IMF、2025年の世界経済成長率を下方修正 – 戦争や保護主義がリスクに

2024年10月23日 05:25

この記事は、国際通貨基金（IMF）が2024年10月22日に発表した最新の世界経済見通し（WEO）に基づき、来年の世界経済成長率予測を下方修正し、さまざまなリスクが経済に悪影響を与える可能性を指摘しています。以下は、記事の概要とポイントです。

概要

IMFは、2025年の世界経済成長率を3.2％と予測し、これまでの予測から0.1ポイント引き下げました。成長の下振れリスクとしては、戦争や保護主義政策の台頭、貿易の混乱などが挙げられています。また、IMFは各国の中央銀行がインフレを抑制しつつ景気後退を回避した点を評価しましたが、地政学的な緊張や債務問題、気候変動の影響も含め、世界経済には多くの不確実性が存在するとしています。

主要ポイント

成長率の下方修正
IMFは2025年の世界経済成長率を3.2％とし、0.1ポイント下方修正しました。リスク要因として、戦争や保護主義が経済に悪影響を及ぼす可能性を指摘しています。
インフレ抑制の成果
IMFは、各国の中央銀行がリセッションを回避しつつインフレを抑制できたことを評価しています。しかしながら、インフレの影響が完全に払拭されたわけではなく、特に新興国や途上国の債務負担が今後の成長に対するリスク要因とされています。
ユーロ圏の成長見通しの引き下げ
ユーロ圏の2025年の成長率予測は1.2％とされ、ドイツやイタリアの製造業低迷が主な要因です。
米国と日本の見通しの上方修正
米国は消費の伸びを理由に、2025年の成長率見通しを2.2％に引き上げました。日本も来年の成長率が0.1ポイント上方修正されましたが、今年の予測は一時的な供給障害のため0.4ポイント引き下げられました。
中国経済の低迷
中国は不動産部門の不振や消費者信頼感の低下を理由に、成長率が5％から4.8％に引き下げられました。
地政学的リスク
IMFは、戦争や地政学的な緊張がエネルギーや食料価格を再び押し上げるリスクを警告しています。これにより、世界的な経済成長にさらなる下振れ圧力がかかる可能性があります。
債務問題への懸念
IMFは、世界の公的債務が今年末までに100兆ドルに達し、GDPの93％に相当することを懸念しています。特に、米国と中国が債務急増の要因となっているとしています。

この見通しは、今後の経済政策や国際情勢に大きな影響を与える可能性があり、特に貿易政策や地政学的リスクに注目が集まっています。

この図は、IMF（国際通貨基金）が2024年と2025年の各国・地域の経済成長率（GDP成長率）の予測を示しています。2024年と2025年の予測値に加えて、前回の予測からの変更（上下）も表示されています。以下、ポイントをまとめます。

世界全体の成長見通し

2024年の世界全体の成長率は3.2％と予測されています。
2025年の世界全体の成長率も3.2％で、前回予測から0.1ポイント下方修正されています。

米国（US）

2024年の成長率は2.8％で、前回の予測から0.2ポイント上方修正されています。
2025年の成長率は2.2％で、0.3ポイント上方修正されています。
- 米国経済は安定した成長を維持しつつ、2025年には成長ペースがやや鈍化する予想です。

ユーロ圏（Euro area）

2024年の成長率は0.8％で、0.1ポイント下方修正されています。
2025年の成長率も1.2％と、0.3ポイント下方修正されています。
- ユーロ圏では、ドイツやイタリアなどの製造業の停滞が影響し、経済成長が緩やかになる見込みです。

日本（Japan）

2024年の成長率は0.3％で、0.4ポイント下方修正されています。
2025年の成長率は1.1％と、0.1ポイント上方修正されています。
- 2024年は一時的な供給障害の影響で低成長が見込まれるが、2025年には回復の兆しがあります。

中国（China）

2024年の成長率は4.8％、**2025年は4.5％**で、それぞれ前回の予測から変更はありません。
- 不動産市場の低迷と消費者信頼感の低さが成長の下振れ要因となっています。

インド（India）

2024年の成長率は7.0％で、2025年は6.5％と予測されています。両年とも予測に変更はありません。
- インドは引き続き世界の中で最も高い成長率を維持すると見込まれています。

重要な変更点

メキシコとブラジルの2025年成長率はそれぞれ0.3ポイント下方修正されており、メキシコは1.3％、ブラジルは2.2％の成長が予測されています。
サウジアラビアの成長率は2024年に1.5％、2025年に4.6％と見込まれており、特に2025年は高い成長が期待されています。

この図から、米国やインドなどの主要経済は比較的安定した成長が予測される一方、ユーロ圏や中国では経済成長の停滞が見込まれています。また、保護主義や地政学的リスクも世界経済に対するリスクとして指摘されています。