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【記事化】#4-6 これからはどうなる?コミュニティの未来を考えてみよう

※この対談記事は以下の放送についてAIを使用してまとめています。


けんすう: 第6回目ですね。これで基本的に本編の方は最後にしようかなと思っています。「これからはどうなる?コミュニティの未来」みたいな話をしたいと思います。

尾原: コミュニティで6回語るって頭おかしいと思うんだよね。普通に考えたら。

けんすう: これでもちょっとキュっとしたんですけどね。

尾原: そうですね、だいぶ我慢してますよね。今回は妄想大開放というふうに考えていいんですか。

ネットコミュニティの歴史

けんすう: そうですね。まずちょっと未来の話をする前に、昔のコミュニティの話をしようかなと思うんですけれども、めちゃくちゃ雑にざっくりとまとめます。多分グラデーションがありますが、いろんな観点あると思うので僕なりのまとめでいうとまず0年代です。

尾原: 2000年代ですね。

けんすう: 今回90年代は置いてときます。0年代はどちらかというと、みんなの投稿が集まるサービスをコミュニティと呼んでいたイメージが強いと思っています。いわゆるメディア的なものですね。2ちゃんねるなどから始まってWeb 2.0ブームが来て、食べログとかクックパッドとかが注目されるようになりました。あとニコニコ動画のようなものがでてきたというのが0年代で、こういったものをコミュニティと呼んでました。

尾原: 2000年代はちょうどV字するところで、2006年にWeb 2.0という言い方が出てきたことによって、食べログとかクックパッドとか実はもっと前からやってるんだけれど脚光が浴びられるようになったタイミングですね。

けんすう: そうですね。

尾原: 2000年頃にみんな仕込んでいって、レビューサイトとかある程度レビューが集まると突然ものすごい価値を生み始めるけど、アットコスメにしてもクックパッドにしても5、6年仕込んでました。

けんすう: そうですね。すごく覚えてるのが「Web 2.0ってなんで儲からないんだ?」のようなことを、まさにクックパッドさんとかアットコスメさんとか価格.comさんとかが集まって対談をしていた記憶がありますが、そんな感じの時代感でした。

尾原: そうですね。ユーザー課金に舵を切って儲かるようになって、上場が見えてきたみたいなのがゼロ年代の独特な形ですよね。

けんすう: 2010年代はSNSが主流になりました。mixiは2004年ごろから存在していましたが、ここで言うSNSはTwitterやInstagram、TikTokのようなフォローフォロワーの関係性が非対称なものを指します。

以前のSNSは友達申請を通じて繋がるものでしたが、この頃から一方的にフォローするだけの関係性も一般的になりました。つまり、誰もが自分の発信の場を持つようになったのです。ブログも存在していましましたが、それは一部の人だけのものでした。TwitterやInstagramでは、多くの人が自分のスペースに投稿し、興味があれば反応し合うという形になりました。

尾原: そうですね。時期で言えば、アットコスメを運営するistyleが2012年に、クックパッドが2009年に上場しています。2010年前後にいわゆるレビュー型サイトが次々と上場していきました。

一方で、2006年ごろからiPhoneやAndroidといったスマートフォンが登場し、それまでメールやメッセージでブログ更新ができるようになり発信のコストが下がっていましたが、スマートフォンの登場によって誰もが今感じていることを即座に発信できるようになりました。特にiPhone 4あたりから、誰もが発信する時代になってきたという雰囲気がありました。

けんすう: おっしゃる通りです。それまでは投稿する人が少数派で、投稿していると少し変わった人と思われることもありましたが、この頃から普通に投稿するようになりました。実はまだ15年ほどしか経っていないのです。

尾原: 今回のコミュニティの話を通して改めて感じたのは、コミュニティ的なものとソーシャルを区別して考える必要があるということです。混同してしまうと議論が混乱しがちです。この歴史を振り返ることで、その違いがより明確になりますね。

