【投資】豊かさの"質"をどう測るのか? - 日本の良さはパレートの法則の残り8割の努力にある…
人口動態は超長期的な投資の視点としては重要なファクターだと考えてます。日本のみならず先進国の多くが今後人口減を迎える中、これまでの"規模"で測る指標(たとえばGDP)から"質"で測る指標(たとえば1人あたりGDPなど)への転換は、経済を分析する人たち、また投資に関わる人たちにとっても重要な考え方の転換、そして伝えるメディア側にも、全体を伝えるだけでなく、1人あたりで考え伝える、そうしたことが必要になります。
で、それと「パレートの法則」と何が関係あるの?ってことですが、いつも日本経済の質(1人あたりGDP)の議論で感じていること、つまり日本の良さはそうした経済指標では捉えきれていない、といったことについて、パレートの法則と絡めながら考えたいと思います。
パレートの法則とは?
パレートの法則とは:
つまりは結果の8割を、2割の要因で説明でいるというもので、よく以下のとおり言われていることです。
物事を考える際、効率的に物事を進めるための指針としてよくパレートの法則は言及されますし、僕もこの考え方、結構好きです。たとえば仕事でも、最初の2割程度の力で、全体の8割くらいを粗々完成させる、そしてそこらへんで他人の意見も聞きつつ、残り使える時間を考慮して、完成度を高める。あるいはもっと極端に、自分の時間のそれぞれ2割を5つのプロジェクトに振り分け、それぞれで8割の成果を目指す、そうすると全部の時間を1つのプロジェクトに100%振り分ける成果の4倍の成果が出せる、と。
欧米経済はパレートの法則
長くはないですが米国に数年住んだ経験、また米系の企業にトータルで約20年勤務して感じたことは、「欧米人の考え方はパレートの法則」なんだな、ってことです。もちろんすべての分野でそうとは言いませんが、例えば、公共交通機関の時間に対する感覚、レストラン等でのサービスの質、商品の質、などなど、「まあだいたい8割くらいできていればOKじゃね?」みたいな…
100%を目指す日本
一方で日本は、"神や細部に宿る"ではないですが「残りの8割の時間を使ってでも質を100%まで引き上げる」ことを是としていると感じます。最初の2割の時間で会議資料は粗々完成しているのに、それの何倍もの時間をかけて細かいところ、しかも議論の本筋でない体裁の部分とかを仕上げる。1分の時間の遅れでも謝罪する日本の公共交通機関。細かいところに配慮が行き届き過ぎた電化製品。美味しすぎる農産物。綺麗で安全な街。
無駄…とは言いませんが、日本の消費者も100%に近い製品・サービスを求めますし、提供する側もそれに応えようと努力をする、なかなかハードルの高い世界です。
1人あたりGDPに反映されない日本の質
それら日本の"残り20%の質を向上させるための80%の努力"、つまり「パレートの法則の残りの部分」は、ほぼほぼGDPにカウントされません。しかし、確実にそれが日本の質を上げています(そして提供する側のストレスも…)。
今回の日本経済新聞の記事によれば、主要7カ国のGDPでは日本は米国に次いで2位、しかし1人あたりでみると6位となる、したがって「国全体としての相対的な豊かさと、国民一人ひとりの豊かさは異なるということです。経済厚生は実質GDPではなく、1人当たり実質GDPで測ることが重要」と主張しており、当方もそれ自体には賛成です。
ただ、それでも捉えられない日本の質・クオリティがあり、自虐的に「1人当たりでみると日本のGDPは下だ」と考えてしまうのも良くないかなって感じてます。
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