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先日、とある人が「日本人は褒めるのが好きだなと思った」と言っていたのが、心の片隅に引っかかりました。

それを聞いたときは、「そうかなー、日本人って褒め下手だと思うんだけど」と思いながら、それを声に出すことはしませんでした。

その言葉の意味が気になって色々考えていた時に、ひとつの考えが浮かんで「なるほど、そう見える場面も確かにあるかもしれない」と思いました。

例えば、ワークショップなどを行うと最後に振り返りとして参加者にコメントをもらう時間があります。
こういった振り返りの場面では、プラスの(褒める)発言が出てくることがほとんどです。

それにはいろいろな理由があると思います。

  • 本当にワークショップが楽しくて心からの発言だった

  • マイナスのことを言って嫌われたくない

  • 場の雰囲気を壊したくない

  • 一般的に褒めることが大事と言われている

  • 「何かの指摘をすること=けなす意見」と捉えられがち

これは別にワークショップに限った話ではありません。

例えば、職場の会議などでも声の大きい人の意見に流されて、「本当はこうなのになー」と思いながらも声には出さないということはあると思います。

本来であればよりよい結果を出すためには、色々な議論を交わしながらベターな道を模索していくべきなのですが、上に挙げた理由などで発言されないことが多いと思います。喧々諤々やって会議の時間が延びるのが嫌だというのもあるでしょう。特に相手が上司や顧客などであればなおさらですね。

正直私もやはり場の雰囲気をみて、思っていても言わないことは多いです。(最初に書いた「褒めるのが好き」の発言にも何の反論もしてませんし。)

結構ありがちなのはその場では発言しないけど、会議などが終わった後に仲間内で「あんなのうまくいくわけないよね」みたいなことを言っている人が多いことです。
(「言いたいことがあるなら言えばいいのに」と思いますけど、そのままブーメランで自分に返ってくるので偉そうには言えないですね。)

で、いざ何か問題が起きた時に「それみたことか」と言わんばかりに批判しだしたりします。

こういう場面で起きている問題ってのは、火の粉が大きくなっていることがほとんどで、「初期の段階で指摘してれば軽症ですんでいたのに」となるものです。

プラスの(褒める)発言ももちろん大事なのですが、懸念事項や改善案など率直な意見が引き出されるように場の雰囲気作りは大事ですよね。

こういう参加者が発言しない雰囲気を作ってしまうのは、上司だったり顧客だったりというその場をリードする人(ファシリテータ)によるとことが大きいです。

私がファシリテート役を務めるような会議は、できるだけ参加者が自由な発言ができるように心がけています。
会議などの参加者を選ぶ際にも何か言いたそうなメンバー(後から何か言ってきそうな人)はできるだけ参加者に加わってもらうようにしています。
(「参加しないのに後から何か言うのはなしよ」という趣旨のことを伝えます。)

チーム形成の有名な理論で「タックマンモデル」というのがありますが、チーム内で喧々諤々と言い合うような混乱期を経てチームは成長していきます。

もちろん、状況によってどうしても強引に(意見を押さえつけてでも)前に進めていくしかないということもありますが、先々のことを考えるのであれば、なあなあで(見た目だけの穏やかな状態で)前に進めるのではなく、きちんと会話を交わしてから前に進んでいくのが大切だと考えています。

口で言うのは簡単で、現場はそんなこと言える状況ではないよというのも理解しているつもりです。ただ、関係者全員がそういった意識を持てるように普段から意識しておくのは必要ですよね。

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