けんすう: まさにその通りです。では、2020年代はどうなるのかという未来の話をしていきましょう。

尾原: けんすうが見出す2020年代の儲かる場所ですね。みんな、メモを取る準備をしておいた方がいいかもしれません。

今後のコミュニティのトレンド

けんすう: 儲かるかどうかは自信がありませんが、大きな流れが3つあると考えています。一つずつ見ていきましょう。一つ目はWeb3的なコミュニティの流れです。

尾原: そうですね。

けんすう: Web3という表現がいつまで使われるかわかりませんが、2024年現在ではまだ生き残っている表現だと思うので使用します。これは要するに、コミュニティにインセンティブが付随したという新しいポイントです。

これまでのコミュニティは、金銭的なインセンティブを前面に出したものはあまりありませんでした。YouTubeのようにユーザーに還元するものや、Instagramでインフルエンサーが広告投稿をするようなものはありましたが、これらは一過性のものでした。

しかし、トークンという、いわばコミュニティの株のような概念に近いものを持っていると、コミュニティが盛り上がればトークンの価値も上がる可能性があります。そのため、前向きに頑張ろうという姿勢になり、コミュニティの質が大きく変わる可能性があると考えています。

尾原: なるほど。ここでWeb3という概念が出てきたのは、Web2の反省があるからですね。例えば、YouTubeの成功は誰の功績なのかという議論があります。もちろんYouTube自体も頑張りましたが、HIKAKINさんや東海オンエアさんのような投稿者が頑張ったからこそプラットフォームが成長したという側面もあります。

HIKAKINさんのように今でも人気がある方もいますが、初期に頑張って時代の変化についていけなくなり、今では埋もれてしまった初期のYouTuberたちもいます。彼らが流行のきっかけを作ったにもかかわらず、その恩恵をあまり受けられていないのではないかという問題意識があります。

けんすう: まさにその通りです。Wikipediaが始まった時に1万記事を書いた初期メンバーがいたとしても、彼らの収益はゼロ円です。

尾原: ゼロ円どころか、名前すら知られていない状態ですね。

けんすう: おっしゃる通りです。一方で、イーサリアムという暗号資産の初期メンバーや初期の投資家は、恐らく莫大な収益を得ています。このようなインセンティブがあると、以前話したコールドスタート問題がある中で、このコミュニティのために頑張ろうという前向きな姿勢になるユーザーも増えていきます。

また、コミュニティ内で価値ある貢献をした人にトークンを寄付するなどしてコミュニティがより活性化する可能性もあります。この点は非常に重要だと考えています。

尾原: そうですね。最初にリスクを取って畑を耕した人、井戸を掘った人の恩を忘れないという意味でトークンが存在し初期にトークンを持っている人は全体が発展すれば利益を得られます。

さらに、誰に感謝の気持ちを示すべきかという判断もユーザー間で行われ、彼は貢献したから私の分も分けようというような行動が自然と生まれます。場を温めた人に長期的なインセンティブが与えられることで、より健全なコミュニティになる可能性があるという考え方ですね。

けんすう: その通りです。株式会社という制度が現代社会の進化を異常に加速させたように、トークンが存在するコミュニティの前後で景色が全く変わる可能性があると考えています。つまり、トークン以前は特殊な状態で、インセンティブがあることが一般化する可能性があります。これは2020年代以降の大きな流れになると感じています。

尾原: しかし、コミュニティに金銭的なインセンティブを導入することで、お金目当ての人が殺到して文化を荒らすのではないかという懸念もあります。お金とは関係なく楽しんでいる人たちが踏みにじられ、金儲けできる人だけが次々と移動していって、結局荒れ地しか残らないのではないかという議論もありますが、その点についてはどう考えていますか?

