家庭の事情
「家庭の事情によりお休みをいただきます」
それと、復帰時期の目安。
これだけで十分だろう。
でも推しは細かく説明してくれた。
家族との関係、その時の家族の状況
そこまでする必要はないけど、言葉にすることで気持ちの整理がつくなら、それを受け止めたいと思った。
ただ、他のヲタクみたいにリプを送れなかった。
推しに伝えるにふさわしい言葉が出てこなかった。
そしてしばらくして、推しは同じく「家庭の事情」でワンマンライブや生誕祭に出られなかった。
少し経って、卒業した。
彼女は生き急いでいた。
「人生短いんだから」
そう言っていた彼女は月30本のライブに出演していた。
平日も夜はライブ、土日は多い日で3本回し。
いつ会いに行っても彼女は全力で踊って、時にヘアアクセサリーを吹っ飛ばし、時に転び、そんな彼女の一つ一つの動きが大好きだった。
そんな彼女が明かした家族のこと。
あまりにも、心当たりがあった。
家族でありながら離れていた日々。最期の時の後悔を増やしてしまう時間。
自分の家族のことを考えてしまった。
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【募金箱】病人ですが演劇も被写体もこれからやっていきたいです。サポートしてくれたらもっと色々できちゃうかもしれないので、興味があれば是非。