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【記事化】#4-1 コミュニティってなに?大前提からちゃんと深掘りをしてみよう

※この対談記事は以下の放送についてAIを使用してまとめています。


けんすう: ハイパー起業ラジオ!というわけで、今日から新シリーズを始めます。最近では、様々なレジェンド級の起業家の方々が聞いてくださっているという話を耳にします。

尾原: 本当にありがたいことですね。先日もWeb3やメタバースで牽引されている國光宏尚さんや、Web3で活躍されている20代の次世代スター的な方々から、「意外と知らないこともあるから聞いた方がいい」と言っていただけて、本当に光栄です。

けんすう: そうですね。イケている起業家の方ほど早く聴いてくださっているような印象を受けます。「イケている人が聞かないとまずい」というような雰囲気になってきているようです。これ誰が聞くんだろうというようなテーマ設定だと自分たちでも思っていたのですが、予想外の反響があって驚いています。

尾原: 本当に好きなことを、ただただ話したいから話しているという感じのものが、このように皆さんに受け入れられるのは本当にありがたいことです。おそらく、もうすぐ第1回のGAFAM戦略についてのエピソードが1万再生を突破しそうです。

けんすう: それはすごいですね。

尾原: そうなんです。ただ、登録してくださっている方が意外と少ないので、ぜひ皆さん登録をお忘れなくお願いしたいと思います。

けんすう: そうですね。実は、私たちはこの番組についてほとんど宣伝していないんです。皆さんの口コミだけで広がって1万再生に達しているんです。PVやWebサイトのコンテンツだと1万PVはそれほど大きな数字に見えないかもしれませんが、音声コンテンツの場合は長時間聴いてもらうので、1万人近くの方が熱心に聴いてくださっているということを考えると、すごいことだと思います。

尾原: 本当にありがたいことです。実際、30分程度のコンテンツでも、最後まで聴いてくださる方が80%ほどいらっしゃいますし、初回エピソードは9ヶ月前に収録したものですが、今でもコンスタントに再生され続けているのも非常にありがたいですね。

けんすう: ありがとうございます。今後ともがんばっていきたいと思います。

尾原: はい、今回のテーマについて触れていきましょうか。

けんすう: そうですね。今回は新しい取り組みをしようと思っています。これまでは尾原さんが理論派として、様々な本や研究を調査して得た知識を言語化してまとめて話してくれる形で、私がどちらかというと実践派として、実際の経験からそれを補足していくという形でした。今回はこの順番を変えてみて、私が実践してきた経験から「これはこういうことだと思う」というのをまとめてみました。それを尾原さんに聞いてもらって、理論的な補足をしてもらいながら番組を作っていこうと思います。

尾原: なるほど、面白い試みですね。では、今回のテーマは実践の中で得意なテーマということですか?

けんすう: そうですね。前回もお伝えしたかもしれませんが、今回はコミュニティについて話そうと思っています。私は元々インターネットのコミュニティを長年やってきていて、2000年頃から約24、25年間、インターネットコミュニティを様々に作ったり運営したりしてきました。そこから得た経験を基に、盛り上がるコミュニティの特徴や、コミュニティを作るためにはどうしたらいいのかといった話をしたら面白いんじゃないかと思っています。

尾原: 2000年代というと、まだWeb 2.0という言葉が生まれる2006年の6年前ですから、いわゆるテキスト掲示板と呼ばれるような時代からコミュニティを運営されてきたわけですね。その後、企業を1億円で売却され、その後もずっとコミュニティ関連の事業をされてきたけんすうさんからの実践的な知恵が聞けるなんて、これはハイパー起業ラジオの醍醐味ですね。

けんすう: ありがとうございます。では、まずコミュニティの定義から整理していきたいと思います。結論から言うと、コミュニティとは「共通の何かがあった上で人が集まった場所」と定義してみました。

尾原: 「共通の何かがあった上で人が集まった場所」ですか。非常に興味深い定義ですね。

コミュニティの4つの共通項

けんすう: はい。共通項があって人々が集まっているのがコミュニティです。数式的に表現すると「共通項 × 人々の集まり = コミュニティ」といった感じでしょうか。

尾原: そうですね。実際、コミュニティという言葉はラテン語の「communitas」から来ていて、「com(共同)」と「munus(貢献)」という意味が組み合わさっています。けんすうさんの定義は、この語源にも通じる本質を捉えていますね。

