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【投資】これから出てくるであろう"株価正当化"議論 - 米テック株、PER30倍超え(日本経済新聞)

今朝(2024年2月14日)の日本経済新聞朝刊の記事。足元の株価を牽引している米テック企業の株価の割高感に関して議論されています。過去、日本のバブル期、そして米国のITバブル期、同じようにいわゆる一般的な株価の指標であるPER(株価収益率、株価が1株あたり利益の何倍になっているかを示す)では何十倍と割高に見える中、"別の指標"を引っ張り出してきて、その株価を正当化する議論が展開されました。


今回もその気配あり?

現時点ではまだそこまでの議論にはなっていないですが、記事中からもその兆候は見え始めています:

ティー・ロウ・プライス・ジャパンでグローバル・マルチ・アセット部門のソリューションズ・ストラテジストを務める瀧川一氏は「マグニフィセント・セブンは一般的な株式とは別枠の資産クラスと考えるべきだ」と指摘する。「PERをみれば相当割高にみえるが、高水準の自己資本利益率(ROE)や増益率を踏まえれば銘柄によっては正当化できる」という。

日本経済新聞記事より

とあるように、まさに「PERでは割高に見えるけど、別の観点からみると正当化できる」と、過去どこかで聞いたようなロジックを展開しています。

個人的には(個人投資家にとっては)、この議論の是非、正しいか否かについてはあまり気にすることもないかな…とは思います。ただ今後、PERで見ると割高に見える株価水準が続くと、メディアを通して、あるいは証券会社のレポートを通して、その株価を正当化しようとする議論が多く見られるようになることは想像できますので、それらをどう咀嚼するかという心構えはあってもいいかなって思ってます。

では、過去どういった指標をもって割高な株価を正当化していたのでしょうか?

Qレシオ

1980年代後半、日本のバブル期には、Qレシオという指標が使われました。Qレシオとは、企業が持つ株式や土地を時価評価したベースで企業価値を算出して株価と比較するものです。PBRが簿価ベースの株価純資産倍率であるのに対し、Qレシオは実質株価純資産倍率とも言われていました。

当時は当方はまだ学生だったため、そのQレシオを知ったのはバブル崩壊後、社会人になってからでした。「異常な株価を正当化するために、異常な株価や土地の時価を基準とする」ことに頭が???となりました。当時も同じような批判はあったようですが、株価の勢いに負けてその批判もかき消されたんですかね?

ただ、日本株が低迷していた頃、もう誰もQレシオとは言いませんでしたが、企業が持っている不動産、持ち合い株など、BS上では簿価で評価され、株価にはちゃんと反映されてないだろうな…という日本株は好きでしたね。Qレシオとは自覚してませんが、その考え方自体はその後の自身の日本株に対する好みのベースにはなってます。

PEGレシオ

2000年頃、米国のITバブル期にはPEGレシオなる指標もよく使われました。PEGレシオとは、PERを予想利益成長率で割って算出する、企業の中期的な利益成長率を加味して株価の水準を測る指標です。上記、記事の引用でもあります、「PERをみれば相当割高にみえるが、高水準の自己資本利益率(ROE)や増益率を踏まえれば銘柄によっては正当化できる」というコメントは、このPEGレシオを意識したものかなって思います。

このPEGレシオ自体はそれなりに意味があろうかと思います。PERは足元の1株あたり利益を分母としていますが、来年増益すればそれだけ分母が上がり、PERの比率を押し下げます。高いPERは企業に対するそれだけの増益期待の表れであるということです。

ただ要は、投資家の勝手な期待であり、勝手な期待を株価に織り込んで、そして将来それをミスったら大幅に下落する…ってだけなんですけどね。勝手に金メダル候補、金メダル確実だとメディアが盛り上がり、銀メダルに終わったら(それでも立派な成績なのに)なぜか選手が謝罪する…そんな感じです(笑)

そういう"正当化"議論に対する心構え

個人投資家としては、こうしたメディアを通じた"専門家"の議論、なかなかそれが正しいのかそうではないのか、判断が難しいところです。また証券会社や資産運用会社のストラテジストも、自身が本当にそう思っているかどうかに関係なく、顧客である機関投資家の株保有を正当化するために、その材料を無理くり提供しようとしているだけだったりすることもあります。

じゃあどうそれを捉えればいいのでしょうか?これも、以前のnoteでよく展開しているように、残された人生の長さ別に考えたいと思います。

  • 先々の人生がまだ長く、そして現在の投資金額もまだそれほど多くはない20代、30代の人たち。この層は、あまり株価が高いかどうかを気にせず、継続的に買っていけばいいと思います。当方は基本株価は(短期的な上下はあるとはいえ)右肩上がりだと思ってます。もちろんリーマンショック並みの株価の下落が今後起こりうる可能性もありますが、時間を味方につけ、長期的に投資を継続していけばいいと思います。

  • リタイアまで残り少なくくなってきた我々世代(50代以降)は、自身の今の資産状況にもよりますが、上記のような"正当化"議論を多く聞くようになったら、少し慎重姿勢を示してもいいかと思います。

いつかはわかりませんが、現在の米国利上げによる景気減速の影響はどこかで顕在化すると思ってます。その時には株価が下落する局面もあろうかというのが今のメインシナリオ。我々世代はそれへの備えを、そして若者世代は気にせず投資を継続、そんな感じで考えればいいのかな。

#日経COMEMO #NIKKEI

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