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乃木坂46の楽曲を一日一曲語る。10日目『水玉模様』

_______【この記事の構成】_______
▼今日のこばなし

本題の伏線になる時とならない時がある雑談

▼『○○』の基本データ
作編曲、歌唱メンバー、MV等の情報

▼『○○』を語る
愛と飛躍に溢れた考察

▼おわりに
総括とキメ台詞



▼今日のこばなし

「アナリーゼ」

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楽曲分析とは、その音楽がどう組み立てられているかを調べることである。
アナリーゼ(ドイツ語で分析を意味する)とも呼ばれる。

筆者は、ドラマ『のだめカンタービレ』でアナリーゼというものを知った。
以来、このアナリーゼという言葉が妙に気に入っている。

筆者には音楽理論の知識がほとんど無いが、
将来的にはこの「乃木坂46を一日一曲語る」シリーズにも、アナリーゼ的な要素を入れたいと考えている。

まずは音楽理論の初歩を漫画で学ぼうと思う。


▼『水玉模様』の基本データ

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▼収録 / 発売日
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2ndシングル『おいでシャンプー』Type-B / 2012年5月2日

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▼作詞 / 作曲 / 編曲
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秋元康 / 若田部誠

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▼歌唱メンバー
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生駒里奈

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▼MV(ミュージックビデオ)
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監督の丸山健志と秋元康による打ち合わせの結果、大林宣彦監督の尾道三部作イメージでやろうということになり、異国情緒あふれる長崎県内で撮影された。((※1))

監督:丸山健志

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▼時をかける少女
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『水玉模様』はMVだけでなく、楽曲の世界観も尾道三部作の二作目『時をかける少女』(1983年公開の実写映画)や、主演の原田知世が歌う同名の主題歌の世界観を彷彿とさせるという意見もある。


▼『水玉模様』を語る

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・前口上

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あなたへのこの気持ちは、恋と言うにはあまりに幼い。
それなのに、あなたが遠くの都会(まち)へ行ってしまってから、私の心はずっとさみしい。
初めての感情に揺れ動く少女の心を、生駒里奈が瑞々しく歌い上げる。


・生駒里奈という存在

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何を隠そう、筆者は乃木坂46のソロ曲の中でこの『水玉模様』が一番好きなのである。

特筆すべきは、生駒里奈はセカンドシングルにして早くもソロ曲をまかされたという事実である。

それだけの人気があったとか、運営からプッシュされていたということを言いたいのではない。

おそらく、「今、生駒に歌わせたい曲がある!」という欲望が秋元康を突き動かしたのだ。


幼い表情ではしゃいでいたかと思えば、凛としてセンターに立っている。
ピュアだけど、どこか反抗的な部分もある。
未完成がゆえに両極に振れる、大人と子供の間で揺れる16歳の生駒里奈の存在自体が、青春そのものである。

そんな生駒ちゃんの魅力を閉じ込めた真空パックがすなわち『水玉模様』なのだ。
『時をかける少女』や『木綿のハンカチーフ』に匹敵する、時代を越えて愛される曲だと強く思う。



・『木綿のハンカチーフ』VS『水玉模様』

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1975年に発売された『木綿のハンカチーフ』は、太田裕美の大ヒット曲である。
作詞は松本隆、作曲は筒美京平が手掛けた。日本歌謡界が誇るゴールデンコンビである。

恋人を故郷に残して上京した青年と、その帰りを待つ彼女。二人の心が少しずつすれ違っていく様子を、男女の手紙のように男言葉と女言葉で交互に歌った斬新な歌詞になっている。太田裕美の透き通った声も魅力的だ。

それはそれは名曲である。全国民に、歌詞をじっくり見ながらフルで聴いてほしい。


さて、お気づきの通り『水玉模様』と『木綿のハンカチーフ』はどちらも、都会へ行った男と地元に残った女がテーマになっている。

『木綿のハンカチーフ』と『水玉模様』

筆者にとってこの2曲は、

「新旧・純情田舎娘対決」

という位置づけである。
とは言っても、端から勝ち負けを決めるつもりはない。


これは完全に筆者の妄想だが、秋元康が

「うちに生駒って子がいてね。曲作ったんだけど、どうよ?」

と、『木綿のハンカチーフ』を手掛けたゴールデンコンビに叩きつけた挑戦状こそが『水玉模様』なのである。

ゆえに、「新旧・純情田舎娘対決」という表現がふさわしいのである。


・草間彌生 

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草間彌生は世界的に有名な前衛彫刻家、画家、小説家である。

さて、彼女の代名詞として「水玉模様」を思い浮かべる人も多いだろう。
彼女が「水玉」のモチーフを多用する背景にはこんな事情がある。

草間彌生は長野県の裕福な家庭に生まれ、幼い頃からスケッチに親しんでいた。
その一方で、彼女は少女時代から統合失調症を病み、幻覚や幻聴といった症状に繰り返し襲われていたのである。((※2))
そんな症状から逃れるため、彼女はそれらの幻覚や幻聴を絵に書き留めるようになった。これが「水玉」のモチーフの原点である。

草間は現在に至るまで水玉(ドット)をモチーフに制作する事が多いが(ドット・ペインティング)、これは耳なし芳一が幽霊から身を守るために全身を経で埋め尽くした様に、彼女が恐怖する幻覚や幻聴から身を守るために、作品全体を水玉(ドット)で埋め尽くす儀式でもある、とされる。

引用元:Wikipedia

彼女が創る鮮やかな「水玉模様」の裏には、幼少期からの苦悩が潜んでいるのである。


水玉模様の思い出は
光と一緒に影がある

- 出典:『水玉模様』/ 作詞:秋元康 作曲:若田部誠

草間彌生と生駒里奈。
「不安定な少女の心」「水玉模様」には、ただならぬ連関があるようだ。


▼おわりに

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余談だが、草間彌生が芸術家としての頭角を現し始めたのは16歳の時である。1945年(昭和20年)、大戦下に疎開してきた画家らが立ち上げた「第一回全信州美術展覧会」で並み居る顔ぶれの中16歳で入選を果たしたのだ。

そして、生駒里奈が乃木坂46第一期メンバーオーディションに合格し、デビューシングルでセンターに立ち、ソロ曲を歌ったのも全て16歳の時である。

では、また明日。 stay tuned!

 

((脚注))

※1)大林 宣彦(おおばやし のぶひこ、1938年1月9日 - )は、日本の映画監督。1982年、自身の郷愁を込めて尾道を舞台とした『転校生』を発表。『時をかける少女』、『さびしんぼう』と合わせ"尾道三部作として多くの熱狂的な支持を集め、1984年にはロケ地巡り目的で、20万人以上の若い観光客が訪れたといわれる。"尾道三部作"という言葉は大林映画のファンが作った言葉である。

※2)統合失調症とは、思考、知覚、感情、言語、自己の感覚、および行動における他者との歪みによって特徴付けられる症状を持つ、精神障害の一つである。一般的に幻聴や幻覚、異常行動が見られるが、患者によって症状は多様である。

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