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Advanced Data Analysis(旧Code Interpreter)で楽天グループの経営状況を分析してみた

楽天グループが公開している財務データを用いて、ChatGPTのCode Interpreterで経営状況の分析を試してみました。

利用したのは、楽天グループの投資家情報のサイトからダウンロードした以下の資料「過去の年間経営指標データ」です。



1.過去の年間経営指標データから見た楽天グループの経営分析

筆者が入力したプロンプトは以下のとおりです。

この財務データを基に、最近の楽天グループの経営状況を多角的に分析し、その結果を複数のグラフに可視化して分かりやすく解説してください。
financial_highlights.xlsx

筆者が入力したプロンプト

これに対するChatGPTの出力は以下のとおりです。

Finished working Show work
ご提供いただいたExcelファイルを開きましたが、データが多くの行と列に分散していて、具体的な内容を把握するのが難しい状態です。おそらく、さまざまな財務指標が時間軸に沿って記録されていると思われます。
具体的に分析を進めるためには、どの指標を分析するべきか、またそれらがどの列に記録されているかを知る必要があります。例えば、「売上高」「営業利益」「純利益」などの指標が一般的に分析に用いられます。
可能であれば、分析すべき具体的な指標とそれらがどの列にあるかを教えていただけますか?

ChatGPTの出力

ここでCode Interpreterが生成したコードは以下のとおりです。

import pandas as pd

# Load the excel file
financial_data = pd.read_excel("/mnt/data/financial_highlights.xlsx")
financial_data.head()

Pythonのデータ解析ライブラリであるPandasを使用しているのが分かります。

できるだけ多くの指標を基にして分析を進めてください。

筆者の入力

Finished working Show work
このデータを見ると、以下の指標が記録されていることがわかります:
1.売上収益(Revenue)
2.非GAAP営業利益または損失(Non-GAAP Operating Income or Loss)
3.営業利益または損失(Operating Income or Loss)
4.税引前当期利益または損失(Income or Loss before Income Tax)
5.当期利益または損失(Net Income or Loss)
6.当期包括利益(Comprehensive Income)
7.親会社の所有者に帰属する持分(Equity Attributable to Owners of the Company)
8.総資産額(Total Assets)
9.基本的1株当たり当期利益(Basic Earnings Per Share)
10.希薄化後1株当たり当期利益(Diluted Earnings Per Share)
11.親会社所有者帰属持分比率(Ratio of Total Equity)
12.親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)(Return on Equity)
13.営業活動によるキャッシュ・フロー(Cash Flows From Operating Activities)
14.投資活動によるキャッシュ・フロー(Cash Flows From Investment Activities)

ChatGPTの出力

ここでCode Interpreterが生成したコードは以下のとおりです。

# Let's first identify the structure of the excel file
# We will load the data again and check the structure of the data

# Load the excel file
financial_data = pd.read_excel("/mnt/data/financial_highlights.xlsx", header=None)
financial_data.head(20)

これらのデータを基に、時間軸に沿って各指標の変化を可視化し、楽天グループの財務状況を分析していきます。まずは、これらの指標のデータを整形して、後の分析に適した形に変えましょう。各年度のデータがどの列に記録されているかを特定し、各指標を独立した列として設定します。また、データは年度毎にまとめられているので、年度を表す列も作ります。
Finished working Show work
申し訳ありません、データの変換中にエラーが発生しました。エラーメッセージを見ると、'Unit'という文字列を整数に変換しようとしたため、問題が発生したようです。これは、'Unit'行がデータセットにまだ含まれているためです。この行を削除して、再度データの変換を試みます。
Finished working Show work
申し訳ありません、引き続きエラーが発生しています。'Unit'行がまだ存在している可能性があります。再度データを確認してみましょう。
Finished working Show work
エラーの原因がわかりました。まだ'Unit'行が存在していました。すみません、その行を除外して再度試みます。その後、再度データ型の変換を行います。
Finished working Show work
申し訳ありませんが、引き続きエラーが発生しています。エラーメッセージを見ると、'(million yen)'という文字列を浮動小数点数に変換しようとしたため、問題が発生したようです。これは、データフレームにまだこの文字列が含まれているためです。
データフレームの各列をチェックし、この文字列を含む行を削除しましょう。そして、再度データ型の変換を試みます。
Finished working Show work
データのクリーニングと変換が成功しました。これで分析と可視化を進めることができます。

