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女ってなんだ | 女が死ぬ

 見たくないものは見なくたっていいし、愛でる必要なんてないから。グロテスクなものは、グロテスクなままでいいじゃん、それでいいじゃん。『女が死ぬ』で、死にかけてる女の人がヴァギナについて、こんな風に言うんだけど、その部分がこの本のすべてを象徴しているように思える。なんというか忘れかけてたあらゆる物事への、イライラを思い出す。だから痛快とはいえ、決して心地よくはないの。なんなら、ちょっとグロテスクな現実なのよね。
 でもそのグロテスクな現実も、コミカルな描写とダークユーモア満載に描かれている。『男性ならではの感性』は、マジで笑えた。女であるわたしですら気にも留めてなかったけれど、「女性ならでは〜」で埋め尽くされるバカみたいな世の中に、笑いが止まらない。フェミニズムもミソジニーも、根本的にめんどうくさい。いちいち訂正するたびに嫌悪感を抱かれて、お金と結び付けられて、数のゲームにすり替えられて、うやむやにされる。そういうことが言いたいんじゃないんだけど、と思う。そういうことって、フタをしておきたくなる。こういうことを主張し始めると、友だちとも父親との間にも微妙な空気が流れる。(本当にめんどう) でも、フタをして無かったことにするんじゃなくって、居心地が悪いまま、グロテスクなままぶん投げて眺めてもらうのだって、時には役立つんだと思った。

 さてさて、この怪奇な短編集を読みながら、2回はデートに行ったけど、社会と男に期待されることへのムカつきを仕舞った箱が開いたままだったもんだから、さぞ相手は困惑したことだろう。アプリで知り合ってお互いわざわざ会った人にも「男をハッピーにするのがめんどう」って言えたし、「本よりおもしろい人なんてなかなか出会えない」とも言えた。それでもその人は、また来週会おうと言ってくれたから優しいよな。だがら来週はもう少しがんばろう。滅多に飲まないミルクティー(ミルクパンで淹れた砂糖なし)の妙に今の気分にぴったりな舌触りを味わいながら、微かに決意。

 ところでみなさま、わたしが年始に書いた「気が合う本棚」にスキしてくれるのはなぜですか? 良かったらコメントで教えてください。思いがけず読んでもらえて嬉しいです。ありがとうございます📚

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