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【投資】投資信託の運用人材育成強化…厳しいビジネス環境下での人材育成強化?

日本経済新聞のWebサイトに「投資信託の運用人材育成強化、ニッセイAMは報酬見直し」と題し、各運用会社が投資信託の運用人材の育成を強化している旨の記事が掲載されていました。自身がお世話になっていた運用業界に優秀な人材が集まり、彼らが適正に評価されることは非常に喜ばしいことです。一方で、資産運用業界、特に上場もの(伝統資産)の運用については、世界的に競争激化、運用報酬の低下と、厳しいビジネス環境になってきています。

海外、日本の資産運用業界をとりまく環境については、以下、2020年6月に金融庁より公表された「資産運用業高度化プログレスレポート2020」に詳しくまとめられています。

https://www.fsa.go.jp/news/r1/sonota/20200619/01.pdf

とりわけ、米国においても:

  • パッシブ運用報酬の低下に連れてアクティブの運用報酬も低下

  • 市場の寡占化や手数料の低下が進む中、アクティブ運用を主軸としてきた運用会社は手数料収入の減少への対応を迫られており、大手の海外資産運用会社でも、規模を追求するための統合の動きが相次いでいる

とあり、「資産運用先進国」である米国であっても、資産運用業としての収益環境が厳しくなってきているのは、当方も過去20年米系の資産運用会社に在籍していたため、実感としてもよくわかります。

個人的には、ビジネス環境が既に「過当競争、報酬の低下」という、サイクルの後期にあたる中で、日本の運用会社が若手を惹きつけ、育成することは一筋縄ではいかないと思っています。しかし、だからといってそういう人が出てこないわけではありません。日本の運用会社が育成に成功した事例ではなく、独立した日本株の運用者としての事例ですが、今やトータルで1兆円を超える残高を運用する「ひふみ(レオス・キャピタルワークス)」の藤野英人氏のような例もあります(ここまでの道のりは大変だったかと思いますが…)。業界としては、そういう独立心、そして自身の運用哲学を持った人が出てきた時に、どう後押しができるか?そこが大事かなと漠然と思ったりします。

同時に、マクロ的には前述のように、既に過当競争、報酬低下の環境下にある業界です。プログレスレポートでも指摘されてますが、まだまだ不効率性が残る業務運営体制の改善、コストばかりがかかっている小規模投資信託の統廃合など、経営体力の強化を通して、"量"ではなく"質"の面での改善を通して、健全で長続きする(いわゆる"サスティナブル"な)業界であればと思っています。

#日経COMEMO #NIKKEI

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