ChatGPTの出力

ここまでかなり苦労したようですが、データのクリーニングと整理に成功したようです。

指標の一部を選択し、それぞれの時間経過による変化を視覚的に表現するグラフを作成しましょう。具体的には、以下の指標を選択します:
1.売上収益(Revenue)
2.営業利益または損失(Operating Income or Loss)
3.親会社の所有者に帰属する持分(Equity Attributable to Owners of the Company)
4.基本的1株当たり当期利益(Basic Earnings Per Share)

これらの指標は、企業の財務状況とパフォーマンスを評価する上で重要な役割を果たします。売上収益は企業の総収入を示し、営業利益または損失は企業の主要な業務から得られる利益を示します。親会社の所有者に帰属する持分は、企業の資産の価値を示し、基本的1株当たり当期利益は、企業が投資家に提供する価値を示します。

これらの指標を時間とともにプロットすることで、楽天グループの財務状況とパフォーマンスが時間とともにどのように変化したかを理解することができます。これらの指標を基に分析を進めていきましょう。
Finished working Show work

ChatGPTの出力

以下がChatGPTが作成したグラフです。

ChatGPTが作成したグラフ

これらのグラフを作成するためにCode Interpreterが生成したコードは以下のとおりです。

import matplotlib.pyplot as plt

# Set the figure size
plt.figure(figsize=(15, 10))

# Plot the revenue
plt.subplot(2, 2, 1)
plt.plot(financial_data_clean["Year"], financial_data_clean["売上収益"])
plt.title('Revenue Over Time')
plt.xlabel('Year')
plt.ylabel('Revenue (million yen)')

# Plot the operating income or loss
plt.subplot(2, 2, 2)
plt.plot(financial_data_clean["Year"], financial_data_clean["営業利益又は損失"])
plt.title('Operating Income or Loss Over Time')
plt.xlabel('Year')
plt.ylabel('Operating Income or Loss (million yen)')

# Plot the equity attributable to owners of the company
plt.subplot(2, 2, 3)
plt.plot(financial_data_clean["Year"], financial_data_clean["親会社の所有者に帰属する持分"])
plt.title('Equity Attributable to Owners of the Company Over Time')
plt.xlabel('Year')
plt.ylabel('Equity Attributable to Owners of the Company (million yen)')

# Plot the basic earnings per share
plt.subplot(2, 2, 4)
plt.plot(financial_data_clean["Year"], financial_data_clean["基本的1株当たり当期利益"])
plt.title('Basic Earnings Per Share Over Time')
plt.xlabel('Year')
plt.ylabel('Basic Earnings Per Share (yen)')

# Adjust the layout
plt.tight_layout()

# Show the plot
plt.show()

Pythonのグラフ描画ライブラリであるMatplotlibを使用しているのが分かります。

これらのグラフから、以下のような分析結果を得ることができます:

1.売上収益(Revenue):2014年から2022年までの間に、楽天グループの売上収益は全体的に増加傾向にあります。これは、楽天グループがその期間にビジネスを拡大し、売上を増やしていたことを示しています。

2.営業利益または損失(Operating Income or Loss):営業利益または損失のグラフは、時間とともにかなり変動しています。2014年から2019年までは増加傾向にありましたが、その後2021年と2022年には営業損失が発生しています。これは、企業の主要な業務がその期間に一部のコスト増加や収益減少などに直面した可能性を示しています。

3.親会社の所有者に帰属する持分(Equity Attributable to Owners of the Company):親会社の所有者に帰属する持分は、2014年から2020年までは増加傾向にありましたが、その後2022年には減少しています。これは、楽天グループのネットワース(資産と負債の差)がその期間に減少したことを示しています。

4.基本的1株当たり当期利益(Basic Earnings Per Share):基本的1株当たり当期利益は、2014年から2019年までは増加傾向にありましたが、その後2021年と2022年には負の値となっています。これは、楽天グループがその期間に損失を計上したことを示しています。

これらの結果から、楽天グループの経営状況は過去数年間で変動しており、特に最近の数年間でいくつかの財務指標が悪化していることが確認できます。これらの変動は、楽天グループのビジネスモデルや市場環境、そしてそれらが企業の収益性と資産価値にどのように影響を与えるかを理解するための重要な情報を提供します。

なお、以上の分析結果は大まかな傾向を示すものであり、楽天グループの財務状況を詳細に理解するためには、各指標がどのように算出され、それぞれが企業の何を示しているかを理解することが重要です。また、他の財務指標や企業のビジネス戦略、業界の動向など、多角的な視点からの分析も必要です。

ChatGPTの出力

2.今年度第1四半期決算の結果を加味した楽天グループの経営分析

今年5月に発表された「楽天グループ株式会社2023年度第1四半期 決算ハイライトに関するお知らせ」の情報を追加提供して、楽天グループの経営分析を続けてもらいました。

