《嘘の絆》第1話 星の運命はWebにあり 【小説】
1-1 躓く日常
オレンジ色に染まる夕日が、東京の高層ビルの窓を照らしている。その一室には、目の前のPCの画面に向けて深く眉を寄せる篠原武大の姿があった。
彼の視線の先には、新しい記事のアイディアを探してWebを徘徊するブラウザのタブが開かれていた。しかしその中に彼のインスピレーションを刺激するような情報は見当たらない。
「お父ちゃん、夕飯は何がいい?」
妻が隣で夕食の準備をしながら声を掛ける。
篠原は彼女に返事をせずに振り返り、再びPC画面に目を戻した。