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薄暗い青春の最中を生きる同士へ!

11月21日。

こんにちは。こんばんは。

あっという間に秋が終わり、コートやらカイロやらが必要な時期になりましたね。
11月もあと10日ほど。
皆さんはどうお過ごしでしょうか。

私は、10月に弟の誕生日を祝いに実家に帰ってからというものまたしても私も頑張らねばと思わされ、研究室に駆け込み教授と話しては、図書館にこもっていました。
とはいっても、小説読んだり、海外ドラマ見直したり、友人とタコパに、カラオケに、ドラマ鑑賞をして楽しくてあったかい気持ちになる日もあれば、自分の将来はどうなるのかと、なんでこんなに飲み会はお金がかかるのかと、というか最近カップル増えすぎてるのではと、ベットから抜け出して現実を見るのが嫌でたまらない日もありました。


私のそんな日常を面白いなと思わせてくれたのは大好きな小説家さんの1冊。
本日はその1冊から。


     森見登美彦さんの
    「夜は短し歩けよ乙女」

前に同じ作者の作品である「四畳半タイムマシンブルース」についても書いたので良かったらのぞいてみてください。


今年の8月くらいに古本屋でやっと手にした1冊。タイトルも表紙のイラストも大好きなのです。

あらすじは以下の通り。映画化もされています。

クラブの後輩である“黒髪の乙女”に思いを寄せる
“先輩”は今日も「なるべく彼女の目にとまる」よう ナカメ作戦を実行する。春の先斗町、夏の古本市、秋の学園祭、そして冬が訪れて・・。 京都の街で、個性豊かな仲間達が次々に巻き起こす 珍事件に巻き込まれながら、季節はどんどん過ぎて ゆく。外堀を埋めることしかできない“先輩”の思いはどこへ向かうのか!?

夜は短し歩けよ乙女公式ホームページより 


読み始めたら止まらなくて、彼女と先輩と一緒に大学内を、下鴨神社を早歩きで歩いておりました。
個性豊かすぎる登場人物と先輩(私)のワードチョイスがたまらないです。
私もあの李白が開く古本一の大宴会に行ってみたいし(多分序盤で敗退)、「偏屈王」の劇を見てみたいと思ったり。下鴨神社の古本市は必ず行きたい!

そんな1冊の中で私が心に思わず立ち止まって、共感して、少し笑ってしまった言葉たちを記したいと思います。



その1つ。
古本屋である頭の切れる美少年が古本の値札を外し、それが店主に見つかって、傍にいた「先輩」が彼の幼い泣き姿により、店主から罪を着せられたときの気持ち。

子どもは清らかである妄想と、美しい子どもはもっと清らかであるという妄想のゆえであろう。薄暗い青春の最中に立ちすくむ大学生が、じつは世界でいちばん清らかであるという事実はつねに無視される。

第2章深海魚たち p113

この先輩の気持ちを読んだときに笑っちゃいました。
自分より1周りも下の少年と自分に罪を擦り付ける店主への冷静な分析と、自分は、清らかであるという主張(笑)
こういうちょっとひねくれた感じが私を立ち止まらせるのです。

でも、
それだけではなくて、大学生の青春を

       「薄暗い」


と表現しているのが私にとってすごく共感できました。
友達と授業に行って、飲みに行って、バイト行って、1人で家に帰って、
確かに高校生の時に思い描いた大学生になっていて、その日々を楽しく過ごしているのだけど、「青春」かといわれると、多分孤独を感じる時間も自由になった分増えた気がして、青い空のもとでの思い出よりも夜暗い中で何かを想うことが多い気がして。

物語の中で「先輩」が風邪をひいた時の言葉

汚い天井へ将来のビジョンを映し出すことも、四畳半の隅へ哲学的な問いを投げかけることもできない。

第4章魔風邪恋風邪 p263

このセリフ物語のなかでは風邪を引いた先輩の何気ないものなんですが、私は立ち止まってしまったのです。
それは恐らく、大学生になってからこの1文にあることを私は何回もしていたのではと気づいたから。
そして、この記事を書いている間にも。


私の幸せって?正解って?夢って?
 友達って?恋って?本当に欲しいものって?


何度も天井に映し出し、問いかけて、消して。
自分の幸せと沢山の問いと暗い天井(私の部屋の天井は汚くはない 笑)

この
自分に向き合おうとした孤独な時間が
薄暗い青春の大部分
なのかもしれないなと思いました。
そして私達はその"最中"。
最も孤独を感じる日々にいる。

   これをただ「孤独」と呼ぶと

悲しく、
寂しく
聞こえるけれど、

「先輩」がいうように
この孤独に向き合う時間こそが、
そこに立ちすくむ私たちこそが
青春の真っただ中にいると思うのです。


そして、そんな青春があるとしたら
孤独だと感じたとき、
どこかにきっと同士がいるのだと思います。


だから、どこかにいる、同士へ!

私もいるからな! 


今日もまた、この文章を打ちながら
薄暗い青春を謳歌していこうと胸に決めて。



それではまた。「なむなむ!」



百。







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