筆者が入力したプロンプトは以下のとおりです。

以下の文章は、「楽天グループ株式会社2023年度第1四半期 決算ハイライトに関するお知らせ」です。この文章と先程の分析結果を合せて、最近の楽天グループの経営状況を多角的に分析し、その結果を複数のグラフに可視化して、分かりやすく解説してください。
(省略)楽天グループ株式会社2023年度第1四半期 決算ハイライトに関するお知らせ

筆者が入力したプロンプト

これに対するChatGPTの出力は以下のとおりです。

提供いただいた文書と先程の分析結果を基に、楽天グループの最近の経営状況について考察します。ただし、先程のエラーが再発した場合、グラフの可視化は行えませんので、ご了承ください。

まず、「楽天グループ株式会社2023年度第1四半期 決算ハイライトに関するお知らせ」を見ると、以下のような点が挙げられます:

1.売上収益:2023年度第1四半期の当期連結売上収益は、過去最高の4,756億円となり、前年同期比で9.3%増加しました。これは、全セグメント(「インターネットサービス」「フィンテック」「モバイル」)で売上が増加した結果です。

2.国内月間アクティブユーザー数:楽天グループの国内月間アクティブユーザー数は4000万を突破し、前年同期比で10.3%増加しました。また、全サービスに対する2サービス以上利用者数の割合も76.1%と堅調に推移しています。

3.Non-GAAP営業損失:楽天モバイルの先行投資により、当第1四半期の連結Non-GAAP営業損失は690億円を計上しました。しかし、連結EBITDAは前四半期に続き74億円の黒字を達成し、前年同期比で429億円増加しました。

この情報と先程の分析結果を組み合わせると、以下のような結論を導き出すことができます。売上収益は増加傾向にありますが、営業利益は減少傾向にあります。これは、楽天モバイルへの大規模な投資が行われているためと考えられます。
楽天グループの資産は増加していますが、1株当たりの利益は減少しています。これは、投資による損失が発生しているためと考えられます。

今後の楽天グループの経営状況は、楽天モバイルへの投資がどの程度の利益をもたらすか、また、その他のセグメントの成長が続くかによって大きく左右されると言えます。特に、モバイルセグメントの成長が営業利益の回復につながるかどうかが重要なポイントとなります。

以上が現時点での楽天グループの経営状況の分析結果です。ただし、この分析は提供されたデータと情報に基づいており、将来的な楽天グループの業績を保証するものではありません。また、この分析は投資助言を目的としたものではなく、投資の決定には自己の責任と判断が必要です。

ChatGPTの出力

セグメントごとの経営状況についても分析し、それが全体の経営に与える影響について考察してください。また、できる範囲でデータの可視化をお願いします。

筆者の入力したプロンプト

「楽天グループ株式会社2023年度第1四半期 決算ハイライトに関するお知らせ」から得られるセグメント別の情報を元に、各セグメントの経営状況とその全体の経営に対する影響について分析します。

■インターネットサービス
楽天グループのインターネットサービスセグメントは堅調な成長を示しています。当第1四半期の売上収益は2,711億円で、前年同期比で8.7%増加しました。特に「楽天市場」はコロナ拡大以前の2020年度第1四半期比で購入者数が29.1%増、購入単価が16.6%増となり、ポストコロナ以降も継続的に成長しています。これらの結果から、インターネットサービスセグメントが全体の売上収益に大きな貢献をしていることがわかります。

■フィンテック
フィンテックセグメントも増収増益を達成しており、当第1四半期の売上収益は1,680億円で前年同期比7.6%増、Non-GAAP営業利益は266 億円で前年同期比20.4%増となっています。「楽天カード」の発行枚数やショッピング取扱高も堅調に伸長しており、フィンテックセグメントが楽天グループの収益性に対して大きな影響を及ぼしていることがわかります。

■モバイル
モバイルセグメントは大幅な売上増収を示していますが、営業損失は1,027億円と大きな数値となっています。これは、楽天モバイルの自社基地局設置などの先行投資が続いているためです。しかし、楽天モバイルの契約数は増加傾向にあり、解約率は逓減傾向にあるため、将来的な収益性向上の可能性が見込まれます。

以上のように、楽天グループの各セグメントはそれぞれ異なる特性と成長パターンを持っています。インターネットサービスとフィンテックのセグメントは既に安定した収益を生み出しており、全体の売上収益に大きく貢献しています。一方、モバイルセグメントは現在大きな投資が行われており、短期的には損失を出していますが、長期的な視点で見れば、契約数の増加や解約率の減少などから収益性の向上が期待されます。