けんすう: なるほど、そういった語源があったんですね。さて、この共通項には様々なものがありますが、主なものを4つ挙げてみました。1つ目は興味関心です。これが最もわかりやすいかもしれません。趣味や好きなことで集まったコミュニティですね。例えば、鉄道好きな人が集まって話すようなものがこれに当たります。

尾原: そうですね。2004年頃のmixi(ミクシィ)のようなSNSが登場した時も、最初のコミュニティは趣味や興味関心に基づくものが多かったですよね。

けんすう: その通りです。2つ目は価値観・思想です。これも分かりやすいですね。政治思想や経済観、宗教なども含まれます。例えば、キリスト教徒の人がどの国に行ってもキリスト教のコミュニティがあり、そこにスムーズに入れて温かく迎えられ、その国で生活するためのサポートを受けられるというのも、強い宗教コミュニティがあるからこそ可能になるんです。

尾原: なるほど。3つ目は何でしょうか?

けんすう: 3つ目は目的です。プロジェクトなどがこれに当たります。「こういうことをやりたい人」というので集まっていくのも立派なコミュニティですね。大学のサークルを例に考えるとわかりやすいかもしれません。単に集まるだけのサークルもあれば、広告研究会のように特定のプロジェクトや目的のために頑張るサークルもありますよね。

尾原: その区別は面白いですね。価値観で集まるのか、目的で集まるのか。以前、ソニックガーデンの倉貫義人さんが言っていた定義が興味深くて。コミュニティは「Be」の集まりで、プロジェクトは「Do」の集まりだと。最初は「あれをやろうぜ」と言って集まるプロジェクト型から始まり、価値観が同じ人間だから一緒にいるだけで集まるBe型に移行していくこともあれば、その逆もあるという。この2つが相互に行き来しながら発展していくんです。

けんすう: その通りですね。実は、その話は第3回で触れようと思っていたんですよ。

尾原: おっと、台本をブレイクしてしまいましたね(笑)。ただ、世間一般的には、価値観と思想で集まる方が実はハードルが低いんです。昔から掲示板でも「70年代生まれの人集まれ」とか「○○好きな人集まれ」というような形で集まる方が参加しやすく、滞在時間も長いコミュニティになりやすい傾向があります。一方で、目的型の方が熱狂的になりやすいという特徴もありますね。

けんすう: おっしゃる通りです。熱狂という面で言えば、プロジェクト型は短期的にすごく熱が上がりますが、燃え尽きてしまう傾向もあります。一方で、年齢などが同じというコミュニティは、短期的な熱は少ないものの、ずっとだらだらと繋がり続けるという特徴がありますね。

尾原: そうですね。では、4つ目の共通項は何でしょうか?

けんすう: 4つ目は物理的な近さです。地域社会などは、まさに物理的に近いからコミュニティになっているという典型例です。会社でも、同じ目的があるからコミュニティだと思っていたけれど、実際には単に同じ場所にいるからコミュニティとして成り立っているというケースも多いんです。会社のビジョンやミッションはどうでもいいけれど、この会社に集まってこの人たちと仲が良いという状況も十分あり得ますよね。

他にも参考までに挙げると、文化的背景、言語、教育的背景、年齢、性別、健康状態なども共通項になり得ます。つまり、共通項には実に様々なものがあるということです。

尾原: なるほど。これらの共通項は相互に影響し合うこともありますね。例えば、健康状態という共通項を持つ人々が、ダイエットという目的のために集まるかもしれません。あるいは、同じ悩みを抱えているからこそ、解決を目指すのではなく、ただ共有するだけでも嬉しいという状況もあるでしょう。

また、物理的な距離という共通項は、同じ資産を共有するという観点からも考えられます。例えば、ご近所の公園をどうしようかとか、ご近所の治安をどうにかしたいといった目的を生み出すきっかけにもなります。つまり、物理的な近接性が目的を生み出したり、同じ価値観を持ちやすくさせたりするわけです。

けんすう: その通りです。これらの要素が相互に影響し合って、物理的に近いから価値観が近くなるなど、様々な相互作用が起こります。それがコミュニティの複雑さと面白さを生み出しているんです。

