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レッドルバーブに恋をして

真っ赤なルバーブ。緑のルバーブよりも栽培が難しく、標高1000m~1500mの寒冷地が適地とされるため、日本の主な生産地は長野県と北海道。私たちの出身地である長野の食材を、カフェで使いたいという想いから出会ったのが、八ケ岳麓の富士見町で真っ赤なルバーブを生産されている「かぼちゃん農園」さんです。自ら畑を訪ね、その畑やルバーブの素晴らしさに一瞬で恋に落ちてしまい、istutでは毎年、無農薬栽培の真っ赤なルバーブを仕入れています。

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istutでは、この真っ赤なルバーブを自家製のジャムにして、フィンランドのお菓子に使っています。実はルバーブはシダ科の野菜なのですが、まるでフルーツのようにみずみずしく、このジャムをひと口食べたお客様は、その美味しさに驚きを覚えるそうです。「綺麗な酸味と旨味にイチコロでしたよ!」という嬉しい感想を聞くと、「ほーら、あなたも恋に落ちましたねー」と、ついついニマニマしてしまいます。

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話は変わりますが、フィンランドの冬のお菓子「ルーネベリタルト」をご存知ですか?フィンランド通な方は、知り尽くしていらっしゃるかと思いますが、日本ではあまり知られていないお菓子なので、簡単にまとめてみましょう。

フィンランドでは、年明けから2月5日まで街中の至る所に「ルーネベリタルト」が並びます。2月5日?ルーネベリ?なんのこっちゃの方も多いと思いますが、フィンランドを代表する偉大な詩人「ユーハン・ルートヴィーグ・ルーネベリ」の誕生日が2月5日なのです。ルーネベリは、彼の詩の一部がフィンランド国歌で歌われているほど、国民的な詩人でした。奥様が毎年の誕生日に焼くタルトを、彼が愛して止まなかったことからこのお菓子に「ルーネベリタルト」という名が付き、その偉業に尊敬の意を込めて、今も彼の誕生日にこのタルトを食べるという風習が残っているそうです。(諸説あるようです)。

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ルーネベリが暮らした古都「ポルヴォー」は、私たちが大好きな街のひとつです。以前、連載をしていたコラムでも「ポルヴォー」についてお話を綴ったことがありました。

ルーネベリの奥様が考案したこの「ルーネベリタルト」は、もともとはクリスマスで余ったジンジャークッキーを砕いて作るリサイクル菓子でした。質素な暮らしを愛した、ルーネベリ夫妻らしさが詰まっていますね。

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カルダモンやアーモンドを練り込んだ円柱状のタルトの上に、フィンランドではラズベリージャムを乗せてリング状のアイシングをしますが、istutでは例のレッドルバーブジャムを乗せます。タルトの中にもコッソリとレッドルバーブジャムを忍ばせます。この恋するジャムを使うのが、istutオリジナルの「ミソ」です。ちなみにリング状のアイシングですが、何度描いても私の手振れが酷く、ゆらゆらした波状のアイシングになっています。この恋するゆらゆらアイシングも、istutオリジナルの「ミソ」です。

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