けんすう: それは確かに一定の懸念事項だと思います。しかし、ポジティブな面もあります。例えば、初期に頑張って途中から離れていく人がいても全く問題ありません。

ベンチャー企業でも、立ち上げは得意だが途中からは苦手という人もいますが最初の貢献は価値があります。逆に、常に新しい人が参加できるという点でもコミュニティにとっては良いことです。また、興味深いのは、金銭的な価値が入ることで人間関係に損得勘定が生まれてそれが仲間意識を強める効果があるという点です。

尾原: なるほど、そういう側面もありますね。

けんすう: はい。純粋に好きでやっていると縄張り争いのようなものが起きやすいですが金銭的な価値が介在することで、むしろ協力関係が生まれやすくなる面があります。

尾原: 確かに、自分の「好き」を認めてもらえないという論争になりかねない部分もありますからね。

けんすう: おっしゃる通りです。自分の好きと相手の好きがわずかに違うだけで、その小さな差が揉め事になったりします。しかし、損得勘定でつながっていると、そういった違いを許容できる傾向があります。その意味でも、実は荒れにくいのではないかと考えています。

尾原: なるほど。この辺りの仮説は、別途深掘りする価値がありそうですね。

けんすう: その通りです。さて、2つ目の大きな流れとして予想されているのが、XR(拡張現実)的なコミュニティです。これはVR(仮想現実)空間でのコミュニティを想像していただければよいのですが、人類にとって革命的な変化をもたらす可能性が非常に高いと考えています。現在でも、フォートナイトやロブロックスといったゲームで集まって交流する若年層が多く、特にアメリカなどでは私たちの想像以上に普及が進んでいます。

尾原: そうですね。最近のアメリカの統計を見ると、Z世代と呼ばれる現在24歳以下の世代、つまり小学生や中学生の頃からiPhone 4とTwitterが当たり前にあった世代については、もはや友達を作る場所がフォートナイトやロブロックスになっています。リアルな友達とオンラインで知り合った友達が混在しながら一緒にゲームをするということが、彼らにとっては当たり前の感覚になっているのです。

けんすう: その通りです。日本の小学校低学年でも、スプラトゥーンのようなゲームをしながら音声通話でコミュニケーションを取ることが当たり前になっています。この傾向はどんどん進化していくでしょう。

尾原: さらに、アルファ世代と呼ばれる現在15歳以下の世代は、生まれた時からiPadがある環境で育っています。彼らにとっては、最初に友達ができる場所が近所の公園ではなく、マインクラフトの中だったりするわけです。また、この世代が13歳を超え始めたことでVRヘッドセットの使用が急速に広がっていることです。アメリカの調査によると、ローティーン層の中で、メインのゲームプレイ時間としてVRヘッドセットを使用している人が18%程度まで増えているのです。

けんすう: まさにその通りです。

尾原: このような変化は、私たちの常識的な感覚とはかけ離れています。遊ぶ場所自体が変わってきているのです。私たちはネットネイティブ世代だと思っていたけど、実はもっと若い世代はVRネイティブ、AIネイティブとも言える存在になっています。この点は本当に注意深く観察していく必要がありますね。

けんすう: おっしゃる通りです。VRゴーグル型のデバイスは没入感を高めるだけでなく、自分の見た目や性別を自由に変えられたり、好きな場所でやり取りできたりするため、コミュニティの性質も大きく変わると思います。

もちろん、ゲームや遊び目的での利用も増えますが仕事でも必ず使われるようになるでしょう。VR空間でプロジェクトを進めたり、何かを作ったり、単純におしゃべりをしたりする文化がどんどん増えていくと思います。現在使っていない人でも、何かのきっかけで急速に使うようになる可能性が高いです。あるブームが来た瞬間に、一気に広まっていく可能性があります。

尾原: そうですね。今日も私たちはZoomを使ってシンガポールと日本をつないで収録していますし、カレンダーや簡単なスケジュールツールを使って15分程度のミーティングを設定することも当たり前になってきています。コロナ禍によって私たちは強制的にデジタル移住を経験し、デジタル空間で人と出会うことへのアレルギーが急速に解消されました。これによって、10年から20年分の変化が一気に起こったような感覚があります。

けんすう: その通りです。オンライン会議が当たり前になり、VRでの作業が可能になれば、オフィスの必要性も大きく変わってくるでしょう。特に注目すべきは、地方で子育てしながら4時間だけ働きたいという人も働けるようになること、そして性別や年齢が分からなくなることで差別も減少する可能性があることです。これらはポジティブな未来として期待できる変化だと考えています。

