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【投資】キャリーはポジティブがいい

先日の急な円相場の動き。この原因としてメディアでは「円キャリートレードの巻き戻し」と解説がされていました。


ポジティブ・キャリーとネガティブ・キャリー

円キャリートレード(円キャリー取引)とは:

低金利の円を市場で借りてきてドルなどの高金利通貨で運用することで、金利差収益を得ようとする取引。主な取引主体として、ヘッジファンドなどの投機筋や外国為替証拠金取引(FX)を手掛ける個人投資家などが挙げられる。外国為替市場で円キャリー取引がさかんになると円売り・ドル買いの動きが強まるため、円安圧力となる。

日本経済新聞(2024年8月7日)

個人投資家でもFX取引で円売り・ドル買い(ドル・ロング)のポジションを取ることは、それは実質「円で資金を調達してドルで運用する」のと同じことをしていることになります。

この場合、調達する通貨の金利(この場合は日本円)より運用する通貨の金利(この場合は米ドル)が高ければ、毎日"スワップポイント"という2通貨間の金利差に相当する運用益が得られます。

逆に円買い・ドル売りのポジションを取った場合には、「(高い金利である)米ドルで資金を調達して(低い金利の)円で運用する」のと同じですので、逆に2通貨間の金利差を支払わないと行けません。FX取引では同じく"スワップポイント"という形で日々口座から引かれていきます。

キャリーとは簡単に言えば、上記のスワップポイントのように、日々お金がチャリン、チャリンと出て行ったり、入ってきたりすることを言います。そして、円売り・ドル買いのように日々スワップポイントが入金されてく(低い金利の通貨で調達して高い金利の通貨で運用する)ことを"ポジティブ・キャリー"、その逆を"ネガティブ・キャリー"と呼んだりします。

ポジティブ・キャリーの例

ポジティブ・キャリーの具体的な例としては、上記の「円売り・ドル買い(あるいは一般的に、低金利通貨売り・高金利通貨買い)」の他、株の購入(毎日ではないが定期的に配当収入あり)、不動産の購入(毎月の家賃収入あり)などが挙げられます。

不動産の場合は注意が必要で、家賃利回りが調達コストを上回っているだけでなく、元本の返済や一定の空室率や支払い金利以外にかかるコスト(固定資産税等の税金や修繕費など)を考慮した上でもキャッシュフローがプラスである状態をポジティブ・キャリーと考えるようにします。

ネガティブ・キャリーの例

一方、ネガティブ・キャリーの例としては、「ドル売り・円買い(高金利通貨売り・低金利通貨買い)」の他、株の信用取引でのショートなど。

そして最近はあまり見なくなりましたが、節税目的をうたった不動産投資。「月々は数万円の持ち出しになりますが、年末確定申告で戻ってきますよ」的な。月々のローンの支払いとその他固定資産税等の費用が家賃収入だけでは賄えず、減価償却による税金の戻しで取り返そうというもの。これもネガティブ・キャリーですかね。

あと今だと海外不動産投資。全てではないですが、家賃利回りが調達コストより低かったりして、そもそもキャピタル・ゲイン狙いになっている、この状態もネガティブ・キャリーと言ってもいいと思います。

あまり意識はされてないと思いますが、金投資もネガティブ・キャリーですね。金それ自体は利息等の収入を何も生み出しません。一方で、理屈の上では金を保管するためのコストがかかります。少量の金であればあまり意識はされないところかと思いますが、金や絵画等の現物資産への投資は、それを安全に保管し続けるためのコストもかかり、ある意味ネガティブ・キャリー取引です。

円高を想定しているのに何故FXで「円買い・ドル売り」をしないのか?

さて昨年末くらいから、為替のドル円相場については、米国の利上げサイクルの終焉から、円安トレンドの終了、長期的には今後は円高方向を見込んでいます。

「今後は円高方向だと思うなら、FXで円買い・ドル売りポジションを取ればいいじゃん?」って思われるかもしれませんが、そうしない理由はまさにこのキャリーが関係しています。

当方、自身の運用については「キャリーはポジティブか?」が非常に大事だと思っています。価格の上下動があろうとも、配当金や家賃収入等、定期的にチャリン、チャリンとキャッシュが入ってくるのは精神的な安心材料になります。

逆に、海外不動産や円買い・ドル売り等、定期的な持ち出しとなるネガティブ・キャリー取引は精神的に苦痛です(笑)昨年クローズしたニュージーランドの不動産投資は、ポジティブ・キャリーでスタートしましたが、ニュージーランドの金利上昇を受け、ネガティブまでには至りませんでしたが、ポジティブ度が低下、不動産価格も上昇していたので撤退しました。

FXについては、実は過去もやってましたし、いつでも参戦できる口座の準備はしてあります。今後、まだまだ先の話になりますが、米国が利下げサイクルに入り、そのサイクルが終焉を迎えた時。つまり日米の金利差が最も縮小したタイミング。その時であっても、おそらくは米国の金利>日本の金利だと思いますので、そのタイミングでドル買い・円売りのポジションを構築。その後の金利差拡大によるスワップポイントの増加(ポジティブ・キャリーかつキャリーの拡大)とドル上昇(キャピタル・ゲイン)の両方を狙いに行きたいと思います。

以上、「長期投資をするならキャリーはポジティブがいい」という話でした。

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