さて、この共通項を持った上で人が集まることでコミュニティができるわけですが、人が集まると何ができるのかについても考えてみました。

尾原: 人が集まると何が起こるのか、何ができるのか。非常に興味深いポイントですね。

コミュニティが生み出す3つの価値

けんすう: 主に3つあると考えています。1つ目が情報の交換、2つ目が支援と協力、そして3つ目がアイデンティティ感覚を作れるということです。

尾原: さすがですね。その3つの分類はとても的確だと思います。実は、一般的にミーティングの目的として5つ挙げられることがあるんです。1つ目が情報の共有、2つ目が問題に関してアイデアを拡散して収集すること、3つ目が意思決定、そして残りの2つが育成とアイデンティティの共通化なんです。

けんすうさんの挙げた3つと重なる部分が多いですが、特に「支援と協力」という表現がすごいなと思いました。というのも、コミュニティとミーティングの違いは、ミーティングは何かをするために集まるのに対し、コミュニティは「いる」ところから始まるんです。そこにいることで、自然と支援しようとか協力しようという気持ちがボトムアップ的に生まれてくる。つまり、目的を決めなくても後から立ち上がってくる器作りということを「支援と協力」という言葉で表現されているのが非常にわかりやすいと感じました。

けんすう: ありがとうございます。そうですね、情報の交換については最もわかりやすいと思います。知りたいことを聞けば答えてくれたり、新しい情報を共有したりする。会社であれば社内で起きていることを共有するなど、コミュニティがあることで情報交換がスムーズになります。

支援と協力については、先ほど尾原さんがおっしゃった通り、コミュニティのメンバーがお互いに支援し合い、共通の目的や課題があれば協力し合います。例えば、教会というコミュニティであれば、困っている人が来たら助けてあげるとか、教えを広めようとするなど、そういった協力が自然に生まれやすくなります。

コミュニティの既定文化

尾原: なるほど。この点に関して、さらに深く考えてみると面白いですね。例えば、オンラインにおけるコミュニティ的なサービスの元祖とも言えるCraigslist(クレイグスリスト)を思い出します。あれは基本的に「売ります買います掲示板」や「教えてください質問箱」のようなものですが、コミュニティの重要な特徴を示しています。

コミュニティの大切なところは、そこに入ったら皆が共有している価値観やデフォルトのルールがあるということです。普段、道を歩いている人に「これ欲しいですか?」とか「私、これで困っているんですけど」と声をかけるのは難しいですよね。でも、コミュニティの中ではそれが許される。「ここでは〇〇を推しても恥ずかしくない場所です」とか「ここは助けるために来る場所でもあり、助ければ助けられる場所です」といった、いわゆる「既定文化」があるんです。

けんすう: 「既定文化」ですか。非常に興味深い概念ですね。

尾原: はい。つまり、明文化されていなくても、このコミュニティに入ればこういう文化として生きるという暗黙の了解のようなものです。例えば、会社の中ではとても堅苦しく見える人が、お祭りに行くと急に世話焼きになるといったことがありますよね。それと同じで、コミュニティによって「ここでは困っている人がいれば助ける場所」とか「ここはあなたの考えを広めていい場所」といった、何をしても許される範囲が定義されているんです。

こうした既定文化があることで、支援と協力が自然と動いたり、情報の交換が活発になったりするんです。

けんすう: なるほど。コミュニティがあるから支援と協力がしやすくなるという点は、本当にその通りですね。

尾原: そうなんです。さらに言えば、人間って同調圧力の生き物なので、失敗を許されない企業や学校といった環境ではチャレンジが減ってしまいがちです。でも、コミュニティの中では「ここではチャレンジすることの方が褒められる場所です」とか「ここでは自分の弱みをさらすことがみんなのデフォルトです」といったことを最初に定義してあげると、普段の社会では起こりにくい情報の交換や支援と協力が急に活発になるんです。

これは、コミュニティをビジネスに活用したり、サービスに組み込んだりする際に非常に重要なポイントになります。

けんすう: 面白いですね。確かに、規定されることで行動しやすくなるというのは、この2つの要素にとって重要ですね。

尾原: そうですね。そして、それをベースとして動きやすくなるのが3番目に挙げられた「アイデンティティ感覚」だと思います。しかも「感覚」という言葉を使っているのが本当に素晴らしいと思います。

けんすう: ありがとうございます。このコミュニティに属しているんだという感覚を持てるというのが非常に重要で、学校や会社のような所属は比較的わかりやすいですが、趣味の集まりでもなんとなくコミュニティに属しているという感覚を感じられるものです。