尾原: その通りですね。実際に、ゆうこすさんが運営している321のような取り組みでは、地方在住のシングルマザーがリアルな仕事を見つけるのが難しい状況でも、オンラインのポコチャ型コミュニティで活動することで月に20万円ほどの収入を得られるようになっています。これにより、子供との時間も確保しながら、ファンの方々とも交流できるという新しいライフスタイルが生まれています。

私たちはついZoomのような目的志向のオンラインコミュニケーションを想像しがちですが、実際には気軽に立ち寄れる場所としてのオンラインコミュニティや、特定の目的がなくてもそこにいるだけで楽しいと感じられるような、いわゆるDo型のプロジェクトからBe型のコミュニティへの移行がXR技術によって促進されています。

けんすう: まさにその通りです。このような変化は2020年代のどこかで必ず大きな転換点を迎えると考えています。

尾原: そうですね。早すぎたクラブハウスのような事例もありましたが、様々な形態のトライアルを経て、本当に持続可能な居場所型のXRコミュニティが確実に登場してくるのではないでしょうか。

けんすう: VRChatのような取り組みもすでに始まっていますね。

尾原: はい、その通りです。

けんすう: さて、3つ目の大きな流れとしてグローバルコミュニティが挙げられます。これはAIの進化が大きく関わっていて2020年代のうちに言語の壁がかなり取り払われると予想しています。

尾原: そうですね。AIによる言語の壁の解消は、私たちの予想以上に早く進んでいます。

けんすう: その通りです。翻訳の精度が急速に向上していて、多くの国の人々とのコミュニケーションがかなりスムーズになってきています。テキストベースのコミュニケーションであれば、2024年の時点でもかなり自然なやりとりが可能です。

Zoomなどのビデオ会議ツールにも字幕機能が付き、Google Meetでは翻訳機能も搭載されています。これがさらに進化すれば、音声の上に吹き替えのように翻訳を重ねるといったことも可能になるでしょう。

尾原: そうですね。最近発表されたChatGPT-4oのような高度な言語モデルを使えば、これまでのように翻訳を待ち、結果を聞いて、また話すという時間のかかるプロセスが、0.2秒程度で完了する可能性があります。AIが間に立って、異なる言語でのリアルタイムコミュニケーションを可能にするのです。

先週のマイクロソフトの開発者会議「Build」では、PCに搭載されるAI「Copilot」が紹介されました。これにより、基本的にすべてのツール内で翻訳が自動的に行われるようになります。デモでは、リモートミーティングでマイクロソフトAI Copilotがリアルタイムで字幕を付け、参加者が別々の母国語で会話をする様子が紹介されました。マインドセットさえ変われば、これは半年後には実現可能な世界なのです。

けんすう: その通りです。私たち集英社と運営していた「MANGA Plus Universe」というサービスも、この文脈で非常に興味深い事例だったと思います。

尾原: そうですね。あのサービスは本当に素晴らしかったですね。

けんすう: ありがとうございます。このサービスでは、漫画についてテキストでコミュニケーションができ、様々な言語で書いたコメントが相手の言語で表示されるようになっていました。スペインの人、メキシコの人、日本の人が一緒に会話するといったことが可能でした。

尾原: そうですね。例えば「呪術廻戦」について異なる言語を使う人々が深い議論を交わすことができたわけです。

AIとXRが変えるコミュニティの未来

けんすう: その通りです。このような多言語コミュニケーションは、ほとんど違和感なく行われていました。これは、今後さらに容易になっていくでしょう。

さて、これまで述べた3つの流れ、Web3的なインセンティブ、XR空間でのコミュニティ、そしてAIによる言語の壁の解消が統合されるとどのような世界が生まれるでしょうか。例えば、トークンという形でインセンティブを得ながら、世界中の人々と言語を気にせずにVR空間で交流し、自分は猫の姿で働いたり、みんなで新しいレシピを考案したりすることが可能になるのです。

極端な話、2020年以前の世界は非常に分断されており、日本のコミュニティは日本人しか利用していなかったと言えるかもしれません。また、テキストベースのコミュニケーションしかなかったという事実に、将来の人々は驚くかもしれません。これからは、リッチなコミュニケーション環境で、言語の壁がなく、トークンなども流通し、インセンティブも非常にスムーズに機能するような世界が到来すると考えています。

