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ポテトに除霊効果があるかもしれない話

仕事帰りに疲れたまま脳死状態で歩いていると、
日常が牙をむいて襲ってくるかもしれないが、ポテトが救ってくれるかもしれない、そんな話である。

GWも終わり、「今日も良く働いたー」とLINEで友人に報告しながら帰宅中、マックでフライドポテトを購入し、地下街から地上へ行くためエレベーターに乗ろうと移動。

エレベーターの到着を待っていると、普段と違う違和感を感じた。
いつもはエレベーター待ちで結構な人がいるはずなのに、その日に限って誰もいない。

私としては非常に喜ばしい状況であった。
マックのフライドポテトLサイズを2つ紙袋に入れた状態がいかに危険な状態か分かるだろうか。

そう、激しく「臭い」のである。

そんななか超密閉空間のエレベーターで人と居合わせると、視線は私と紙袋に釘付けとなるのである。
お詫びに一本ずつ、いや二本ずつ居合わせた方にフライドポテトを配ってもいいのだが、確実に事案案件となるため、ここは甘んじて冷たい視線を受けるしかないのだ。


そうこう過去のフラッシュバックを体験している間にエレベーターが到着。


一番下の地下階からなので誰も乗っておらず、降りる方も居なかったためすぐに乗り込む私。

そして振り向くと、先ほどは誰も居なかった所に、おばあちゃんがポツンと立っている。
あまりの存在感の無さにビクッとしながらも、乗るのかと思い「開」ボタンを押してババアの搭乗を待った。

スーッとエレベーターの入口前まで来ると私にこう質問してきた。

「このエレベーターは下にいきますか?」と

私は何も考えず「いいえ、地上階にいきますよ」と回答。

するとババアは「そう、、、」と一言いうと、乗り込もうとしたがそのまま後ずさりして無言で去っていく。


変なおばあさんも居たもんだと思いながら「閉」ボタンを押し、
地上階へと移動する私。

そこでようやく違和感に気付いた。
「え、、、下の、、、階?」

私がエレベーターに乗ったのは最下層の地下階。
地下駐車場などもあるところではない為、それ以下の地下は存在しないのだ。


それに気付いた瞬間私は、身震いを覚えた。
なぜなら会社からずっとトイレを我慢していたことを思い出したからである。

近くの公共施設のトイレで踏ん張りながら先ほどの事を考察してみるが、
話しかけてきたおばあちゃんの顔が思い出せない。
なぜだろう。よっぽど興味が無かったのだろうか。
もしや、人と思いきや、見えてはいけない存在だったのではないだろうか。



また、おばあちゃんもとい、霊体ババアがエレベーターに乗るのをやめた事にも考えを広げてみた。

「あ、ポテト、、、フライドポテトが守ってくれたんじゃ、、、」

きっとあのフライドポテトには除霊効果があるのかもしれない。

人間からも冷たい目線を浴びせられるあの匂い。
そしてその象徴たるご神体ド〇ルド様はまさに異形の存在。
霊ごときが太刀打ちできる存在ではないのである。

私はしなびたフライドポテトに思いをはせ、自宅で晩餐をとるのであった。



#創作大賞2023
#エッセイ部門

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