アイデンティティ感覚が強いコミュニティでは、名前がついていたり、旗やロゴがあったり、特定の色が指定されていたりすることがあります。名前がついていない集まりでも、「いつものメンバー」といった形容しやすい形になっていることが多いですね。

コミュニティを盛り上げたい人が旗やロゴを作ったり、名前をつけたり、アイコンの設定方法を決めたりするのも、このアイデンティティ感覚を強化する重要な取り組みなんです。

所属欲求とコミュニティの重要性

尾原: そうですね。この点について思い出すのが、マズローの五段階欲求説です。生命の維持が一番下にあって、その上に食べ物などの基本的欲求があり、その次に何かに所属したいという欲求があります。人間は全てを自分で決めなければならないと不安になるので、所属する場所が決まることが重要なんです。

その後に承認欲求があり、最後に自己実現欲求がある。これらの上位3つが所属欲求、承認欲求、自己実現欲求なんですが、オードリーの若林さんが興味深いことを言っていました。SNSの発達によって承認欲求はやたらと満たされるようになったけれど、意外と所属欲求が満たされにくくなっているというんです。

けんすう: それは非常に興味深い観点ですね。

尾原: そうなんです。昔は学校や会社、地方自治体などが所属欲求を強く満たしてくれていて、むしろ縛られすぎて窮屈に感じるくらいだったんです。でも今は、そういった所属感を提供してくれる場所が減ってきている。承認欲求は満たされるけど、所属欲求が満たされないから、むしろ所属欲求を満たすことの方が今は大事だと考えられています。

オードリーの若林さん自分の主戦場をラジオだと言っています。

けんすう: まさにラジオはコミュニティの最たるものの一つですよね。

尾原: そうなんです。リスナーを「リトルトゥース」と呼んだりして、わざわざ自分のラジオを聴いている人たちに名前をつけることで、「自分たち」という意識を定義しているんです。

このアイデンティティ感覚が大切な理由は、今、特にフランスなどで再評価されているエーリッヒ・フロムの「自由からの逃走」という本の内容とも関連しています。自由というのは一見するとすごくいいことのように見えますが、実は自分で全部決めなければならないという重荷もあるんです。

けんすう: なるほど、自由には責任が伴うということですね。

尾原: そうなんです。ある種、何かに所属するということは、その所属先が「何が良くて何が悪いか」とか「迷った時にはこうすべき」といったことを提供してくれるので、一つ一つ全部自分で判断しなくて済むんです。もちろん、全てを全部判断に頼ってしまうと、それは人生を誰かの奴隷にしてしまうことにもなりかねません。でも、人間は全部自分で決めるのが辛いものです。

だからこそ、何らかのコミュニティに所属することで、自分にとって大きくない程度の判断はコミュニティに任せていくというバランスが大切になってくるんです。特に未来が不安に感じられる時代では、自分の人生の選択をある程度委ねられるコミュニティへの帰属感が重要になってきます。

けんすう: まさにSNSがこの10年、15年ほど盛り上がりすぎて、結局全てのことに対して自分は答えを持っていないといけないし、意見を持っていないといけないというプレッシャーが凄まじくなってしまいましたよね。

尾原: その通りです。何者かにならないといけないという圧力もありますし、「個人として自由なんだから自分で決めて、自己責任だよね」というプレッシャーも増えています。会社すらも「あなたの所属しているものではなく、あなたが会社を選んでいるんです」といった風潮が強まっています。そういったものが増えれば増えるほど、不安は募っているんです。

けんすう: そうですね。だからこそ、コミュニティが見直されているのは、SNSの反動のような側面もあるのかもしれません。さて、次回はインターネットに絞ってコミュニティについて話を進めていこうと思います。

尾原: そうですね。今回はどちらかというとコミュニティ一般が何を成すのかという話でしたが、次回はインターネットにおけるコミュニティの特徴や、それによって何が変わり、どんな選択肢が増えるのかという話になりそうですね。

けんすう: その通りです。だんだんとインターネットコミュニティとは何かという点を深めていって、最終的にはインターネットコミュニティを使ってビジネスをするにはどうすればいいのか、インターネットコミュニティを作るにはどうしたらいいのかといった話に持っていければと思っています。

尾原: 非常に勉強になりそうですね。今日はこの辺りで締めくくりましょうか。

けんすう: はい、ありがとうございました。


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