尾原: ここで重要なのは、単に言語的なものや表層的なコミュニケーションの改善だけではありません。XRの素晴らしい点は、バイアスを取り除けることにあります。リアルなコミュニティでは、例えば私の場合、自分が背が低めで太めだということを気にしてしまいます。また、アジア系の外見であることから、現在のアメリカではアジアヘイトを恐れてビクビクしながら歩くのをイメージしください。

このような心理状態でコミュニケーションを取ろうとしても、相手も心地よくコミュニケーションを取ることは難しいでしょう。時には相手に敵意があるケースもありますが、実際のところコミュニケーションは鏡のようなものです。自分が相手をどう思っているかというバイアスが相手に伝わり、それが返ってくるのです。

XRの世界では、誰もが自由に外見を変えられます。ボイスチェンジャーを使えば、男性が女性の声を出すことも、女性が男性の声を出すこともできます。このようにバイアスから解放されることで、より開かれたコミュニケーションが可能になるのです。

さらに、AIの利点として、単に言葉を訳すだけでなく、ある表現が相手を傷つける可能性がある場合、それを事前に指摘して相手の立場に立った時にどのような感情を抱くかを予測してくれます。そして、より適切な表現方法を提案してくれるのです。

また、メールやテキストコミュニケーションにおいても、送信直前にある表現が相手の宗教的な立場から見てネガティブな印象を与える可能性があることを指摘し、別の表現を提案してくれるかもしれません。これにより、私たちは自分が気づいていないバイアスに対してより意識的になれたり多様性を楽しめるようになるのです。バイアスフリーな環境を実現できることが、AIとXRの本当に素晴らしい点ですね。

けんすう:最近、ある学生と話をしていて興味深い事例を聞きました。教授からの少し厳しいメールを直接読むと傷つくので、まずGPTなどのAIに要約してもらい、できるだけ感情的にならない表現で内容を把握するそうです。そして返信する際も、非常に丁寧な謝罪の文面をAIに生成してもらい、それを送信するという方法を取っているとのことでした。

今後は、このようなプロセスがほぼ自動的に行われるようになるでしょう。無意識のうちに相手の感情や尊厳を傷つけるような言葉を使ってしまっても、AI側の翻訳でより穏やかな表現に変換されるかもしれません。

尾原: そうですね。発信者側の表現を修正するだけでなく受信者側で傷つきやすい表現をフィルタリングする機能も重要です。AIが受け取ったメッセージの中から、意味は通じるが自分の文化では傷つく可能性のある表現を排除し、より適切な表現に変換してくれる可能性があります。

さらに、XRに関しては、例えば私が特定のアバターを着ているつもりでも、実際にけんすうさんから見ると、けんすうさんの好みに合わせた美少女のアバターに見えるというように、受信者側がフィルターを設定できる可能性もあります。

つまり、様々な選択肢があり、それらをどのように組み合わせていくかが重要になります。受信者側にフィルターを設定する方法、発信者側にフィードバックを提供して発信を改善する方法、そして発信者と受信者の双方にフィルターを設定する方法などいろんなアプローチが考えられます。

けんすう: いずれにしても、これらの技術によって無意識のうちに相手を傷つけたり相手の言動を理解できずにイライラしたりすることが大幅に減少すると予想されます。

特に2020年代において、XRやAIがネイティブな世代、つまりアルファ世代の人々が成長していく中で彼らがどのようなコミュニティを形成していくのかは非常に興味深いテーマです。これは今後10年がかりの巨大なビジネスチャンスにもなり得ると思います。

尾原: そうですね。フリクションレス、つまり摩擦が少なくなっていくことで、人々はより本質的なことに集中できるようになります。現在、世界は分断されているという話をよく耳にしますが、私たちがテクノロジーをどのように活用していくかによって、その方向性は大きく変わってくるでしょう。

けんすう: はい、そのような感じでコミュニティにおいても大きな変革の時代が来ているということで、この回を締めくくりたいと思います。尾原さん、コミュニティについての一連の話をどのように感じられましたか?