各セグメントの財務状況を可視化するためには、それぞれのセグメント別の詳細な財務データが必要です。提供いただいた情報だけでは、各セグメントの財務状況を具体的に可視化することは難しいです。具体的な可視化が必要な場合は、各セグメント別の売上や利益、その他の財務指標を含むデータを提供いただければと思います。

ChatGPTの出力

各セグメントの売上収益の割合を円グラフで可視化してください。

筆者の入力したプロンプト

以下がChatGPTが作成したグラフです。

ChatGPTが作成した円グラフ

上記の円グラフは、楽天グループの各セグメント(「インターネットサービス」「フィンテック」「モバイル」)における売上収益の割合を示しています。
・「インターネットサービス」は全体の売上収益のうち約49.3%を占めており、最も大きなセグメントです。
・「フィンテック」は全体の売上収益のうち約30.5%を占めています。
・「モバイル」は全体の売上収益のうち約17.5%を占めています。

これらの情報は、楽天グループがどのセグメントに重点を置いているか、そしてその結果どのセグメントが最も売上を生み出しているかを示しています。

ChatGPTの出力

ここに挙げたセグメント以外の売上収益があるためか、円グラフの数値と出力文章内の数値が少しずれています。

この円グラフを作成するためにCode Interpreterが生成したコードは以下のとおりです。

# Define the segment revenues
segment_revenues = {
    "Internet Services": 2711,
    "Fintech": 1680,
    "Mobile": 963
}

# Create a pie chart
plt.figure(figsize=(10, 7))
plt.pie(segment_revenues.values(), labels=segment_revenues.keys(), autopct='%1.1f%%')
plt.title("Revenue Distribution by Segment")
plt.show()

3.今後の楽天グループの経営見通し

ここまでの経営状況の分析結果を基に、今後の楽天グループの経営見通しについて、ChatGPTにコメントしてもらいました。
筆者が入力したプロンプトは以下のとおりです。

あなたは経営評論家です。ここまでの経営状況の分析結果を基に、今後の楽天グループの経営の見通しについてコメントしてください。

筆者が入力したプロンプト

これに対するChatGPTの出力は以下のとおりです。

ここまでの分析結果を基に、楽天グループの今後の経営の見通しについてコメントします。

楽天グループの成長は、引き続きインターネットサービスとフィンテックが牽引しています。特に「楽天市場」は、コロナウィルスの影響を受けても堅調な成長を続けており、このトレンドが継続すれば、企業全体の成長に対する重要な貢献が期待できます。また、「楽天カード」の発行枚数やショッピング取扱高の伸びも、フィンテックセグメントの健全な成長を示しています。

一方で、楽天モバイルへの大規模な投資は、短期的には楽天グループ全体の業績に対する影響が見込まれます。しかし、これは中長期的な視点で見れば、モバイル通信市場への参入という戦略的な投資であると考えられます。楽天モバイルの契約者数の増加や解約率の減少などから、この投資が将来的には利益に転じる可能性があると考えられます。

全体的に見て、楽天グループは多角化した事業ポートフォリオを持っており、これが企業全体のリスクを分散する役割を果たしています。現在は楽天モバイルへの投資により業績が一時的に圧迫されていますが、他のセグメントの堅調な成長がこれを補っています。

今後の楽天グループの経営状況は、モバイル事業の収益性の改善、新たな成長機会の探求、そして既存事業の安定した成長の維持に大きく依存すると言えるでしょう。特に、モバイル事業の成功が企業全体の成長の鍵となると考えられます。

ただし、この見通しは現時点で利用可能な情報に基づいています。未来の経営状況は、市場環境、競争状況、楽天グループの戦略的な決定など、さまざまな要因によって影響を受けることを理解しておく必要があります。

ChatGPTの出力

4.まとめ

以上のように、企業が発表している経営データを提供することによって、ChatGPTのCode Interpreterが経営分析を行うこともできます。
ただし、データのクリーニングや整理が大変であり、まだまだ実際に使える経営データや統計情報は限られています。

実際、楽天グループも沢山の経営データや経営資料をサイト上で公開していますが、資料が複雑であったり、フォーマットが独自のものであったりして、ほとんどのデータや資料をCode Interpreterは扱うことができませんでした。

今後は、政府も企業も、Code InterpreterのようなAIが利用できるマシンリーダブルなデータや統計資料を提供することが重要になってくると思います。


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