江戸のポップアート!?気軽に浮世絵を楽しもう! 〜其の二
<今週の能大マガジン vol. 13>
「江戸のポップアート!?気軽に浮世絵を楽しもう! 〜其の二」
前回の能大マガジンから、大阪浮世絵美術館に行ったときの体験を綴っています。
私が感じた浮世絵の面白さを、学芸員のお姉さんに教えてもらったことを織り交ぜながら、素人目線で語っていきます。
みなさんを浮世絵の世界へ誘います☆
全編の目次(予定)
一、 いざ、大阪浮世絵美術館へ:行くまで〜第一エリア
二、 空(から)摺りの世界へ:第二エリア
三、 浮世絵ができるまで:第三エリア ←今回
四、 江戸と現代をつなぐ:第三エリア ←今回
五、 噛めば噛むほど美味いんじゃ:第二〜第三エリア
六、 浮世絵を愛した巨匠たち:第三エリア
七、 能大、浮世絵を買う。:ショップ・撮影エリア
伝えたい浮世絵の面白さが多すぎて、前回は『二、 空(から)擦りの世界へ』で終わってしまいました。
今回は『三、 浮世絵ができるまで』からお届けします。
前回のマガジンはこちら。浮世絵・大阪浮世絵美術館・空摺りについてお話ししました。ぜひこちらもご覧ください😉
三、 浮世絵が出来るまで
人物画のタイトルや着物に施されている空摺りの技術に翻弄されていた私たち。
でも、そもそも「空」ではない「摺り」はどうするのか、浮世絵の制作工程を把握できていないことに気づき、学芸員のお姉さんに教えてもらいます。
この大阪浮世絵美術館には3列の観覧スペースがありますが、その最後の列に浮世絵が出来るまでが説明されているエリアがあります。
そこで実際に物を見ながら説明していただきました。
順序立てて説明していきます。
一、絵師が描く
まず、葛飾北斎や歌川広重などの絵師が紙に絵を描きます。
これを、版下絵(はんしたえ)と呼びます。
二、彫師が彫る
絵師から受け取った絵を板の上に載せ、上から線をなぞるように紙ごと彫っていきます。
ここで出来た木版を主版(おもはん)と呼びます。
ここで、🐐(私)「え?絵を削っちゃうの?」と驚きました。
そうなんです。ここで絵を削ってしまうので、版下絵、つまり原画は消滅してしまうのです(このメッセージは5秒後に消滅する、かのように)。
主版を彫る彫師さんの責任は重大ですね。
三、摺師が摺る
次に摺師が馬連(ばれん)を使用し
て主版(おもはん)を数枚摺り、コピーをとります。
実はこの馬連、職人さんは一個十数万円くらいする高価なものを使うそう。
四、絵師が色づけする
三、で作成したコピーに色づけをします。
このとき、色ごとに別の紙に色づけをします。
色の数でその後の工数が変わるので、予算に合わせて色の種類を増減させます。
現実的で面白い。
五、彫師が彫る
色ごとに分けられた紙で、色ごとに木版を作成します。
六、摺師が摺る
一枚の紙に、色ごと分けられた木版を一回ずつ摺ることで、複数色の色をつけていきます。
それで、
ズレないのがすごい!
と思いませんか?
木版につけられた目印、これを「見当」と呼ぶのですが、この見当に合わせて紙を敷くことで、ズレないようにしているらしいです。
それにしてもスゴイ!
また、何度も同じ木版を使っていると、湿気で木版が膨張し、見当に合わせても絵が合わなくなってしまうのだそう。
聞くと、摺師は木版の状態を見ながら少しずつズラしていくとのこと。
午前と午後でも既に違っているというのだから驚きです。
どうでしたか?
面白くないですか?
私は、江戸の時代にこんなに工程も技術も確立されていたんだなぁと感心しました。
改めて、面白いと思ったこと
✔️一枚の紙で何度摺りを重ねてもズレないのがすごい
✔️商業的な視点で作品が作られていた
と、浮世絵制作の工程について書いてきましたが、私の知識では面白さが伝わらないかな。。他にいい記事がないかな。。
そんなことを思いながらネットサーフィンしていると見つけました!
対話形式で面白く分かりやすいので、ぜひ見てみてください。
ちなみにこのサイトは私自身よく見ていて、日本文化についての記事が多数掲載されています。
四、 江戸と現代をつなぐ
これまでの会話の中で現代に通ずる話が随所に散りばめられていたので、伏線回収しておきます。
語源
<見当>
六、摺師の作業工程の中で「見当」という言葉が出てきました。
紙を敷く際の目印となる「見当」。
彫師が作った「見当」に合わせることで、摺師は紙を敷くことができます。
そう、これが「見当をつける」の語源となったと言われています。
「つける」はどこからきたのか、などは、分かりません笑
ただ、このウンチクを知ったおかげで、摺師の作業内容も「見当」という言葉の意味自体も一生忘れないと思います。
<版下(はんした)>
一、の絵師の作業工程の中で、「版下絵」というものが出来上がりました。
復習しておくと、最初に絵師が描いた原画のことです。
その説明を聞いて、広告業界でグッズなどの印刷をしている友人😎の目がキラン✨と光りました(絵文字ではサングラスをしてて見えないですが)。
なんと、印刷の分野では、印刷の原稿となるものを「版下」とよく言うそう。
聞いてみると、やはりその語源はこの浮絵世における「版下絵」とのこと。
江戸と現代がつながりました😎
技術
レイヤー
浮世絵版画では、様々な色用の木版を重ね塗りすることで色づけしていきます。
これは、現代のグラフィックデザインやイラストにおける「レイヤー」と同じような概念です。
またひとつ、江戸と現代がつながりました😎
体制
浮世絵の工程では、様々な役割の職人が関わってひとつの作品を制作することをお話ししました。
アートや職人の世界では、一人ですべての工程を担当するイメージがあったため、斬新に思えました。
しかし、浮世絵が雑誌のようなものであったと言われると、現代でも同じだなと気づかされるところがあります。
マンガやアニメでも、素人の私が想像するだけでも、原画を描く人、背景を描く人、文字を入力する人、アニメーションをつける人、など役割分担されていることが分かります。
またまたひとつ、江戸と現代がつながりました😎
江戸時代と現代がつながる、時空を超える、そんなところにロマンを感じます🐐
まとめ
今回は、三、四、と浮世絵の工程と現代に通ずるところを紹介しました。
次は『五、 噛めば噛むほど美味しいんじゃ』から話をしようと思います。
ではまた!
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