnion、コンプライアンス点検のKintentのような「ベストプラクティス提供」、プライバシーとデータコンプライアンス自動化のKetchから見られる「確実性が求められる領域のワークフロー徹底の価値」、だった。


⑨クラウドテック関連のアップデート


⑩その他気になるニュース


以上、今月の振り返りでした。

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