尾原: そうですね、本当に素晴らしい内容だったと思います。特に印象に残ったのは、コミュニティに関して途中で触れたグラウンズウェルの理論やネットゲインといった既存の理論がある中で、けんすうさんが自分の経験を基に独自の視点で語ってくれたことです。

例えば、セグメント面で考えるという話やコンテンツをどのように集めて立ち上げていくかという具体的な方法論など、けんすうさんが自分の言葉でフレーム化していく過程を聞いていて非常に勉強になりました。

けんすう: ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。

尾原: 実は、この内容は英語に翻訳して海外に発信しても十分通用するのではないかと思いました。

けんすう: 本当ですか?海外向けに発信するというのは面白い案ですね。

尾原: そうなんです。実は、海外ではあまり聞かないような内容も多く含まれているんですよ。

けんすう: 確かに、日本のコミュニティは独特の発展を遂げてきたと言えるかもしれません。2ちゃんねるもそうですし、フィナンシェのようなトークンコミュニティも海外にはあまり例がありません。

海外では、どちらかというとソーシャルファイのようなSNSとトークンを結びつけてインフルエンサーがトークンを発行できるような方向性が主流です。しかし、これまで議論してきたような横のつながりでやり取りができるコミュニティの形態は海外ではあまり見られないんです。

尾原: そうですね。コミュニティの基本的な概念として、何か共通のものがあるから人々が集まるという点を最初に挙げましたが、日本人は共通のネタや共通の好みを本当の価値に昇華させていく能力が高いように思います。また、Be型の居心地の良さを求めるタイプのコミュニティと目的を遂行していくプロジェクト型のコミュニティがうまくハイブリッドになっているのも日本の特徴だと言えるでしょう。

アメリカではどちらかというとDo型のプロジェクトタイプのコミュニティが多い傾向がありますが、最近の変化を見ると面白いです。例えば、アメリカの若者たちも私たちと同じようにフォートナイトやマインクラフトで育っています。

最初はゲームという目的で始めたものの、今ではフォートナイトで過ごす時間の50%以上がゲームというよりもコミュニケーションのためのツールとして使われているという調査結果もあります。つまり、アメリカでもDo型からBe型のコミュニティへの移行が始まっているのです。このような観点から見ると、日本は実はコミュニティにおける先進国である可能性が高いのではないでしょうか。

けんすう: そうですね。昔から「英語に次ぐ言語は日本語だ」と言われるほど、ブログやTwitterなどでも日本人ユーザーの割合が高かったです。人口比でみたコミュニティへの参加率が日本語話者で非常に高いという話は昔からありました。やはり日本人とコミュニティの相性が良いのかもしれません。

このことを踏まえると、この内容を聞いている方々にとってコミュニティ系のビジネスを立ち上げるチャンスは日本勢の方が多いかもしれませんね。

尾原: そうですね。特に私が思うのは、第一回で話したネットワーク効果という仕組みで広がる話と今回のコミュニティの内容を掛け合わせることで、自然と広がっていくビジネスモデルが作れる可能性があります。

さらに、これからはAIの存在もあるため誰もが日本発のグローバルコミュニティを作れる時代になっています。この点をチャンスとして捉えてもらえると面白いのではないでしょうか。

けんすう: はい、そんな感じですね。というわけで、全6回にわたるコミュニティの話はここで終わりです。この後に番外編として、私、けんすうがどのようなコミュニティを運営してきたかについてお話しする予定です。

尾原: そうですね。今回はけんすうさんに解説をお願いしたので、逆にけんすうさんが実際に運営してきたコミュニティについての話があまり入っていませんでした。この部分は非常に深い知見があり、思い入れも強い部分だと思います。番外編ではそれを深掘りできそうですし、おそらくニーズも高いのではないでしょうか。

けんすう: 番外編は聞かなくても全体の流れを理解する上では問題ありませんが、興味がある方はぜひ聞いてみてください。

尾原: わかりました。では、そろそろ締めくくりましょうか。

けんすう: はい、そうですね。これで全6回のコミュニティについての話を終了します。皆様、長い間ありがとうございました。

尾原: ありがとうございました。それでは、番外編いきましょう。


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