文章を書くのが好きでWebライターになったら後悔した。ネットの記事が全部嘘に思える。
思えば小さいころから文章を書くのが好きで、夏休みの宿題の作文も国語のテストも、何もせずともそこそこの評価をもらうことができた。
きっと周りに比べたら文章を書くのが得意な方で、それは中学や高校に上がっても変わらず、趣味で小説を書いてみたりブログを始めてみたりして。
友達や先生に「面白いね」と言ってもらえて、仲の良い友達にはなんとなく「書くのが好き」「ライターになりたい」とか話すこともあった気がする。
Webライターになるのは簡単だった
時を経て大人になって、気づけば全く別の道を歩んでいて。今思えば、「Webライターなんていつでもなれる」と考えていたのかもしれないし、「Webライターになって、鳴かず飛ばずだったら、何も無くなってしまう」と無意識に避けていたのかもしれない。
そんなこんながあったけど、意を決した私は2~3年前からWebライティングの仕事をするようになった。
全くのフリーライターとして始めたわけではなく、ライティング事業をやっているような会社に所属して、勉強しながら見様見真似で記事を書いてみた。
やっぱり最初は楽しいもので、「初めて書くにしてはしっかりした文章だね」「才能あるんじゃない?」なんて、勘違いを招くようなお褒めの言葉を沢山いただいた。
波に乗るように次々新しい記事を書くようにもなって、止まらず新しい壁にぶち当たっていった。いつかまでは、「楽しい」と思っていた気がする。
そして気づけば、最初は根気でぶち破れていた壁が、コンクリで固められまくった殴っても殴っても破れない分厚い壁になっていた。
色んな角度から色んな指摘の声を頂いて、ザラザラの壁と壁の間でバウンドするボールみたいにどんどん表面に傷が入っていって、自分が最初に書いた文章の跡形もなくなった記事が世に出て。
そう、そして、書くのが嫌いになりました。
私が思うに、文章を書くのが好きであれば好きであるほど、Webライターになんかならないほうが良い。
なぜなら、きっと、これは私だけかもしれないけど、「文章を書くのが好き」なのではなく「私が好きに書ける文章が好き」なだけだったから。
Webライターを生業にするということは、自分のブログだけで食っていくとか、そもそも有名人だ、とかでない限り、誰かに依頼をされた文章を書かなければならなくなるということ。
つまり、書けば書くほど自分が消えていく感じがするもので。
「あれ、今この文章を書いているのって、本当に私なの?」
自分が書きたい文章と、誰かが読みたい文章と、仕事として頼まれる文章、これには乖離がある。
基本的には思い通りにはならないし、読み手のことを考えるのが仕事。
いくら記名の記事であっても、SNSで自分が書いた記事を宣伝しても、つきまとうのが少しの虚しさ。
すごくうれしいはずなのに、文章を貰ってお金を貰えるなんて願ってもないことなのに。あれ、この文章って、本当に私が伝えたいことなのかな?
「好きなこと」については書かないほうが良い
Webライターになるからには、好きなものについて文章を書いて、世に出してみたかった。
例えば、好きな映画とか、好きな喫茶店とか、好きな芸能人とかについて。
好きなことを書いてお金を貰えるなんて、それって「好きを仕事にすること」じゃん、すごい。と思っていた。
実際に、ありがたいことに好きなものについて書く機会を頂いて。
大事に大事にしていた想いを、大事に大事に形にした。
この想いが誰かに伝わるだろうか、そう思って書いた文章は、修正を重ねるうちにいつの間に別物になっていて。
文章を書いている自分が全部嘘に感じて、しまいには、「それを好きな自分」までが嘘に感じるようになった。
好きなことが段々憎くなって
「こんな風に言いたかったんじゃないのに」
「こんなのもう、好きじゃない」
心を殺して文章を書いて、とても読みやすい文章に直して。
結局はいくら感情を込めて書いたところで、大勢の人にしっかり読んでもらえる形に仕上げなければ、仕事として成り立たない。
かくいう私も、編集の立場に回らせて頂くこともあるので、逆サイドの気持ちも痛いほどわかる。
誰かが悪いわけではない、記事やメディアが悪なのではないし、全てがこうなわけではない。きっと、思うままに叶うケースもある。
それでも、私は、Webライターになってから、自分が表現するすべてが「嘘」に見えるようになった。
久々に好き勝手書いた文章は「なにこれ?笑」と言われた
Webライターの仕事をするようになって、仕事の量が増えるのと比例するように、「自分の文章」を書く機会が減った。
Twitterはなんだか気持ち悪くてやめたし、好きでやっていたブログみたいなものもやめた。更新を続けようと思っていたこのnoteも、驚くほど更新していない。
気づけば先生に褒められていた小説をどう書いていたのか、すっかり忘れてしまっていた。
暇つぶしに殴り書きしたブログのような文章を、たまたま仕事の人に見られて「なにこれ?これじゃ読まれないね笑」と言われたことがあった。
でも、全くその通りと思った。
Webライターをやって、私の文章はどんどんダメになっていったのかもしれない。
いつか「書くのが好き」だった頃に戻りたい
こんなわけのわからない文章を一気に2000文字も書いて、何を言っているんだという気もするが、今、あの時の「書くのが好きなので、Webライターをやってみたいです」の気持ちは全くなくなってしまった。
今まで積み重ねたことがたまたまWebライティングで、仕事として続けられる機会をせっかく頂いているからただやっているだけで、他になにか取り柄があればすぐ辞めるかもしれない。
でも、私はまだあの頃に戻りたいと思っている。
「書くのって、なんでこんなに楽しいんだろう」って、無我夢中で好きなバンドについてブログで語っていた頃に。
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